転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
ルナマリアは事前にバルトフェルドに言われていた事を思い出していた。
「我々の目的はレクイエムの確保だ。護衛の黒いMSは無理に撃破する必要はない。
最悪は私たちがレクイエムを確保するまでその場で足止めしてくれればそれで良い。
よろしく頼むぞ」
「そう言われて「はい、そうですか」と素直に従うほど、私たちは大人じゃないのよねえ?」
「おい、ルナ!お前、あのMSとやり合うつもりか?そんな必要ないだろう!」
「ねえ、レイ?私たちって本当に赤服のエリートなのかなあ?」
「何?」
「赤服を与えられて、核動力のMSまで与えられて、その癖「オーブの白い悪魔」どころか、
オーブの普通のパイロットにもまともに勝てなくて、それでも「赤服のエリートだ」なんて言えるの?」
「それは・・・」
「せめてあの連中ぐらいには勝てなきゃ「赤服のエリート」だなんて胸を張れないわよ!」
「ルナ!」
「よし!俺が突っ込む!連携が崩れた後はお前たちが頼むぞ!」
「シン!」
「任せなさい!その代わりしっかりやりなさいよ!」
「おう!」
「あ〜、もう!シン!任せたからな!」
「おう!相手は「オーブの白い悪魔」じゃないんだ!あれと比べればどんな相手だって楽勝だ!」
「あんなのがゴロゴロしているもんですか!でも確かにアレと比べれば余裕ね?じゃあ、行くわよ!」
「おう!」
「ああ!」
――――
こうしてシン達ミネルヴァのMS部隊とファウンデーション王国のブラックナイトとの戦闘が開始された。
ブラックナイトの随伴機は既にアストレイの自爆攻撃によって全て排除されていた。
バルトフェルドは「アストレイの無人機にはまともな交戦は不可能」として、無人機にはビームスプレーガンすら携帯させず、
代わりに予備のバッテリーを山ほど携帯させ、PS装甲の盾を前面に押し出して突進させる事だけを繰り返させた。
PS装甲の前にはミサイルなど役に立たず、随伴機は次々と撃破された。
そして最初のアストレイが無くなれば次、それが無くなればまた次と、アーク・エンジェルからは既に、どう見ても収容しきれない10機以上のアストレイが発進してた。
これはアストレイがモジュール構造である事を生かして、コンテナに収容していた手足をその都度組み立てて、発進させていた事によるものだった。
その結果、ブラックナイトの周囲の随伴機が全滅するのに時間は掛からなかった。
その後はルナマリアたちが攻撃し、ブラックナイトはその思考を読んで対応しようとするが、アストレイの無人機が自爆を図ろうと接近。
無人機ゆえに思考が読めず、対応が遅れそうになったところにシンのデスティニーが突撃した。
デスティニーは手刀でフェムテク装甲を破壊。
そこへ装備している掌部ビーム砲パルマフィオキーナを接射するとそのまま離脱。
その後は高機動を生かして一撃離脱を繰り返した。
ブラックナイトはアコードの読心能力でシンの攻撃を先読みしようとしたが、思考を読み取った次の瞬間にはシンの攻撃がブラックナイトを貫いていた。
思考は読んでいた。
侵入角度、加速、攻撃意図。
すべて把握していた。
——はずだった。
だが、アコードが「捉えた」と思った次の瞬間には、既にデスティニーは目の前だった。
「!?」
手刀。
フェムテク装甲が切り裂かれる。
理解できない。
思考は確かに読めていた。
だが——
(なぜ間に合わない!?)
焦りが混じる。
今まで感じた事のなかった感情。
それがさらに判断を遅らせる。
しかも思考を読み取ったと思えば、無人機が接近してきて組み付こうとしてくる。
さらに無人機を避けたところにルナマリアとレイの射撃が集中する。
「くっ!」
ビーム自体は防ぐ事が出来るものの、それに気を取られている間にデスティニーが突っ込んでくる。
さらに思考を読み取っても、デスティニーの高機動時に広域散布されたミラージュコロイドによって形成された光学残像がそれを無効化した。
高機動時のわずかな一瞬で読み取った思考、それと異なる目の前の光学残像。
どちらが本物でどちらが偽物なのか?
無人機の接近を躱しながら、集中する射撃に気を取られ、思考を読み取り、光学残像の虚実を判断、さらに突っ込んでくるデスティニーへの対応。
アコードの身体能力、思考能力、判断能力をもってしても、それを焦りが生じた一瞬で判断するのは不可能だった。
しかも、それをデスティニーが高機動を駆使して突撃してくる一瞬の間に判断しなければならないのだ。
(アレが相手ではフェムテク装甲は通用しない!)
(判断を間違えれば死ぬ!)
今まで自分の能力に胡坐をかき、そのような「生命の危機」に陥った事のないアコードでは、デスティニーのプレッシャーにさらされながら、
瞬間的に「最適な判断」を選択し続ける事は不可能だった。
視界が歪む。
複数の敵影。
(どれが——本物だ?)
思考を読む。
だが、そこにある“像”と、目の前の光景が一致しない。
(思考と……現実がズレている?)
一瞬の迷い。
「しま——」
貫かれる。
爆散。
一瞬躊躇した次の瞬間には、デスティニーの手刀がフェムテク装甲を破壊し、パルマフィオキーナが撃ち込まれていた。
これにより4機のブラックナイトが全滅するのに時間は掛からなかった。
「よし!私たちだって相手が「オーブの白い悪魔」でなければ、この程度は出来るのよ!」
シン達が自分たちの矜持を取り戻した瞬間だった。
――――
事前のレイとシンの会話
「思考を読む敵か。厄介だな」
「大丈夫だレイ!俺に考えがある!」
「(???シンに考え?)どうするつもりだ?」
「決まっているだろう!突っ込んでから考える!」
「オイ!それのどこが考えだ!そんなのが上手くいくか!」
「行くぞ!援護頼むぞレイ!」
「待て~~~!シ~~~ン!」
上手くいきました。
天才には常識は通用しないという実例でした。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。