転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。






第199話 満足感

 

 

 

「タイガ様、例の者達はどのように?」

 

プラントからの情報を統括するトモがタイガに確認を取った。

 

「もう目的は果たしたな?」

 

「はい。もはやプラントは終わりといって良いでしょう。後は連中が自滅するのを待つだけです。それも時間の問題かと」

 

生まれ故郷の滅亡を口にするトモの声には何の感情も込められていなかった。

 

「よし。それでは彼らを引き上げさせろ。

大仕事をやり遂げたんだ。

「よくやった」と俺の口から直接労ってやらねばな」

 

「ありがとうございます。彼らの苦労もタイガ様のお言葉で報われる事でしょう」

 

「何しろ自分がそうなのですから」と、タイガに聞こえないように小声で呟かれたトモの言葉は「彼ら」の心情を正確に表していた。

 

――――

 

カーペンタリアとジブラルタルのザフトは、オーブの保護下に入る事を正式に表明した。

オーブが両拠点を“租借”するという形を取り、そこに所属するザフトの装備

――MSから武器弾薬に至るまで、すべてがそのままオーブの保護下に入ると発表されたのだ。

それだけではない。

オーブは指揮下にある兵士たちの家族の移住も同時に認めた。

これにプラントは激怒した。

自分たちが苦労して更新した最新型のMSや兵装を、オーブに黙って持っていかれるなど認められるはずがない。

そこでタイガは、プラントに“代価”を提示した。

 

「カーペンタリアとジブラルタルがオーブの保護下に入る事を認めれば、向こう十年間、NJの撤去の延期を認める」

 

NJの撤去はプラントに重い負担を強いていた。

年間の撤去数は精々三百基少々。

全てを撤去するには三十年以上かかる計算だ。

しかもあくまでも“延期”であって“免除”ではない。

将来30年以上に渡って続くNJの撤去が40年以上になったからと言って何が変わるのか?

それが地球側の認識だった。

しかし、NJの撤去と、カーペンタリアとジブラルタルの維持という、重い負担に喘いでいたプラントは、

将来の負担増よりも目先の負担軽減に飛びついた。

 

かくして、オーブは実質的に何の対価も支払う事なく、カーペンタリアとジブラルタルという実働戦力を手に入れる事になった。

 

その結果、カーペンタリアやジブラルタルの兵士の家族がオーブに移住するのに合わせ、オーブに移住しようとする者たちがプラントの移民局に殺到した。

当然だが、移住が認められたのはカーペンタリアやジブラルタルの兵士の家族や関係者だけだ。

それでも“一縷の望み”に賭けて申請する者たちが後を絶たなかった。

 

そこには、独立当時に希望に満ち溢れ、自らを“新人類”と称した者たちの姿はどこにもなかった。

 

そんな喧騒をよそに、コーディネーターでありながら正規のオーブのパスポートで悠々と出国する者たちがいた。

 

――――

 

「私たちの情報も、少しは役に立ったみたいね?」

 

彼らはプラントに潜入していたオーブの諜報員たちだった。

彼らが自分たちの知り得る限りの情報をオーブに送り続けた結果、オーブは――

 

• エイプリルフール・クライシスの日時

• オペレーション・スピットブレイクの発動

• ザフトのジョシュアへの降下

• パナマ攻略の日時

• ジェネシスの存在

• ジェネシスの試作品やダミーの有無

• ジェネシスに費やされた資金の規模

• ジェネシスの大まかな位置

• 強硬派の動向

• 穏健派の存在

• デュランダルの企み

• ネオ・ジェネシスの存在

• メサイアのセキュリティ解除

• キラの暗殺未遂

• 評議会の迷走

• ブルーコスモスへの支援要請

• NJの撤去とカーペンタリアとジブラルタル駐留の耐え難い負担

 

これらを事前に察知する事ができた。

彼らの成果が表に出る事は決してない。

しかし、彼らは自分たちのもたらした結果に満足していた。

 

目の色が希望と違う?

容姿が異なる?

思ったより能力が劣っている?

成長を待つ必要はない?

そのまま破棄?

 

私たちを生み出しておいて、何を勝手な事を!

 

お前たちは――

お前たち自身のその勝手な理屈で滅びるのだ!

 

誰が意図したものでもない!

お前たち自身が選択した結果だ!

 

お前たちに虐げられた過去も、

生まれてきた理由を否定された喪失感も、

お前たち自身の手で滅びていく様を眺める、

この満足感のためにあったと思えば――

感謝できるほどだ!

 

お前たちはそのままここで“独立”という夢を抱いたまま滅びていけ!

私たちは、お前たちが滅びる様を、ゆっくり地球で見ていてやる!

 

――――

 

彼らの怨念にも似た歓喜が、表に出る事はなかった。

だが、それが時代を動かす原動力のひとつとなった事は間違いなかった。

 

 

こうしてプラントは、カーペンタリアとジブラルタルという地球上の拠点を失い、完全に宇宙に孤立した。

 

 

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。



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