転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第215話 礎

 

 

 

ここは大西洋連邦の首都、ワシントンDC。

大西洋連邦の首脳たちが、今後の予定を話し合っていた。

 

「全く、ユーラシアの連中め、役に立たん奴らだ」

 

「まあそう言うな。少なくとも“オーブに宣戦布告する”という最低限の役割は果たしたのだ。

最後に我々の役に立ったのだから、連中も本望だろう」

 

「全くだな」

 

「その通りだ」

 

「それよりもレクイエムの把握は大丈夫なのでしょうね?」

 

「もちろんです、大統領」

 

「サザーランドがダイダロス基地の近くで待機しています。

バックドアでレクイエムを掌握次第、基地を制圧する手はずです。

ハッキングした上に物理的に制圧すれば、オーブはもう手出しできません」

 

サザーランドの主張は大西洋連邦の上層部に全面的に受け入れられ、それどころか直接大統領が対応する重要案件となっていた。

 

「よろしい。これで名実ともに我が大西洋連邦が地球連合そのものとなるのですね。

わざわざ我々のために苦労してくれたオーブには感謝しないといけませんね」

 

「全くですな」

 

「あのような小国が地球連合の代表のような顔をしているのは許しがたい事です。

連中は黙って我々の言う事を聞いていれば良いのですから」

 

「レクイエムを把握次第、予定通り行います。よろしいですね?」

 

「はい、大統領」

 

「お任せください」

 

「我々の栄光の始まりですな」

 

彼らは、自分たちの“予定”が間違いなく実行されると信じていた。

それによって輝かしい未来を手に入れられると疑わなかった。

だが――

タイガが、“オーブの虎”が、黙ってそんな事を許すはずがなかった。

所詮、彼らの栄光は束の間の夢でしかなかった。

 

――――

 

「動きませんね?」

 

「そろそろ何か反応があってもいいはずなんだが?」

 

パナマ基地前でのバルトフェルドと、通信画面越しのタイガの会話である。

 

「お?」

 

そんな二人の平穏は、タイガのいるオーブの執務室に大西洋連邦からのホットラインが入った事で終わった。

いったんバルトフェルドとの回線を切ると、タイガはカルアにホットラインを繋ぐよう命じた。

 

「つなげ」

 

「はい」

 

カルアが回線を開くと、画面には大西洋連邦の女性大統領――フォスターが映し出された。

 

「お久しぶりですね、“オーブの虎”」

 

「これはこれはフォスター大統領。

おたくの軍がパナマの地球連合基地を占拠していましてね。

直ちに撤収させていただけませんか?」

 

タイガは挨拶も外交辞令も省略し、用件だけを突きつけた。

フォスターは予想外の直球に顔を引きつらせながら答えた。

 

「その必要は無いわ。あれは私の命令でやっている事なのだから、撤収させる必要は無いわ」

 

タイガの眉がピクリと動く。

 

「ほう? つまり大西洋連邦は武力による侵略行為を認めると?

“コンパス”の設立理由に該当しますので、強制的に排除される事になりますよ?」

 

「“コンパス”のスポンサーは我々大西洋連邦よ?

あなたを“コンパス”の総裁から解任する事も出来るのよ?」

 

「“コンパス”総裁の解任には地球連合議会の承認が必要だ。

目の前の連中を排除するには間に合わんよ」

 

タイガは、もはや大統領相手でも遠慮を捨てていた。

これは茶番だ。

大西洋連邦がオーブを罠にはめるための形式にすぎない。

タイガに付き合う気は最初からなかった。

 

「そうね。でも“総裁の能力に多大な疑念が生じた緊急時”であれば別よ?」

 

「それはこちらも同じだと理解しているか?

“コンパス”には国全体を占領する戦力はないが、各国首脳の政策実行能力に著しい障害が認められる場合、

国軍に優越して“コンパス”による一部主要地域の占領と戒厳令の施行が認められるが?」

 

「結局、どちらの主張が認められるか?という事よね?」

 

「実行力を握っているのはこちらだ。

お前達が何をやろうが、こちらの方が早い。

後から何を喚こうが無駄だ」

 

「そうね。でも――

いくらあなたでも空の上までは手は届かないわよね?」

 

「何が言いたい?」

 

フォスターは勝ち誇ったように告げた。

 

「レクイエムはこちらが掌握したわ」

 

そして、嘲るように続けた。

 

「あなたは、オーブに宣戦布告したユーラシア連邦にレクイエムを撃ち込んだ。

本来、オーブと“コンパス”は別物。

“コンパス”が使用できるのは各国から提供された兵器のみ。

オーブの持つレクイエムを“コンパス”が勝手に使用するのは許されない。

“コンパス”の総裁のあなたは、オーブの持つレクイエムを勝手に使用し、レクイエムの使用を非難されたあなたは錯乱、

プラントと大西洋連邦にまでレクイエムを撃ち込もうとした。

寸前にレクイエムを掌握した私たち大西洋連邦は止めようとしたものの間に合わず、プラントは滅亡。

自暴自棄になって世界中を道連れにしようとしたあなたによって、オーブにまでレクイエムは撃ち込まれオーブは滅亡。

私たちはその後、あなたの残したレクイエムを使って残った国々に地球連合への加盟を促す。

素晴らしい話だと思わない?」

 

