転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる解釈や独自設定が含まれますのでご了承ください。
内容は全て本作における創作ですので原作との差異がありましても、
なにとぞご容赦ください。
気軽に読んでいただければ幸いです。
今作はAIで作成したものを参考に作成しました。
タイガが帰国する。
その事実を、僕はずいぶん前から知っていた。
留学の期限。
彼がここでやるべきことを、すべて終えたということ。
そして何より――彼が、ここに留まり続ける人間ではないということを。
それでも、実感が湧くまでには時間がかかった。
コンコン、と軽くノックをして、返事を待たずにドアを開ける。
昔からそうだ。タイガは、こちらが勝手に踏み込むことを嫌がらない。
正確には、「気にしていない」のだろう。
部屋の中は、妙に整っていた。
スーツケースも、ほぼ閉じられている。
「おいおい、まだ準備が終わっていないのかい?」
軽口を叩く。
こういう時、深刻な顔をするのは性に合わない。
「もう終わりだよ」
短い返事。
余計な感傷を挟まない、彼らしい言葉だった。
――だからこそ、腹が立つ。
こっちは、彼がいなくなることをどう受け止めるか、
何日も前から考えているというのに。
「じゃあ行こうか?」
彼が怪訝な顔をするのを分かっていて、わざと曖昧に言う。
「行くって?」
その瞬間、合図を送る。
友人たちが、待ってましたとばかりに部屋へ雪崩れ込む。
送別会。
彼を送り出すための、最後の悪ふざけだ。
彼が抵抗するのは分かっていた。
だからこそ、強引に担ぎ上げる。
「ちょっと待て〜〜〜!」
その声を聞いて、思わず笑ってしまった。
――こうして笑い合える時間が、もう残り少ないと分かっているから。
――――
夜の学園都市を、彼は文字通り走り回ることになった。
送別会、という名の「お礼回り」。
もちろん、半分は建前だ。
だが半分は、本気だった。
彼は自分が思っているより、人に覚えられる男だ。
自覚がないだけで。
「分かってないな〜」
わざとらしく言ってやる。
「忙しい時に、わざわざ来てくれる。それだけで印象は段違いだよ?」
本当は――
彼が、自分の人生に“人との繋がり”があったと気づいてくれれば、それでよかった。
案の定、彼は拳を振り上げた。
だが、それでいい。
こういうやり取りも、もう出来なくなる。
――――
深夜の空港ロビー。
息を切らす彼の隣で、僕は青あざの痛みをこらえていた。
「結局、間に合わなかったねえ?」
嫌味を言う。
本気で責める気はない。
実際、間に合わなくても問題はなかった。
最初から、代替手段は用意してある。
彼が怒るのも当然だ。
だが、その怒りの奥に、微かな充足があることに僕は気づいていた。
――ああ、彼は確かに、誰かのために走ったのだ。
それだけで十分だ。
――――
飛行機を待つ間、僕は彼を観察していた。
昔からの癖だ。
彼は目的のためなら、人を切り捨てる。
冷酷と言っていい。
だが同時に、
切り捨てたことを、決して誇らない男でもある。
だからこそ、ずっと気になっていた。
「君の目的は、一体なんだい?」
核心に触れる質問。
彼が黙るのは分かっていた。
彼の行動には、明らかに“過剰”があった。
政治、軍事、思想、経済――
どれも単体では意味をなさない知識を、必死に積み上げている。
まるで、
“来るはずのない破滅”に備えているかのように。
彼は夢の話をした。
オーブが焼かれる夢。
民が殺され、彼がそれを止められない夢。
――ああ、やっぱり。
それは夢ではない。
少なくとも、彼にとっては。
彼が嘘をついていることは分かった。
だが、嘘の中に、真実が混じっていることも。
だから僕は、これ以上は聞かなかった。
「そういう事にしておくよ」
その一言で十分だ。
理由などどうでもいい。
彼が“止めたい”と思っている未来があるなら、
僕はそこに手を貸すだけだ。
それが親友というものだろう?
――――
搭乗の時間が来る。
別れは、あっけないほど短かった。
「またどこかで!」
彼が振り返らずに手を挙げる。
……本当に、格好をつけるのが下手な男だ。
だから、最後の悪戯を用意した。
骨董品みたいなプロペラ機。
時間だけは、やたらとかかる。
彼が怒鳴る姿が目に浮かぶ。
だが、それでいい。
長い移動時間は、
彼がこれまでを振り返るには、ちょうどいい。
それに――
少しくらい、僕のことを思い出してくれてもいいだろう?
「元気で」
そう呟いて、僕は空港を後にした。
数日後、
彼が無事オーブに帰り着いたと聞いた。
兄たちにこっぴどく叱られたとも。
……まあ、それも含めて。
親友が無事なら、それでいい。
彼が止めようとしている未来が、
どれほど愚かで、無謀で、
それでも抗う価値があるものだとしても。
――その時は、また肩を並べよう。
その時、敵か味方かは分からないけど。
彼が親友である事には何も変わりはないのだから。
※あとがきです。
読了ありがとうございます。
アズラエルから見たタイガとの別れでした。
「彼が親友である事には何も変わりはない」
これが原作と最も大きな差異、タイガとの出会いからの数年間を表しています。
彼にはどのようなう運命が待ち受けているのでしょうか?
内容は全て本作における創作ですので原作との差異がありましても、
なにとぞご容赦ください。
次回お楽しみください。