転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
ファウンデーション王国の降伏処理は直ちに実行された。
全軍に戦闘終了が宣言され、従わない者は即座に鎮圧された。
アウラの降伏から間もなく、オーブの部隊が島に上陸し、
アウラたちファウンデーション王国軍を武装解除していった。
大半の者は敗北が信じられず呆然としていたが、一部はなお抵抗しようとしたものの、
武装解除されていてはどうにもならず、そのまま拘束されていった。
そんな中、戦場には似つかわしくない美女が島に降り立った。
――――
「アウラ・マハ・ハイバル様ですね。タイガ様の命により、この島の核を撤去しに参りました。
アリサ・ジル・サカトと申します」
アウラの前で、アリサは美しい礼をしてみせた。
「? そなたが核の撤去を?」
「はい」
アウラは不思議に思った。
このアリサという女は、どう見ても技術者には見えない。
身のこなしや視線から判断して、秘書か護衛と言われた方がしっくりくる。
同行している武官が撤去するのだろうか?
「では、こちらへ」
護衛の兵士たちに案内され、アウラたちは核が設置されているコンテナの前へ移動した。
確かに掠れてはいるが、核のマークがコンテナの表面に描かれている。
同行している武官が小型通信画面を開くと、そこにタイガが映し出された。
「タイガ様。これから核の撤去を始めます。ご確認をお願いします」
「ああ、わかった。よろしく頼むぞ」
「おまかせください」
やはりこの女が核を撤去するらしい。
しかし、どうやって?
アウラが疑問に思っている間に、コンテナの扉が開かれた。
中の大半はNJCで占められていると思っていたが、中は――空っぽだった。
そしてコンテナの床に一枚の紙が貼り付けてあった。
そこには一言「核」と書かれていた。
アリサは紙を拾い上げ、手でくしゃくしゃに丸めると、タイガに報告した。
「タイガ様。核の撤去、完了いたしました」
「ん。ご苦労」
アウラは目の前の光景を理解することを拒んだ。
あれは何だ?
あれが核だと?
自分はあんなものを――あんな紙切れ一枚を恐れて降伏したのか?
自分はあんなもののために部下に殺されそうになったのか?
あんなものにファウンデーション王国は負けたのか?
自分の人生、自分の研究、自分の国は、あんな“丸められた紙切れ程度の価値”しかなかったのか?
「いや〜、ハッタリを真に受けてもらえて助かったよ。
もしバレたらどうしようかとヒヤヒヤしたよ。
ああ、これは記念にお前にやろう。アリサ?」
「はい。アウラ様、タイガ様より記念に、という事ですので、これを差し上げます」
そう言ってアリサは、丸めた紙をアウラの手に握らせた。
全くそうは思っていないタイガの軽い声も、アリサの言葉も、アウラの耳には届かなかった。
負けた。
完全に負けた。
いや、最初から勝負になどなっていなかったのだ。
アコードを産み出した自分の過去の栄光、
アコードによって人類を導くという自分の未来の夢、
ファウンデーション王国という自分の国、
“自分という存在そのもの”。
それは、あいつの口先ひとつでどうにでもなる程度の存在でしかなかったのだ。
「……フフフ、フハハハハハ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜〜〜〜〜……」
それを理解した時、アウラの口からは空虚な笑い声しか出てこなかった。
――――
この後、タイガは「オーブの虎」以外にも、
• 口先ひとつで国を滅ぼした男
• 世界最強のペテン師
• 交渉してはいけない男
など、様々な異名で呼ばれる事になる。
こうして、大軍も、大規模破壊兵器も必要なく、
たった一枚の紙切れによって、
アウラ・マハ・ハイバルの心はへし折れ、
オーブとファウンデーション王国の戦争は終わった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。