転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
カーペンタリアからオーブに、高機動・高火力のMSデスティニーとその専用艦・ミネルヴァが派遣され、
シン、ルナマリア、レイの三人は、オーブから宇宙へ上がる前に作戦打ち合わせの為アーク・エンジェルを訪れていた。
「へえ〜、これが噂の“足付き”ねえ?」
「おい、ルナ。あまりジロジロ見るな」
「え〜、良いじゃない? 今は味方なんだし? レイ? そんな細かい事言ってるとハゲるわよ?」
「大きなお世話だ!」
「確かに味方だな。“今は”」
「シン!」
ルナマリアが興味を持つのも当然だった。
“足付き”――アーク・エンジェルと言えば、ザフトで最も有名な地球連合の戦艦だ。
オーブ参戦のきっかけとなったヘリオポリスから、クルーゼ隊の追撃を振り切り地球へ降下。
さらにザフトの勢力圏を突っ切りアラスカへ到達。
オペレーション・スピットブレイクではザフトの攻撃を凌ぎ切り、サイクロプスの暴走から逃れた後、
ラクスの逃亡を助けてプラント艦艇を攻撃。
最終決戦では、あの“オーブの白い悪魔”を戦場へ届けた
――まさに“不沈艦”の名に相応しい伝説の艦だった。
――――
「ようこそ、ミネルヴァの諸君。“大天使”へようこそ! 歓迎するよ!」
シンたちを出迎えたのはバルトフェルドだった。
「さ、“砂漠の虎”!?」
思いもしないビッグネームの登場に、ルナマリアは驚愕した。
レイもシンも同様だった。
「お〜、今のザフトはこんな連中なのか? 俺がいた時とあまり変わってないな〜」
「おい、ディアッカ。あまり若いのをいじめてやるな。
いくら実戦経験が少ないとはいえ、ここにいるって事は精鋭なんだぜ?」
「いや、そりゃ“エンデュミオンの鷹”に比べれば誰でも実戦経験が少なくなるでしょう?
無茶言わないでくださいよ」
「エ、“エンデュミオンの鷹”!?」
立て続けのビッグネームに、ルナマリアは完全に硬直した。
「まあ、
今回の作戦ではよろしくお願いするわ」
艦長の女性に柔らかい笑みを向けられ、ルナマリアはようやく復活した。
「よ、よろしくお願いします!」
「まあ、若人をあまりからかわないようにな。私はオーブ軍のトダカ三佐だ。
オーブ軍と君たちの連絡将校という事になる。よろしく頼むよ」
再びアーク・エンジェルに乗艦したトダカが挨拶すると、シンは驚愕した。
「……トダカさん?」
「君は?」
「俺です! オーブ防衛戦の時、あなたに助けていただいた!」
「! ああ、君か? どうやら無事にプラントへたどり着いたみたいだね?
元気そうでなによりだ」
「はい! ありがとうございます!」
「どうなってるの?」
「あのシンが?」
普段は狂犬のように周囲に噛み付くシンが、素直に礼を述べている。
ルナマリアとレイは目を丸くした。
――――
驚愕と再会の喜びが落ち着いた頃、アーク・エンジェルとミネルヴァの合同ブリーフィングが開始された。
「さて、これが我々の相手だ」
バルトフェルドが映し出したのは、ファウンデーション王国との遭遇戦の映像だった。
「これは?」
「ファウンデーション王国の中核となるMS、“ブラックナイト”と呼ばれているらしい。
随伴機がミサイルキャリアとして三機ほど追随し、火力不足を補うと同時に回避先を限定し、
このMSで止め――というのが基本戦術だ」
「? それだけなら脅威とは言えないのでは?」
レイが疑問を口にする。
「こいつには実体弾はともかく、ビーム兵器が効かん。
実体弾も相当強力なものでないと損傷さえ与えられん」
「な!」
イーゲルシュテルン直撃でも無傷の映像に、シンたちは絶句した。
「しかし強力な実体弾やビームサーベルなら損傷させる事は可能だ。
解析によるとこの装甲はフェムテク装甲と言って、PS装甲と違ってエネルギー消費が無い。
さらにこのMSは核動力、もしくはそれに類する動力源を使用している可能性が大きい」
「か、核動力ですか?」
「それはユニウス条約違反では?」
「ユニウス条約は地球連合・オーブ・プラント間の条約だ。ファウンデーション王国は対象外だ。
私たち傭兵部隊“大天使”が核動力やミラージュ・コロイドを運用できる根拠でもある」
レイとシンの疑問にバルトフェルドが答える。
「そんな抜け道が……」
ルナマリアは納得できない気分になったが、続くバルトフェルトの言葉にそんなものは吹き飛んだ。
「そのためにも君たちには一時的に私たちの指揮下に入ってもらう必要がある。
君たちのあのMSが核動力だとバレたら不味いだろう?」
「!? な、何の事でしょう?」
「隠さなくていい。君たちの高機動MS、あれは核動力だろう?
あの火力と機動を両立できるのは核動力しかない。
だから一時的に“大天使”所属という形にする。
私たちの所有する核動力MSを君たちが運用し、その後は知らん――という事だ」
「それって良いんですか?」
「建前ではそうなっている。気にするな」
どうやらバルトフェルドもタイガの影響で相当黒くなっているようだ。
その後、ブラックナイトのパイロットが読心を使う可能性、通信なしで連携できることなどが説明され、ブリーフィングは終了した。
――――
「いや〜、まさか機体を見もしないでバレるとはね〜」
「正に役者が違ったな」
「歴戦の戦士って本当なんだな……」
三人はアーク・エンジェルの底知れなさを思い知った。
だがその後、それらの記憶を吹き飛ばす出来事が三人を襲う。
「お、いたいた。お前たち、これから滅多にない体験が出来るが参加するか?」
「体験ですか?」
ディアッカが三人に声をかけてきた。
「ああ、“オーブの白い流星”と模擬戦が出来るぞ?」
三人は顔を見合わせ――
「「「是非お願いします!!!」」」
こうしてミネルヴァMS隊と“オーブの白い流星”との模擬戦が決定した。
――――
「悪い奴だなあ? 何も知らない若者を千尋の谷に突き落とすなんて?」
ムウが同情すると、バルトフェルドはばっさりと切り捨てた。
「地球のザフトはアムロ一尉の実力を知らん。
精々吹聴してもらうさ。
これでアムロ一尉のような者がゴロゴロいるオーブに手を出そうなんて、誰も思わないだろう?」
「アムロ一尉みたいなのはさすがにゴロゴロしていないだろ?」
「ワイズマン二尉やマッケンジー二尉や他にも色々いるだろう?」
「アムロ一尉とは比較できないだろ?」
「知っているか? 手を伸ばす者からすれば、手を伸ばしても届かないのであれば、
壁の高さが5メートルでも100メートルでも同じ事だぞ」
「……まあ、それもそうか」
模擬戦でアムロと対峙した時の絶望感を思い出し、ムウは納得した。
「まあ、ミネルヴァの連中にはまたと無い経験にはなるか?」
その点だけは、ムウの言葉は間違っていなかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。