転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
オーブMSの最大の特徴と革新点は、徹底した基本部品の共用化にあった。
共用化された要素としては、
関節部
胴体フレーム
電源・制御系
があった。
これにより、 水中MS用・地上用MS・宇宙用MSの間で、部品の相互流用が可能となった。
結果として――
開発期間の大幅短縮
生産コストの低下
修理・補給の簡略化
戦場での即応性向上
が同時に達成される事となった。
損傷した機体は、「直す」のではなく「交換する」という思想が徹底され、
5分で手足を換装し再出撃可能、という運用思想はオーブのMSの特徴として
水中用、地上用、宇宙用を問わず受け継がれていった。
これは水中用MSも共通で、更に水中用MSではゴッグの手足をハイゴッグに付けたり、
ズゴックEの手足をゴッグに付けたりする事すら可能だった。
もちろん単に「付けられる」というだけであり、十分な性能を発揮する事は出来なかったが。
しかしほとんどの部品が共通化されている事により、ゴッグ、ハイゴッグ、ズゴックEの違いは
装備と装甲だけと言っても良いほどだった。
それはアストレイも同様で、水中用装備と装甲を除けばアストレイと水中用MSの部品共有率は70%にも及び、
水中用装備と装甲を付ければ性能はともかく、アストレイでさえある程度の水中行動が可能になるほどであった。
その代わり水中用MSは水中での活動を優先する以上、盾は使用出来ず、武装は内蔵式になる。
ひとつの機体で防御力、機動力、汎用性の全て満たすのは無理だ。
ならば目的に特化した機体を用意すれば良い。
幸い基本はアストレイなのだから、装備と装甲さえ別に用意すれば対応可能だ。
これにより
重装甲・拠点破壊タイプのゴッグ、
高機動・迎撃タイプのハイゴッグ、
汎用・量産性重視タイプのズゴックE
が生産される事になった。
生産にあたってはプラントの水中用MSが徹底的に解析された。
それによりプラントの水中用MSは、
・水中での機動力に優れている事
・近接用装備を持たない事
・水中用にフォノンメーザー砲を搭載している事
等が判明した。
このMSに対抗するMSを製造する事は容易い。
しかし将来的に不満点が解消された、より強力なMSが生産される事は間違いなかった。
それに対応するためにオーブの水中MSには様々な機能が持たされた。
まずオーブの水中MSは防御の為にPS装甲が採用された。
そして水中での使用を前提にして武装はフォノンメーザー砲が選択された。
拠点破壊タイプのゴッグには、より大型で高出力のフォノンメーザー砲が胴体に搭載された。
アイアンネイルは高周波振動機構を採用し、破壊力の増大を図った。
機動性優先のハイゴッグと、主力となる汎用・量産性重視タイプのズゴックEには、腕部にフォノンメーザー砲と、爪にビームを纏わせるビームクローが採用された。
これによりハイゴッグとズゴックEはビームを纏わせたバイスクローで装甲を破壊、そのまま内部からフォノンメーザー砲で破壊する、
という戦術が採られた。
これは相手がPS装甲であっても有効だった。
これは後にザフトが開発するグーンや、ディスティニーの掌部ビーム砲パルマフィオキーナと同じ発想だった。
オーブの水中の盾は急速にその姿を整えていた。
――
地球連合も同じように水中用MSを開発していた。
海中で無敵を誇り「海の王者」と呼ばれたフォビドゥンブルーの後継機であるフォビドゥンヴォーテクスである。
装備はフォビドゥンブルーと同様に、実弾を無効化する「トランスフェイズ装甲」と、
ビームを無効化する「ゲシュマイディッヒ・パンツァー」を併せ持ち、
ゲシュマイディッヒ・パンツァーによって水中での抵抗を低減させ、フォビドゥンブルーと同様に水中での速度は100ノットを超えた。
ザフトのグーンやゾノを駆逐したフォビドゥンブルーの後継機として、さらに水中行動能力を大きく向上させた量産機である。
これによりフォビドゥンブルーから「海の王者」の名を受け継いだフォビドゥンヴォーテクスの地位は不動のものになったと思われた。
オーブは特に地球連合と対立していないので、このフォビドゥンヴォーテクスの「海の王者」という呼称に対し特にリアクションを行う事はなかった。
タイガは「呼び名なんてどうでも良いだろう?バカバカしい」と相手にしていなかったが、後日その両者が直接対峙する事になる。
大西洋連邦のレクイエムによる恫喝に合わせて、オーブ本土の占領を容易にする為にオーブの海上防衛戦力の殲滅が企図されたのである。
大西洋連邦はオーブに対して正式な宣戦布告をしておらず、あくまでも「所属不明な部隊がオーブを攻撃した」という建前を貫いた。
その為フォビドゥンヴォーテクスには国籍識別マークも付いておらず、表面上はオーブと正体不明な部隊が対峙する事になった。
連邦の最新鋭MSであるフォビドゥンヴォーテクスを運用出来る国家が、大西洋連邦以外に存在するのかは不明であるが。
オーブ領海に近い公海上で両者は対峙した。
――
「動きませんね」
オーブの水中MS部隊のパイロットは潜航中のゴッグの中でつぶやいた。
「連中はあくまでも攻撃したらそのまま逃げるつもりだったんだろう。
我々の対応が早すぎて逃げ損なったんだろうな」
ズゴックEに乗った隊長の言葉にゴッグのパイロットは呆れた声を出した。
「宣戦布告もしていない友好国の輸送船団を攻撃しようとして何がやりたいんですかね?
