転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第208話 報い

 

 

 

「まあ、独立と言っても本当に独立するのではない。『実質的に独立してもらう』という事だ」

 

「?どういう事ですか?」

 

意味不明なタイガの言葉にアムロが訊き返す。

 

「それを説明する」

 

タイガの答えは簡潔だった。

 

「さて、現在の西ユーラシアの状況だが非常によくない。

この独立騒ぎが収まっても、また同じ事が繰り返されるのは目に見えている」

 

タイガはアムロとシャアに現状を説明した。

 

「……すみません、これは自分が聞いていても良い事でしょうか?」

 

アムロが言外に「自分は一介のパイロットだ」と主張して尋ねる。

 

「君にも関係がある。ひとまずは聞いていてくれ」

 

その言葉を聞いてアムロは黙り込んだ。

知って良い事と知らないで良い事は区別されるべきだ。

いわゆる “Need To Know” というやつだ。

 

「我々“コンパス”は現状からの国境変更を認めていない。

つまり、仮に西ユーラシアが独立した場合、ユーラシア連邦への侵略とみなして鎮圧しなければならなくなる」

 

「!!!」

 

「そんな……」

 

「これがユーラシア連邦からの独立だけだったら問題なかったんだがな。

ユーラシア連邦が国内統制に失敗して分裂するだけなんだからな。

しかし現状ではまだユーラシア連邦は健在だ。

そして既に“コンパス”に鎮圧を要請している。

そうなるとユーラシア連邦の要請に応えざるを得ない」

 

「……」

 

「どうにかならないんですか?」

 

アムロの疑問に、タイガが答えた。

 

「だから君の存在が必要だ。キャスバル・レム・ダイクン?」

 

「私の?」

 

「君にはここから我が軍のMSを奪って脱走してもらう」

 

「何?」

 

「は?」

 

「脱走した君は素性を明かし、自分はキャスバル・レム・ダイクンである事を表明する。

そして西ユーラシアには“国家として独立する”のではなく、“自治区として成立”してもらう」

 

「自治区ですか?」

 

アムロの疑問にタイガは簡単に答えた。

 

「そうだ。国家と違って外交権もないし、独自の軍事力もない。

あくまで住人が自治を行うためのものだ」

 

「……そんなものはすぐにユーラシア連邦に踏み潰される」

 

シャアの懸念を、タイガは不敵な笑みで一蹴した。

 

「“オーブの白い流星”と互角に渡り合う存在がいる場所に、誰が攻め込むのかね?」

 

「!?!?!?」

 

「!?!?!?」

 

それは紛れもない事実だった。

今まで絶対無敵の神話じみた伝説であったアムロ――

その“白い流星”とこれほど長時間渡り合った者など存在しなかった。

しかも実際にユーラシア連邦はシャアの手によって一度敗退している。

 

「キャスバル・レム・ダイクン。

君には西ユーラシアを守る守護神としてベルリンに君臨してもらう。

“オーブの白い流星”と互角に渡り合い、オーブの最新MSを奪い脱走した、ニュータイプ論の生みの親――ジオン・ズム・ダイクンの息子としてな」

 

「西ユーラシア独立軍は鎮圧された以上、ユーラシア連邦の依頼は終了だ。

その後の統治はユーラシア連邦の問題だ。

自治区が出来ようが、分裂しようが“コンパス”には関係ない」

 

「いいんですかそれで?」

 

アムロの疑問を、タイガは鼻で笑い飛ばした。

 

「手間だけかけさせて、美味い所だけ持って行こうとした連中に何を遠慮する必要がある?

