転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「さて、アウラ・マハ・ハイバル。お前に、ファウンデーション王国に降伏を勧告する」
タイガは何でもないように言った。
アウラは、タイガが何を言ったのか理解できなかった。
タイガはここから遠く離れたオーブ本島近くの海上にいる。
この距離から何かできるはずがない。
しかも自分がいるのは、オーブ自身が建設した防御力の高い基地の内部。
そう簡単に攻め落とせる場所ではない。
レクイエムでファウンデーション王国を焼くつもりなのか?
仮にも大西洋連邦の最高機密だ。
扱いに精通したジブリールがいるならともかく、そう簡単に使えるものではない。
だが、アウラにとってファウンデーション王国などどうでもよかった。
むしろレクイエムに焼かれれば、それを逆手に取り“被害者”を装い、オーブを非難する材料にできる。
そう考えていたアウラの耳に、信じられない言葉が飛び込んできた。
「核で焼かれるのが嫌なら、降伏した方がいいぞ?」
あり得ない言葉だった。
核で焼く?
オーブはアメノミハシラに核を確保しているが、弾道弾は保有していない。
何より、NJCはまだ小型化の目処が立っていない。
それなら自爆か?
あり得ない。
ここはオーブの基地だ。
しかも戦略的価値が高いわけでもない。
そんな場所に自爆用の核を設置しておく理由がない。
アウラはタイガの言葉を“ただの脅し”と判断した。
その判断は正しかった。
――普通であれば。
「バカな事を言っても無駄じゃぞ?この基地を接収した時の兵器に核はなかった事は確認済みじゃ。
そんな脅しが通用するとでも思っておるのか? “オーブの虎”も随分落ちぶれたようじゃのう」
確かに、ファウンデーション王国がこの基地を占領した際、兵器や物資はすべて接収された。
その中に核や、それに該当する兵器は一つも存在しなかった。
しかしタイガは、アウラの返答を意に介さず続けた。
「俺がその島で何をしたのか知っているだろう?
その時の“使い残し”がその島には置いてあってな。
危険物だから触るなとは言ってあるんだが、“何も知らない部外者”がうっかり触って作動させてしまう事はよくある話だな?」
その瞬間、アウラの背筋に猛烈な悪寒が走った。
タイガが大西洋連邦から割譲されたこの島で何をしたか――知らぬ者はいない。
まだNJCが開発されていなかった地球で、NJCを用いて核を作動させ、この島の表面を吹き飛ばしたのだ。
文字通り、世界を震撼させた出来事だった。
その“同じ物”がここに?
「か、核の使用が認められるとでも思っておるのか!? オーブは世界中から非難されるぞ!」
「そこにあるのは“兵器”じゃない。唯の“大規模な掃除道具”だ。
それに核を作動させるのは俺じゃない。
部外者が危険物を触って動作させてしまう事はよくある話だろう?」
タイガの言葉はどこまでも白々しかった。
しかし同時に、何一つ嘘は言っていなかった。
タイガがこの島で核を使用したのは“障害物の撤去”のため。
目的が撤去であれば、箒でも、塵取りでも、掃除機でも、重機でも、核でも――
それは単に“使う道具の違い”でしかない。
絶句するアウラの側に、オルフェが駆け寄り報告した。
「兵器以外の接収品の中に、“大規模処理用特殊危険物”というものがあります!
今、場所を確認させています!」
アウラの顔が引き攣る。
そして直後、確認に向かった者から悲鳴のような報告が届いた。
「資料の場所に巨大なコンテナがあります! 表面には掠れていますが……核のマークがあります!」
「近づくな!下手に触ると核が作動する可能性がある!」
オルフェが顔色を変えて叫ぶ。
アウラはもう言葉を発することができなかった。
「さて、返事を聞かせてもらおうか?アウラ・マハ・ハイバル?」
タイガの声は、どこまでも冷たかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。