転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「だから、プラントはすぐにでも滅ぼすべきなのです!」
サザーランド大佐は軍の高官たちの前で熱弁をふるっていた。
「しかしだねえ、サザーランド。今さらプラントを滅ぼす理由などないではないか?
もう連中には大した力は残っていないのだぞ?」
「理由ならあります! プラントはNJCの制御を握っているではありませんか!
連中の気分次第でいつNJCが停止させられるかわかったものではないのですぞ!
連中に我々の生殺与奪の権を握らせたままにするなどあり得ない事です!」
事実であった。
地球側がまだNJCの小型化・量産化に成功していないのに対し、プラントは既にフリーダムやプロヴィデンスに搭載可能なサイズにまで小型化している。
地球に散布されたNJの総数は1万基を超える。
それに対して年間の撤去数はわずか数百。
完全撤去には数十年かかる。
――その間、地球は核エネルギーを使えないままなのか?
そんな事はあり得なかった。
NJ撤去までの緊急措置として、地球連合はプラントにNJCの生産を要求し、世界各地に約1000基を設置した。
一基の有効範囲は数百キロ。
これで最低限の発電・通信は復旧した。
しかし同時に、それは
「NJCが停止すれば再び地獄に戻る」
という意味でもあった。
しかも復旧したのは最低限の範囲のみ。
散布前の水準に戻すには散布された約1万基のNJの倍、約2万基が必要と試算された。
敗戦したプラントにそんな数を生産する余力がないのは言うまでもなかった。
「NJCの代価に食料を要求しては?」という案もあったが、オーブが既にNJCを生産している以上、
いずれ地球側も量産化に成功するのは時間の問題だった。
量産化されればプラントは不要になる。
その時に食料を要求していれば――「不要になった瞬間に切り捨てられる」のは目に見えていた。
アズラエルの言うように、「餓死者が出るまで放置される」可能性すらあった。
こうしてNJCの生産は、プラントの生命線となった。
地球側が量産化に成功するまでの、短い猶予の生命線ではあったが。
そして現状ではまだ地球側の量産は始まっておらず、サザーランドの言う通り、「プラントに生殺与奪の権を握られている」状態だった。
以前キラが言った
「食糧輸送はプラントの生命綱」
「自分で自分の生命綱を手放してどうする?」
という言葉と同じである。
例えプラントにそのつもりがなくても、「NJCを停止されたくなければ降伏しろ」と迫られれば拒否は難しい。
拒否すれば――
一億数千万の犠牲者が出た悲劇が再現される。
プラントがそれを実行しない保証はどこにある?
既に一度やっているのに?
もう一度やらないとなぜ言える?
サザーランドの強硬論は、プラントへの不信と恐怖の裏返しだった。
もっとも、そんな事をすればプラントは弁明の余地なく、今度こそ核かレクイエムで滅ぼされるだろう。
しかし「自分の生命線を相手に握られている」という恐怖は、それらの理屈からサザーランドの目を逸らさせていた。
これを解消するには、地球でNJCを生産できるようになるしかない。
NJCさえ量産できればプラントは用済みだ。
いや、量産の目途さえ立てば、
NJC停止の危険を放置する必要はない。
NJCに干渉できないように、
今度こそ核で焼き尽くしてくれる!
いや、核がなくてもレクイエムがある。
プラントを焼き尽くす事は可能だ。
今は名前だけオーブが握っているが、
NJC量産の暁にはレクイエムでプラントを焼き尽くし、大西洋連邦こそが“コーディネーターからの永遠の解放者”になるのだ!
