転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
数日後、オーブはファウンデーション王国に対し宣戦を布告した。
オーブがジブリールのブルーコスモス過激派に襲われた時、大西洋連邦から得たのは島だけではなく、旧型の艦船などもあった。
宇宙船が主流になりつつあるとはいえ、旧型とはいえ軍事用艦船の存在は大きい。
タイガはこれらの艦船を糾合し、ファウンデーション王国討伐の艦隊を編成した。
しかも軍人を指揮官にするのではなく、自分自身が総指揮官として遠征の指揮を執るというのである。
インド洋から地中海、さらに黒海に至り、後は陸路でカスピ海沿いのファウンデーション王国を攻めようというのだ。
しかしタイガは政治家としての実績はともかく、軍人としての実績など全くなかった。
どう考えても無謀である。
しかも理由がとても下らないものだった。
「もうすぐ子供の誕生日だ。父親として勝利をプレゼントしてやろう」
タイガには多くの子供たちがいたが、そのうちの一人の誕生日が近い為に戦争を始めたというのだ。
タイガの子煩悩は多くの者に知られていたが、これには多くの者が呆れた。
「オーブももう終わりだな」
「何がオーブの虎だ。老いるのはまだ早いだろうに」
「駄馬どころか豚にも劣る」
散々な言われようだった。
そしてファウンデーション王国に侵攻したタイガは、大方の予想通り敗北した。
侵攻した艦船の半数を失い、軍事上の判定によれば全滅に近かった。
しかもさっさと逃げずにしつこく抵抗を繰り返したので、ファウンデーション王国に散々追撃されるようになっていた。
このためタイガは侵攻時とは逆に、黒海から地中海へ、さらに紅海からインド洋へ、ついにはオーブ近海まで追撃を受けていた。
さすがにここまで追撃すればオーブの最終防衛線に捕捉され、少なくないファウンデーション王国の艦艇がオーブの水中用MSに沈められていたが、
ここまで来ればファウンデーション王国もタイガという獲物を見逃す気はなかった。
勝利に酔うファウンデーション王国は、
「タイガがあまりにも簡単に敗北した事」
「艦船は大部分が自動化され乗員は最小限しかいなかった事」
「捕虜はほとんどコーディネーターだった事」
これらの「不自然な点」を疑問に思う事もなく、タイガの追撃に熱中した。
「タイガさえいなくなればオーブなど滅んだも同然」
それがファウンデーション王国の認識だった。
たしかに表面上はそう見えるかもしれない。
しかしタイガの活躍はウズミやホムラやその他多くの人達に支えられてのものである。
何より本人もそれを自覚していたので、意図的に自分が目立つ事で他への注目を逸らす事に注力していたのだ。
その結果タイガは、自分がいなくても代理がすぐに同じ事ができるように環境を整えていて、「自分はただの看板」と割り切っていた。
それを知らないファウンデーション王国は、タイガを殺す千載一遇のチャンスとばかり徹底的に追撃した。
オーブの水中用MSによって少なくない艦艇を失ったが、ついにファウンデーション王国はオーブの最終防衛線を突破し、タイガをオーブ本国近くまで追い詰め、オーブの基地がある島を占領した。
そこはかつてオーブが大西洋連邦から割譲された島であった。
もはやファウンデーション王国がタイガを逃す事はあり得なかった。
タイガがオーブ本国に逃げ帰る前に、ファウンデーション王国がタイガをその指呼の間に捕らえる方が先であろう。
そのファウンデーション王国の旗が翻る基地に、ファウンデーション王国女王アウラ・マハ・ハイバルが降り立った。
アウラは傍らに立つ宰相オルフェ・ラム・タオに声をかける。
「オルフェ。タイガとの通信は出来るか?」
「はい。すぐに降伏勧告ができるように回線は確保しております」
「よろしい。“オーブの虎”と呼ばれた男の最後を、妾のこの目で直接確認したいからのう?」
自分の研究成果の集大成を、ディスティニー・プランを否定した男の最期を、他人からの報告ではなく、自分で、自分の目で直接確認する事が出来る!
アウラはこれからの出来事を予想して歓喜と高揚を抑える事が出来なかった。
タイガの命運は今まさに尽きようとしている。
――かのように見えた。
アウラは既に自分が「虎の罠」にかかっている事に最後まで気付く事はなかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。