いきなり警戒命令が強化されたと思ったら、友好国に攻撃される寸前だったなんて冗談にしても笑えないんですが?」
「さあな?上は上の方で何かあったんだろう。 相手が誰であろうと、我が国の国民の生命と財産を守る事に変わりはない」
「全くですね」
「連中の装備だがゲシュマイディッヒ・パンツァーとやらでビームを無効化する上、 水中での抵抗を低減させ、速度は100ノットを超えるらしい。 さらにトランスフェイズ装甲とやらで実体弾も効かないようだ」
「へ〜、大したもんですねえ」
それを聞いたゴッグのパイロットには緊張感の欠片も無い。
「連中はザフトのグーンやゾノを相手に「海の王者」と名乗っているらしいが、 上には上がいると教えてやらないとな」
「全くですね。ここでオーブの力を見せつけてやりましょう!」
「そうだな。!!!来るぞ!」
隊長の警告と同時にフォビドゥンヴォーテクスの部隊が動き始めた。
オーブ近海の人目の付かない海の中で「海の王者」との戦いが開始された。
※あとがきです。
裏設定
ギルバート・デュランダル
「デスティニープランの導入実行を、今ここに宣言いたします!」
プラント評議会議長で元遺伝子学者。
誰よりも『プラントの未来』を予見していた。
アーモリーワンにおける軍備の増強はタイガの予見通り、ディスティニープランを世界に施行させる事で世界を混乱させ、それに介入してプラントの利益を得る為のもの。
地球の混乱に素早く介入する為にミネルヴァをカーペンタリアに派遣した。
これによりシンたちは後にオーブの保護下に入る事になる。
耳触りの良い事を並べ立てていたが、ディスティニープランの真意は「ナチュラルは未来永劫奴隷としてコーディネーターに従え」というものでしかない点をタイガに論破された。
また、例えディスティニープランが施行されてもコーディネーターの出生率は改善しない為、結局プラントの寿命が数十年延びるだけの延命策でしかない。
そもそも既に“ニュータイプ”が存在する以上、多大な時間とコストをかけて「我が子をコーディネーターにしよう!」とする者は激減していた。
つまり、第一世代のコーディネーターは今後増える事が期待できない以上、ディスティニープランは破綻する事が確実だった。
それでもデュランダルがプランを強行したのは「誰でもコーディネーターになりたがる!」という根拠のない思い込みの為。
彼が産まれた時には富裕層によるコーディネーターの『製造』は一般的であり、我が子をコーディネーターにするのは彼の周囲では『当たり前』であった。
プラントは、周囲にそのような人物しか存在しない『幼児の王国』であった事が彼の不幸であった。
そしてディスティニープランの実現には『コーディネーターが利益を得られる世界』である事が必要だった。
つまりディスティニープランとは『最初からコーディネーターの利益ありき』=『コーディネーター優生主義』が前提のプランだった。
『コーディネーター優生主義』を盲信する者は、既に世界はコーディネーターを必要としない“
それでは破綻するのは必然だった。
さらに彼はプラント開戦時に行なわれた「債権者のNJによる殺害」と「ショートセールによる株価操作」を再現して二匹目の泥鰌を狙おうとするが、タイガによってその目論見を暴露され、犯罪者として刑務所に収監される事になる。
原作では死亡していた事と比較すればどちらが恵まれていただろうか?
アウラ・マハ・ハイバル
「無駄・・・、今まで妾のして来た事、費やして来た時間、妾の願いは全部無駄だったと言うのか・・・」
コロニー・メンデルに勤務していた時、デュランダルの思想に共感し、地球でディスティニープランを施行した、タイガの言うところの『毛並みの良い子犬を増やしただけのブリーダー』
(デュランダルがコロニー・メンデルに勤務していた時って十代半ばでは?その時点でアウラは既に3・・・、それってショタ・・・、C.E.の闇は深い・・・)
スーパーコーディネーター並みの『性能』を持つ“アコード”の開発に成功するも、実態は“コストダウンに成功したスーパーコーディネーター”に過ぎない。
コストダウンした結果、余剰機能を付加する事が可能になっただけで、本質的には“唯のコーディネーター”と何ら変わらない。
そしてその“アコード”でも最強を誇るシュラ・サーペンタインでさえ“ニュータイプ”の前では10分足らずで撃墜された事で自分の生涯を賭けた研究が無意味なモノだと思い知る事になる。
タイガの“紙切れ一枚の核”に屈し、その結果ファウンデーション王国は滅亡。
タイガの『赤いスイッチ』によって、アウラが自分たちでさえ信用していない事を知ったオルフェとイングリットはファウンデーション王国から逃亡。
世間知らず、苦労知らずの彼らは世界中を彷徨いながら読心を使って何とか生き延びる事になる。
数年後、『赤い彗星』の蜂起に従うMSの中に、「まるで『相手の心を読む』ようなパイロットがいる」という噂が流れる。
「なぜ『赤い彗星』に従うのか?」と聞かれた答えは「妻と子を食わせる為だ」というありふれたものだった。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。