サザーランドの妄執は大西洋連邦を超え、世界を覆いつつあった。
サザーランドの誤算はただ一つ。
この世界には既に“オーブの虎”が存在した事だった。
※あとがきです。
裏設定
カガリ・ユラ・アスハ
「お前の家族が亡くなったことは、残念で悲しく思う。だが私は──お前に謝らない」
オーブの姫君。
名目上はウズミ・ナラ・アスハの養子だが、実子として黙認されている。
実際にはキラの双子の姉弟でユーレン・ヒビキとヴィア・ヒビキの娘。
幼少の頃の経験でタイガの郎党のアリサには恐怖と共に絶対服従を骨の髄まで叩き込まれている。
しかし、オーブの姫君として、上に立つ者の立場では、例えアリサに対してでも正面から一歩も引かない姿勢を見せる。
これはタイガによる教育の賜物であり「オーブという国を背負って立つ以上、例えどんな相手でも一歩も引くな!」という教えによるもの。
その言葉通り、恐怖の対象であるはずのアリサに対しても一歩も引かない姿勢を見せ、「カガリ様、ご立派になって・・・」とアリサを陰で感涙させていた。
もっともアリサに言い返している間、カガリの足は震え、心臓は早鐘を撃ち、その場から逃げ出さずにいるのが精一杯だったが、そんな事は外部からは窺い知る事は出来なかった。
数年後、離婚歴のある某男性を王配として迎えるものの、男性の前妻とも親しく交流を持つようになる。
これはエイプリルフール・クライシスで家族を亡くした人が大量に産まれた結果、男性が複数の女性を援助したり、女性が複数の男性から援助を受ける事が必然となった事が背景にある。
手を差し伸べねば生命を落とす女性に対し男性が手を差し伸べない理由はなく、女性も複数の男性から援助を受けねば生き残れない状況は珍しく無かった。
その結果、エイプリルフール・クライシスの混乱が収束した後には、伝統的な一夫一婦制は以前程社会的に厳格化される事は無くなり、複数の異性への援助を行ったり、援助を受けたりするのは黙認されるようになる。
男性の前妻と娘も仮にもオーブの王配の関係者なので、オーブの王族に準ずる扱いを受けるようになる。
これに関するキラの言葉
「離婚したのに同じ場所で暮らしてるって離婚した意味あったの?」
娘に恵まれたがその娘も後年子供に恵まれず、アスハ家は断絶の危機を迎えるが、タイガの血を引く親王家を養子とする事でアスハ家の断絶は回避される事になる。
一部の氏族の者は「これでアスハ家の正統は戻った」と意味不明な理由で歓喜した。
アスラン・ザラ
「……お前を憎んでいた。……恨んでいた。……でも、……お前が生きていてくれた事の方が、ずっとうれしい……」
後のプラント評議長パトリック・ザラの息子。
母の仇討ちの為にキラをプラントに誘うが拒絶される。
その後、“プラントの真実”を目の当たりにし、未来を変えるべく奮闘するが、徒労に終わる。
アムロとの模擬戦で“ニュータイプの前では、ナチュラルやコーディネーターなど《誤差》に過ぎない”と実感する事になる。
自分が信じていたものが《全て砂上の楼閣に過ぎない》と思い知らされた後は、少しでもプラントを《良い方向》へ導こうとするが、
“幼児の王国”の住民相手では無駄な努力でしかなかった。
オーブがプラントから完全に手を引いた後は、プラントは自分から破滅の道を歩む事になり、アスランも『自分で変わらないなら打つ手はない』と認めるしかなかった。
キラのオーブ帰国に合わせてオーブに帰化。
失意に沈んでヤケ酒を煽っている所に某女性と一夜を共にする。
数か月後、その女性から相談された内容については固く口を閉ざしている。
その後、オーブから姿を消し行方不明となる。
その前後からアレックス・ディノなる人物が姿を現しているが、アスランとの関係は不明である。
ちなみに書類上、アスランとこの“アレックス・ディノ”なる人物は別人で戸籍も別々に存在している。
つまり住民登録、婚姻届、離婚届等は別々に登録が可能。
そしてこのアレックスなる人物は、プラントから帰化した某女性と結婚後、離婚している。
その後紆余曲折を経て、何故か某場所でほぼ同居生活を送っている。
キラの「離婚した意味あったの?」という言葉は残当でしかない。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。