タイガは冷たく言った。

 

「ユーラシア連邦に宣戦布告させた理由はそれか」

 

「私たち大西洋連邦の礎になるのだから、連中にとっても本望ではないかしら?」

 

「どうやったらそんな考え方が出来るのか理解できんね」

 

吐き捨てるようにタイガは言った。

 

「話は終わりよ。降伏しなさい、“オーブの虎”」

 

フォスターの声が、タイガの執務室に響いた。

 

 

 

 







※あとがきです。

裏設定
エリカ・シモンズ
(ああ……自分の部屋で、朝日を浴びるまで寝ていられるなんて……なんて私は幸せなんだろう……)

モルゲンレーテの技術責任者のコーディネーター。
当初MS開発のほぼ全てに関わり、一ヶ月以上泊まり込みなども珍しくもなかった。
テムにより労働環境が改善された結果、わずか一週間でPS装甲の試作品を完成させ、「MSのモノフェーズによるビームシールド」の実現一歩手前までやってのけた。
エリカが「全力で打ち込めるもの」を探していると見抜いたテムは、エリカにテムの恩師・ミノフスキーの遺した「核融合炉実現の可能性について」という論文を託した。

これによりプラントとの戦争が終結して数十年後、“人類の夢”である実用的な核融合炉が実現される事になる。

しかしエリカが「全力で打ち込めるもの」を見つけた結果、しばらくすると生活は以前のゾンビ状態に戻る事になる。


フレイ・アルスター
「護るから・・・私の想いがあなたを護るから・・・」

大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターの娘。
ブルーコスモスだった父の影響を受けコーディネーターには良い感情を持っていなかった。
しかし第8艦隊の先遣隊としてやってきた父が死亡する光景を目の当たりにし、コーディネーターへの復讐を決意する。
その為、コーディネーターのキラに同胞を殺させ続ける事で復讐を果たそうとし、キラに自分の身体を与える。
この時キラは、学友の為に命を懸けて戦っているが、それを口に出す事も出来ず、鬱屈している所に「直前に折紙の花を渡してくれた女の子を守れなかった」と思い込んで精神崩壊一歩手前にまで追い詰められていた。
そこに優しい言葉をかけてくれたフレイに縋り付くのは当然の結果であり、マリューたちも大天使(アーク・エンジェル)『唯一の戦力』であるキラの精神安定は生存に直結する為、二人の関係を黙認していた。
オーブ寄港時に世界中が『ニュータイプ』の話題にあふれ返っている事を知り、身体まで使ってキラを復讐の道具にしようとした自分の行為が無意味なモノだと悟る。
バルドフェルドの襲撃がなかったとはいえ、キラのメンタルが限界だったのは事実であり、その後大天使(アーク・エンジェル)がオーブまで到着できたのはフレイのおかげといっても過言ではない。
「キラなど復讐の道具」と思い込もうとしたが、キラのMIA時、ディアッカを撃とうとした事で自分の感情を理解したが、全ては手遅れだった。
オーブに帰国後、キラと『涙の再会』を果たし、そのままヤマト家で同居生活を送る事になる。
数年後、キラがプラント評議長から解放されるまでじりじりとヤマト家でキラを待っていた。
キラが帰国してさらに数年が経ち「さあ!結婚式!」と意気込んだところに詳細は不明だがラクスの妊娠が発覚。詳細は不明だが。(なぜ二度言った?)
キラを正座させ問い詰めたものの、彼は頑として口を割らなかった。
ラクスの事は好意を持っていたが、自分が最も辛かった時に献身的に支えてくれた(キラの主観では(笑))フレイと比較する事など出来るはずもなく、個人的相談に乗るだけだった。
しかしスーパーコーディネーターと言えど酒には酔う。
その結果、タイガの郎党と同じ手段が実行されたのであった。
ラクスに好意を持っている事は事実であり、それを否定して彼女を傷つける事はキラには出来ず、かと言ってフレイと比較する事など論外であり、結果として沈黙を貫く事しか出来なかった。
詳細をキラから聞いていたタイガは「プラントには肉食獣が大量に生息しているのか?」と意味不明な言葉を呟くだけだった。
タイガの執り成しもあり、自分と同じく天涯孤独で、プラントに戻れないラクスの事情も理解していた為、何とか納得して身内だけで結婚式を挙げた。
しかし、その参列者はカレッジの学友、キラの仕事の関係者、傭兵(大天使(アーク・エンジェル)の関係者)、オーブの王族と、統一感の無い無秩序で混沌としたものだった。
さらに空気を読まずラクスが自作した曲を披露、しかも無駄に良い出来だった事でフレイは顔を引きつらせ、混乱に拍車をかけるものになった。
結局、エイプリルフール・クライシス後の世界の風潮もあり、ラクスとも「まあ、歌に罪はないし……」とそのまま交流を続けた。

原作とは大きく乖離して救われた人のひとり。


お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。



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