連中には精々、骨に付いた肉でもしゃぶっていてもらうさ」

 

「キャスバル・レム・ダイクン。

君にはオーブのMSを持って行って、早急に自治区の準備を進めてもらいたい。

ユーラシア連邦が来る前に自治区の準備が終われば君たちの勝ちだ。

自治区を君が守っていれば誰も手出しは出来ない。

その後はアムロ一尉と君が義兄弟だという事を公表すれば完璧だな」

 

「自分とですか?」

 

アムロの疑問に、タイガは簡単に答えた。

 

「義理の兄弟が殺されれば、“オーブの白い流星”が完全に敵に回ると誰でも理解できるだろう?」

 

その通りだった。

仮にシャアを暗殺してユーラシア連邦が西ユーラシアに攻め込む脅威を排除しても、それが明るみになれば確実に“白い流星”が敵に回る。

あの“オーブの白い流星”が。

実質的に西ユーラシアは、“白い流星”とそれに匹敵する“赤い彗星”という二大戦力を保有しているに等しかった。

 

「そして西ユーラシアが自治区として成立すれば、ユーラシア連邦の国力はほぼ半減だ。

俺を便利屋扱いしようとした報いだ。精々後悔してもらうさ」

 

こうして一度は“白い流星”に敗北したシャアは隙を見てMSを奪取して逃走。

自分がジオン・ズム・ダイクンの息子、キャスバル・レム・ダイクンである事を表明。

西ユーラシアを守り抜く事を宣言し、奪取した「赤いゲルググ」でベルリン前に立ちふさがった。

 

自分が受け取る筈だった、オーブとザフトのハイブリッドの試作機である「赤いゲルググ」をシャアに持っていかれる事になったルナマリアは文句を言ったが、

バルトフェルドの「“赤い彗星”と同じ事が出来るなら、そのまま使っていいぞ?」という答えに一言も言い返せず沈黙した。

 

ベルリン市民は熱狂した。

敗れたと思っていたシャアが戻ってきてくれた。

しかも本当はあのジオン・ズム・ダイクンの息子だという。

それだけでなく、自分達を守るためにベルリンにMSで仁王立ちしているのだ。

正にベルリンの――西ユーラシアの守護神だった。

 

それは、力による絶対的な平和の提示だった。

「オーブの白い流星」という「最強の神話」を唯一傷つけうる存在――。

その伝説を纏ったシャアが、ジオンという「ニュータイプ論の始祖」の血を引く「守護神」としてベルリンに君臨する。

その象徴的な恐怖こそが、何よりも強固な国境線となった。

 

シャアが戻った後、西ユーラシア独立派は早急に自治区の構想を作成し、独立軍や市民軍の武装を放棄して解散。

 

ベルリン前のシャアの排除を要求するユーラシア連邦に対し、“コンパス”は

「非武装のMSが突っ立ってるだけで何の意味がある?」

と言って干渉しようとしなかった。

 

“コンパス”撤収後、ユーラシア連邦軍はベルリンに近づいたが、シャアのゲルググを恐れて一定距離から一歩も近づけなかった。

 

独立軍は武装解除した?

非武装?

武器の隠し場所など街中にはいくらでもある。

MSは武器を持てばそれで武装は完了する。

非武装に見えても、隠してある武器を持つだけでいい。

戦車や航空機なら大規模な保管場所が必要だが、MSの武装だけならそんなものは必要ない。

接近した途端、抵抗も出来ずに撃破されるのが目に見えている。

それではこちらもMSを用意すれば?

『オーブの白い流星』相手では12機のジンでも3分も保たなかった。

それに匹敵する『赤い彗星』を相手にいったい何機のMSを用意すればいい?

20機か?

30機か?

それで何分保たせる事が出来る?

6分か?

10分か?

それに何の意味がある?

ユーラシア連邦軍はベルリンを遠巻きにする事しか出来なかった。

 

さらにユーラシア連邦上層部が西ユーラシアに干渉しようとしたが、「それは既に自治区で執行済み」として悉く拒否された。

 

結局、名前だけはそのままだが、政治的にも軍事的にもユーラシア連邦は実質的に西ユーラシアを失い、国力は半減した。

 

その後、“赤い彗星”キャスバル・レム・ダイクンと“オーブの白い流星”が義兄弟である事が公表され、西ユーラシアは周辺国から

「触れてはならない国(アンタッチャブル)」と呼ばれるようになる。

 

