転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「個人携帯型のミラージュ・コロイド!?」
バルトフェルドはタイガから襲撃者がどうやって重要区画まで侵入したのか聞かされていた。
バルトフェルドを襲撃した男が身に付けていた装備がそれだった。
「確かにそれならあの重要区画まで入り込めますね」
「ああ。ただし時間制限があり、いつまでも使えるというものではなかったようだ」
「なるほど。私が立ち去るのを待たずに襲ったのはそれが理由ですか」
「時間制限があり、やっと重要区画に侵入したのに邪魔者がいる。排除しようとするのは当然だな」
「そう簡単にやられるつもりはなかったのですがねえ?」
「侵入者は毒物を持っていたぞ?いくら君でも危なかったんじゃないか?」
「・・・確かにそうですね」
あの時危険を感じた自分の勘は間違っていなかった。
改めてバルトフェルドは安堵した。
「装備はかなり大掛かりなもので重量もあったが、どうも薬物を使用して無理矢理筋力を上げていたようだな。
フリーダムを奪って何やら企んでいたようだが、何とか未遂に済ませる事が出来た。
しかしこのままではすまさん!」
「何が目的だったんですかねえ?」
「どうもフリーダムを奪って自作自演で鎮圧して、オーブがユニウス条約に違反して核動力のMSを所有している事を非難し、
自分達のMSの優秀性をアピールするつもりだったらしい。
その後は世界中から非難されたオーブに救いの手を差し伸べて、隙を見て後ろからグサッと刺してオーブを滅ぼすつもりだったそうだ」
「・・・たった数日でよくそんな事までしゃべりましたね?」
「音を上げるまで無感覚室に放り込んだ。
素直にしゃべるまで何度でも繰り返すと言ったらおとなしくしゃべってくれたぞ?」
「それはまた・・・」
「どこに問題がある?別に脅迫したわけでもないし、血の一滴でも流したわけでもない。
身体にも傷ひとつ付けていないぞ?
ただ暗闇の部屋に一時間ほど放置したら素直にしゃべってくれただけだ」
事実であった。
しかしそれは傷ひとつ付けず、血の一滴も流れなくても拷問と何ら代わりはなかった。
無感覚室とは宇宙飛行士の訓練にも使われる壁や天井に吸音材が敷き詰められた部屋で、
外部音が遮断され、反射音もほぼゼロになる。
周囲に音が全くないため、自分の心臓の鼓動、血流の音、呼吸音、さらには耳鳴りまでが明確に聞こえ、
長時間その部屋にいると平衡感覚を狂わせ、精神的な不安や発狂を引き起こす可能性もある。
人間は最長でも1時間程度しか滞在できないとされていた部屋でもあった。
タイガはその部屋を暗闇にして、音だけでなく光までも遮断して侵入者を放置したのだ。
例えコーディネーターでも耐えられるはずがなかった。
「人権問題でうるさく言われませんか?」
「何を言う?ファウンデーション王国は「そんな者は知らん!」と言ってきたぞ?
つまりあいつはどこの誰でもない唯の不法侵入者だ。人権など主張する者はいない。
精々有効に活用させてもらうさ」
「やれやれ。まさか自分を殺そうとした相手に同情する時が来るとは思いませんでしたよ?」
「同情するのは構わんが素直に殺されてやるつもりもないのだろう?
精々オーブを敵に回した事を後悔してもらうさ。君の出番だぞ?」
「自分で自分に同情したくなってきたんですが?」
「いくらでも構わんよ?やる事さえやってくれればな」
「・・・有給休暇は申請できますかねえ?」
「仕事が終わったらいくらでもいいぞ」
「そうですよねえ?」
この先の自分の激務を想像してバルトフェルドはため息をつく事しかできなかった。
表面的には何も変わらなかったが、水面下でオーブとファウンデーション王国の敵対が決定した瞬間だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。