転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話には今後の展開に関わる設定・伏線が含まれています。
大きな独自設定・原作改変がありますのでご注意ください。
拙作における独自解釈が多いですが、楽しんでいただければ幸いです。
閑話4 カガリ
「で、兄上、これはどういう事ですか?」
就任式直前の忙しい中、タイガはウズミに呼び出されていた。
正確に言えば、アスハが加護する“訳ありの女性”のひとりの家に。
そこでウズミから「私の子だ」と金髪の子供を紹介されたタイガの心境を述べよ。
「そ、そうですよ兄上! 今までそのような噂ひとつ無かったではないですか!
いきなりそのような!」
ホムラも寝耳に水だったのか、大声を上げる。
「生まれた時に病弱で、長くないと言われていてな。
公表した途端に“死んでしまいました”などと言えないだろう?
だから病気が完治するまで表沙汰に出来なかったのだ」
「そ、そうですか、そういう事なら……」
ホムラ兄上はあっさりと納得したようだ。
「それで、これからの事をお前達も含めて話し合っておきたくてな。
この子の立場もあるしな」
「しかし五大氏族は血縁者が継ぐ事はできなかったのでは?」
「表向きは養子という事にすればよい」
「ま、まあ分かりました」
「納得はしていませんが、まあいいでしょう。
しかし兄上、後でちゃんと説明していただきますからね」
そう言って、タイガはオーブの未来がかかった“家族会議”に参加した。
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「いや〜、何とかなりそうだな」
「そうですね」
話し合いの後、タイガとホムラは一息ついていた。
「しかし兄上も、わざわざこんな時でなくても」
「いやいや、タイガ。こんな時だからだろう」
「? どういう事ですか?」
「式典と言っても、私達に出来る事はもう無い。
兄上に至っては司会に呼ばれたら壇上に出て行くだけだ。
もう本人に出来る事などないのさ」
式の内容の重要さはともかくな、と続けるホムラに、
タイガはなるほどと応じた。
「しかし、あの子の事が何とかなりそうで良かった」
ニコニコと自分の事のように喜ぶホムラに、タイガは疑問をぶつけた。
「兄上? あの子がウズミ兄上の子と認められるという事は、
あの子がアスハ家の跡継ぎという事になるのですよ?
不満に思わないのですか?」
「兄上の子がアスハ家を継ぐのは当然の事だ。
私はその手伝いが出来ればそれで良い。
兄上に代わってオーブを差配するなど、私の器ではない」
“お前の手伝いをするのでも良いな”と、
野心の欠片も無く笑うホムラに、タイガは毒気を抜かれた。
タイガは、ああ、この兄は全く……と思いながら、
この兄の弟として生まれた事を感謝した。
同時に、存在するのかも不明な、
自分をこの世界に転生させた何者かを呪う事も忘れなかったが。
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「さて、明日の用意もあるし、私はそろそろ戻る事にする。
タイガ、また明日な」
「はい、また明日」
ホムラが帰った後、タイガはウズミのいる場所へ向かった。
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ウズミは子供の部屋にいた。
周囲には絵本や子供用の遊び道具が散乱し、
この子供が普段からじっとしているタイプではない事が伺えた。
ウズミはベッドに眠る子供を、優しい顔で見つめていた。
「兄上」
「タイガか」
「その子は兄上の子供ではありませんね」
タイガは大上段から切り込んだ。
「何故そう思う?」
「この子の年からすると、生まれたのは3〜4年前。
その頃兄上が付き合っていた特定の女性はいない。
もしいれば兄上の事だ。
子供が生まれると聞けばソワソワして何も手に付かず、
珍しく周囲に迷惑をかけていたはずだ。
でもそんな話は聞いた事がない。
それならその子は兄上の知らない所で生まれたか、
全く関係ない赤の他人だ」
タイガの言葉は続く。
「その子を兄上の子と認めるという事は、
その子は将来オーブを背負う事になります。
何の関係も無い子供に、そんな重荷を背負わせるつもりですか?」
タイガの言葉を聞き終えたウズミは、ゆっくりと答えた。
「重荷か。
重荷というなら、それを重荷と思わないよう育ててやれば良い。
それに、この子がアスハを継ぎたく無いと言うなら、
ホムラやお前がいる。何も心配は無い」
タイガは(原作でもこうだったのか)と思いながら口を開いた。
「つまりその子には、オーブの首長レベルでなければ守れない、
オーブが国を挙げて守らなければならない秘密がある。
という事ですね」
その言葉にも、ウズミは一切動じず口を開いた。
「国にとって、子供を守る事以上に大事な事があるのか?」
そう言ってウズミは、優しい顔で子供の寝顔を見つめた。
それを見たタイガは、大きくため息をついた。
「分かりました。もうこれ以上は聞きません。
でもこれだけは教えてください」
「ん? 何だ?」
「名前です。その子の名前は?」
ウズミは大きく目を開き、苦笑した。
「ああ、まだ教えていなかったか」
そして、タイガが既に知っている名前を口にした。
「カガリ。カガリ・ユラ・アスハだ」
後にオーブの姫君として民に愛される、
世界の秘密を半身に持つ存在が世に生まれた瞬間だった。
※あとがきです。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
本話はアスハ家・氏族制度・国家運営に関する独自設定が含まれます。
原作とは異なる描写がありますのでご注意ください。
しばらく閑話が続きます。
次回お楽しみください。