「素直に西ユーラシアの独立を認めた方が良かったのでは?」という声が上がったが、それはもう手遅れだった。

 

こうして“コンパス”を自国に都合よく扱おうとしたユーラシア連邦は、勢力を大きく減じる事になった。

 

タイガを便利屋扱いしようとした報いとして、また世界の勢力図が書き換えられる事になった。

 

世界は――

これまでタイガが成し遂げてきた、

“プラントの敗戦”

“ファウンデーション王国滅亡”

“レクイエム譲渡”

“大洋州連合加盟”

“カーペンタリアとジブラルタルの保護下”

そして今回の

“西ユーラシア自治区成立”

によって

• 口先ひとつで国を滅ぼした男

• 世界最強のペテン師

• 交渉してはいけない男

というタイガの異名を改めて確認する事になった。

 

こうしてタイガの手によって、またしても世界のパズルのピースは、誰もが予想だにしなかった形へと強制的に嵌め込まれていき、

その姿を大きく変える事になった。

 

 

 

 







※あとがきです。

裏設定
シャア・アズナブル(キャスバル・レム・ダイクン)
「また来るよ。それまで元気でな。ララァ」

説明不要の“赤い彗星”。
アムロに匹敵する“ニュータイプ”。
幼少時から“ニュータイプ”に目覚めていた為、“ニュータイプ”としての潜在能力はアムロに匹敵、もしくは凌駕する。
しかし、基本的なパイロットとしての訓練も受けておらず、軍人でさえないシャアでは、
体力が尽きればそれまでだった。
さらに“ニュータイプ”の資質そのものとは別に、“ニュータイプの能力を戦闘に活かす経験”はアムロの方が遥かに豊富だった為、アムロに敗北する事になる。
だが結果的にその戦闘によって、シャアが明確に『アムロに匹敵する実力を持つ』と世界中に知らしめる結果になる。
主にパイロット一筋だったアムロと異なり、後にシャアは世界を統べる立場になり、世界は“ニュータイプ”に導かれる、文字通り新しい(ニュータイプ)時代が到来する事になる。


レオン
――冗談じゃない。産まれた理由がどうであれ、生きる意味は自分で決める。自分は、自分だ。

NJの撤去作業員。
後のプラント評議会議長。
少年の頃トモの隣に住んでいた幼馴染。
超富裕層のトモの隣に住んでいた事から分かるように、彼も超富裕層の出身。
最初期のコーディネーターとしては高い能力を持っていたが、『最初期のスーパーコーディネーター』とも言えるトモでは相手が悪かったとしか言えない。
そのトモがあっさり捨てられた事からプラントのあり方に疑問を持つ。
そしてその疑問が正しかった事を思い知り、『プラントの滅びの道』を整え、プラントの破滅を決定づける。
親からは『道具』としての『優れた性能の子供』を期待されていたが、『自分の一生は自分で決める』という信念の元、プラントでの成人年齢を迎えると同時に家から独立。
『道具』という自分の生まれた意味を自分で否定した、ある意味クルーゼの対極の位置にいる人物。
NJ投下の結果に衝撃を受け、プラント市民に自覚を促すべく、地球の惨状を公開する。
しかし、そんな彼の熱意も『幼児の王国』の住人が相手では何の意味も無いものだった。

実は、彼がクルーゼの立場であった話として『自分の一生を記録に残し、それをアル・ダ・フラガの政敵に売り渡し、『悲劇の登場人物』として大々的に世間の同情を集め、アル・ダ・フラガを筆頭にクローン行為に関わった者達は、即座に社会的地位が抹殺されるほどの忌避感を持たれるほどにまで社会を動かし、その結果クローン体作成自体が禁忌となり、以後自分のような者が生まれる事が無いように手を打ち、安心して息を引き取る』
という話を考えていたが、ストーリーの入る余地がないので断念した経緯があり、単なる作業員として採用。
しかし元の設定の為か、作者も意図しない重要人物になっていく事になる(笑)


お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。



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