転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「ようこそ“赤い彗星”。お会いできて感激だよ」
そう言うタイガの言葉に、シャアは困惑していた。
自分は一介のパイロットに過ぎない。
娼館の主から何度も「自分達の旗頭に」と請われたが、「パイロットと両立できない」として断った。
鎮圧軍を退けねば旗頭も何もあったものではないのだから当然だ。
さすが「オーブの白い流星」の名は伊達ではなく、正規のパイロットどころか軍人としての訓練も受けていないシャアでは長時間の戦闘は不可能であった。
後先を考えず全力で戦闘を続けた結果、体力の限界により集中力が尽きればそれまでだった。
自分に匹敵する――しかも戦闘経験は確実に上回っている“ニュータイプ”が相手では、
短時間では上回る事は出来ても、経験不足のシャアが勝てるはずもなかった。
MSの手足を撃ち抜かれ、ビームサーベルでダルマにされ、結局シャアは捕虜になった。
そして連れてこられたのが、なぜかオーブにいるはずのタイガがいる天幕の中だった。
(自分のような一介のパイロットに“オーブの虎”が何の用だ?)
しかしタイガの言葉は紛れもない本音だった。
(あのシャアが! 本物の“赤い彗星”が!本人が現実に俺の目の前にいる!)
カルアやアリサやトモ、他の護衛たちの目に見えないところでタイガは猛烈に感激していた。
しかし、いつまでも感激しているわけにはいかない。
「アムロ一尉」
「はっ!」
「拘束を解いてやれ」
「は? しかし……」
タイガはシャアをここまで連れてきたアムロに命じた。
「今さら暴れたりせんだろう? そうだろう、キャスバル・レム・ダイクン?」
「!!!」
シャアは今までで最大の衝撃を味わった。
自分の本名は誰にも言っていない。
ララァでさえ知らないのだ。
それを“オーブの虎”がなぜ?
「アムロ一尉? 君も挨拶をした方がいいんじゃないか?
何しろ君の義理の兄になる人なんだからな?」
「は? 義理の兄? ですか?」
「その男はジオン・ズム・ダイクンの息子、キャスバル・レム・ダイクンだ。
つまりセイラの兄だ」
「!!!」
今度はアムロが驚愕する番だった。
「セイラ? アルテイシアか?」
「え〜、セイラ……じゃなくてアルテイシアさんとお付き合いさせていただいている
アムロ・レイです。
多分近いうちにあなたの義理の弟になる事になります」
「君とアルテイシアが?」
シャアは驚愕した。
シャアの頭の中では、アルテイシアはまだ小さな子供でしかなかったのだ。
その小さなアルテイシアがこの男と結婚する?
そんな事は認められない!
という思いと、
自分を打ち破るほどの男のどこが不満なのか?
という思いがシャアの中でせめぎ合う。
唸り声を上げて黙り込むシャアを前に、タイガは改めて用件を切り出した。
「シャア・アズナブル――いや、キャスバル・レム・ダイクン。
君には西ユーラシア独立の旗印になってもらいたい」
タイガの口から出てきたのは、出撃前に娼館の主から言われた事と同じ内容だった。
※あとがきです。
裏設定
ラクス・クライン
「あら? ここはザフトの船ではないのですか?」
プラントの歌姫、アコードのオルフェの番として作成されたという話があるが、詳細は不明。
もっとも、レオンが聞けば「産まれた理由がどうであれ、生きる意味は自分で決める」と言って気にもしなかったであろう。
はっきり言って関係者がことごとく鬼籍に入っていたり、刑務所に収監されていたり、廃人同様だったりするので確認する方法はほぼ無い。
もはや『言った者勝ち』でしかない。
そもそも“ニュータイプ”によってコーディネーターの存在価値が地に落ちている以上、“コストダウンに成功したスーパーコーディネーター程度”でしかないアコードにもはや存在価値など無い。
コストダウンに成功したと言っても、アコードの作成には多大なコストと時間がかかるのは変わらない。
そして、いくら多大なコストと時間を費やして作成されたアコードでも、自然に産まれた“ニュータイプ”の前では赤子同然でしかない。
もはや、わざわざ多大なコストと時間を費やしてアコードを、コーディネーターを作成しようという者はもはや存在しない。
本人はそんな事も知らず、活動の場をオーブに移して活躍中。
(コンパス総裁?知らない人ですね?タイガの事では?)
ちなみにNJ投下後のC.E.では人口問題解決の為に、シングルマザー、シングルファーザーへ手厚い保護が為されている。
戸籍も混乱し、同一人物が国ごとに複数の戸籍を持っている事さえ珍しくない。
(つまり?)
タイガの同類が存在しても不思議ではない(笑)
いくら「プラントの歌姫」として人気があっても、エイプリル・フールクライシスを引き起こしたシーゲル・クラインの娘という事実に変わりは無く、オーブ移住時には有形無形様々なトラブルがあった事は想像に難くない。
それに対応したのがオーブで裏方を担当していたキラだったのだが・・・
その後、一時期活動を休止していたラクスが子供を抱いていた写真が出回った事があったが、その詳細と真偽は不明である。
アンドリュー・バルトフェルド
「笑えないし、冗談にもなっていないんですがねえ……」
「砂漠の虎」の異名を持つ勇将。
タイガと関わったばかりに『地球の運命』を背負わせられる事になる不幸な人。
放置すれば自分の身も危ないので選択の余地は無かったとは言え、タイガの無茶振りに応える事の出来る能力を持っていた事が彼の不幸の始まりだった。
それ以降、なし崩しに『コンパスの現地総指揮官』まで押し付けられる事になる。
しかし原作のように負傷する事も、恋人と死別する事もなく、滅びゆくプラントから離れられた事が救いとなった事は間違いない。
タイガにスカウトされて救われた事は自覚して感謝しているし、その手腕にも信頼を置いているが、その実行が自分に無茶振りされる事には未だに納得していない。
唯「他に実行できる人材がいない」というタイガの言葉に、現状を不承不承理解した結果、ほとんど諦めている。
その結果、趣味のコーヒーのブレンドがエスカレートし、休暇中は一日中コーヒーのブレンドに没頭し、一部屋が丸ごとコーヒー豆で埋め尽くされる事になった。
彼の趣味は、試飲を強制される部下や同僚や恋人からは甚だ不評である。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。