転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話はキャラクターの心理描写が中心となります。
本作は原作とは異なる解釈や独自設定が含まれますのでご了承ください。


※カルアのツッコミが昇華(?)されている点を強調して修正しました(笑)







第16話 帰国10

 

 

カルアは夢の中にいた。

仮初の主人と初めて出会った時を思い出す。

 

「ああ、これなら俺が手を出す心配は無いな。やっと安心出来る」

 

カチンときた。

確かに自分には女性的魅力などないだろう。

それは自覚している。

しかし幾ら自覚しているからと言って、初対面の赤の他人にそこまで言われる謂れはないはずだ。

 

そう思考したのもつかの間、自覚する前に体は既に仕えるべき主の顔面に向かって拳を繰り出していた。

 

彼女が内心「やっちまった!」と思って秘かに落ち込んでいた事は外見からは一切わからなかった。

 

――

 

「タイガ様」

 

アリサがタイガに声をかける。

 

「どうした?」

 

「カルア様が目覚めそうです」

 

「何!」

 

「医師の話では覚醒段階に移行しつつあるとの事です」

 

「……」

 

タイガは苦悩した。

目が覚めるなら直ぐにでも顔を見たい。

しかし目が覚めた後でも仕事が残っていればカルアが不機嫌になる事は簡単に想像できた。

 

「いや、やめておこう」

 

「よろしいのですか?」

 

「いつ目が覚めるかわからない相手に余計な時間を費やす余裕はない。今はこっちが優先だ」

 

「……わかりました」

 

無理をしなくても良いのにと口にしなくても、アリサの態度はそれを雄弁に物語っていた。

タイガからすれば口にしたのは間違いのない本音だ。

優先すべきはオーブの焦土化を防ぐ事であり、現在はその種まきをしている段階だ。

種をまかなければ芽が出る事はない。

自分がすべき事は一つでも多くの種をまく事だ。

種をまく手を止めるわけにはいかない。

タイガは自分のやるべき事を続けた。

 

アリサはそのタイガの姿を後ろからじっと見つめ続けた。

 

――

 

結局タイガがカルアの病室に姿を見せたのは面会時間が終了しようかという時間だった。

 

「どうだ?」

 

「ああ、医者の話ではもういつ目を開けても不思議ではないという事だよ」

 

アズラエルがタイガに答える。

 

「じゃあ僕は帰るね」

 

「ご苦労さん」

 

アズラエルは時間を見つけてはカルアの病室に顔を出していた。

やはり街を出歩いても楽しめないというのは本当なのだろう。

タイガはカルアが眠るベッドの横の椅子に腰を下ろす。

 

――

 

そしてしばらくの間、室内に無言の時間が流れ、面会時間が終了しタイガも席を立とうとした頃。

 

「……」

 

「ん?」

 

ピクリとカルアの瞼が動いたような気がした。

 

「おい! カルア! 目を覚ませ!」

 

ピクッ ピクッ

 

カルアの瞼が動く。

 

「なにやってる! この大食い女!」

 

ピクッ ピクッ ピクッ

 

カルアが薄っすらと目を開ける。

 

「さっさと起きろ! この色気ゼロ女!」

 

ドゴォッ!

 

次の瞬間、カルアの全力の右ストレートがタイガの顔面を正面から捉えたのは、

もはや宇宙の法則に等しい必然だった。

 

病室に急行した医師たちが目撃したのは、ベッドの上で負傷した頭を抱えて呻くカルアと、そのベッドの横の床の上で顔面を陥没させて沈黙しているタイガの姿だった。

 

――

 

カルアは夢の中にいた。

仮初の主人と初めて出会った時を思い出す。

 

「ああ、これなら俺が手を出す心配は無いな。やっと安心出来る」

 

カチンときた。

何度も何度も仮初の主は同じ言葉を繰り返す。

 

「俺が手を出す心配は無いな」

「俺が手を出す心配は無いな」

「俺が手を出す心配は無いな」

 

色気があるのがそんなに重要か?

どんどん腹が立ってきた。

何やら腹の立つ言葉が聞こえてくる。

カルアは薄っすらと目を開けた。

 

「さっさと起きろ! この色気ゼロ女!」

 

夢の中の主は夢の中と同じような事を口にした。

 

思わず体が動いていた。

 

――

 

カルアは目を覚ました。

 

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。
今回はキャラクターの心理面に焦点を当てた回でした。

独自設定が多数ありますが創作上の出来事としてご容赦ください。


次回お楽しみください。



※タイガのデリカシーのない言葉に対するカルアのツッコミが、
もはや宇宙の法則レベルに昇華(?)されている点を強調して修正しました(笑)


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