転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
誤字脱字、矛盾の指摘ありがとうございます。
皆様のおかげで手早く修正する事が出来ました。
残りの話数も少なくなって来ましたが、どうか最後までお見捨てなくお付き合いください。
では、拙い文章ですが、どうぞお楽しみください。
オーブ本土、行政府内の機密評議場では、オーブ水中MS部隊と大西洋連邦のフォビドゥンヴォーテクスとの戦闘結果が開示されていた。
円卓を囲む国防委員会の面々とウズミ・ナラ・アスハの前に、モルゲンレーテのエリカ・シモンズが立っていた。
「――以上が、オーブ近海における水中MS部隊の交戦記録です」
エリカが端末を操作すると、ホログラムで「海の王者」フォビドゥンヴォーテクスがゴッグのアイアンネイルに捉えられ、至近距離からのフォノンメーザー砲で破壊される映像が再生された。
他にも接近戦でフォビドゥンヴォーテクスのトライデントをゴッグのアイアンネイルで両断する様子や、PS装甲でニーズヘグを弾き返す様子などが映し出された。
「ゴッグの多重関節構造・フレキシブル・ベロウズ・リムは接近戦においても有効です。
航行時には伸縮し水の抵抗を抑え、戦闘時には刺突武器のような「突き出す動作」も不要です。
PS装甲と合わせて戦闘能力を充分発揮出来たかと」
エリカは淡々と解説を続ける。
「大西洋連邦軍が誇るフォビドゥンヴォーテクスは、ゲシュマイディッヒ・パンツァーによるビーム偏向と、100ノットに達する優速を前提とした『無敵』の戦術を構築していました。
しかし、今回の戦闘でその前提は完全に崩れ去りました」
国防委員の一人が身を乗り出す。
「100ノットの敵を、我が方の重装甲機が捕らえたというのか?」
「はい。MPDスラスターによる瞬間的な加速と、スーパーキャビテーションの併用。
これらは理論値ではなく、実戦において『優速の連邦』を上回る機動性能として結実しました。
連邦側は、自分たちよりも速く、かつPS装甲で実弾を無効化する相手が深海から現れるとは想定していなかった模様です」
話題は、戦闘の決め手となった集団射撃プログラムへと移る。
「特筆すべきは、ゴッグ部隊による一斉射撃
個々の機体性能に頼るだけでなく、水中での伝搬特性を計算し尽くした射撃管制が、逃げ場を失った連邦部隊を文字通り一掃しました」
これを受け、ウズミが静かに口を開く。
「……個の性能による一騎打ちの時代は終わった、ということだな。パラダイムシフトか・・・」
「左様です、代表。この射撃アルゴリズムの有効性が確認された今、我々はこれを海軍だけでなく、宇宙軍および本土防衛の全アストレイ部隊にも標準装備させます。
オーブを侵さんとする者には、深海から宇宙まで等しく『槌』が振り下ろされることになります」
最後に、エリカはアストレイによる超長距離狙撃のデータを提示した。
「もう一点、看過できないデータがあります。
船団護衛に就いていたアストレイが、海中の高速目標を初弾で撃破しました。
パイロットは『敵意の揺らぎを感じた』と述べています。
……これは計算機による照準ではなく、人間の直感、あるいは未知の空間把握能力の産物であると思われます」
「・・・“ニュータイプ”か・・・。
技術が物理を凌駕し、人間が五感を超え始めている。
我々が手にした『海の盾』も、慢心すればすぐに追い抜かれるだろう」
ウズミの言葉に、エリカは深く頷いた。
「モルゲンレーテは既に次期水中機、およびアストレイの追加装備の設計に入っています。
連邦が『海の王者』の称号を取り戻しに来る頃には、我々はさらなる高みに到達しているでしょう」
評議場の灯りが消えた後も、エリカは一人残り、水中を音速で切り裂く次世代MSのシミュレーション結果を見つめていた。
それは、コーヒーの香りが漂う穏やかな午後とは裏腹な、冷徹な技術の狂騒であった。
※あとがきです。
裏設定
メカニック編
MBF-P00 試作ガンダム・アストレイ
本作の主役メカその一
本作ではアストレイはモジュール構造が採用された為、原作でのMBF-P01(ゴールドフレーム)、MBF-P02(レッドフレーム)といった「P0シリーズ」は制作されていない。
本作でのプロトアストレイがモジュール構造とOSの動作確認用のMSだったのに対して、『試作ガンダム・アストレイ』はパイロットの生存と戦闘データの収集に特化したMS。
『戦闘データの収集』を最重要視している為に、ちょっとしたスーパーコンピュータ並みの学習型コンピュータを搭載し、その回収の為にコンピュータが搭載されているコクピットブロックの強度は驚異的なレベル。
そのままでもジンの76mm重突撃機銃に耐えられるほど。
機体構造も「ムーバブルフレーム」を採用し、機体の軽量化と堅牢制を両立させている。
アムロの操縦もあり、驚異的な性能を発揮したが、試作機という事もあり、量産にはモジュール構造のアストレイの方が向いていた為、量産されなかった。
まだMSの生産が始まっていない頃に作られた、最初期のMSとしては異常な完成度を誇る。
信じられない事に、性能的には大戦後期のゲイツよりやや劣る程度。
しかしその反面、性能は非常にピーキーで一般人のパイロットの搭乗は全く考慮されていない。
逆に言えば「使いこなすパイロット次第」という事。
それはアムロとガンダムの「公式の初陣」である低軌道会戦で「3分で12機のジンを全滅」という結果で証明された。
その後も「オーブ防衛線」「プラント最終決戦」「ファウンデーション王国戦」での活躍は他を寄せ付けない。
そして、そのデータがオーブ軍全体に共有された結果「オーブ軍は一般兵でさえ核動力のMSを撃破可能」という練度に達する。
製造当初の『戦闘データの収集』という目的を超えて、オーブ軍そのもののレベルを引き上げたMSと言える。
オーブの、そこから派生するMS全ての始祖とも言える、正に時代を代表する名機といえるが、アムロが搭乗してこその戦果といえるので、機体自体の性能はともかく、他のパイロットからの評価は実はそれほど高くない。
しかしこの機体がオーブの、MSの時代を作り上げた事は間違いない。
その優秀性は、後にこの機体が核動力のテストベッドに採用された事からも判断できる。
MBF-P0X プロトアストレイ
モジュール構造を採用し、戦闘継続能力を徹底的に重視したオーブの試作MS。
防衛戦に特化したオーブの実情に合わせて開発され、ナチュラル用のOSとモジュール構造の動作確認の為に製造された。
その特徴はモジュール構造を利用した驚異的な修理速度。
損傷した部位を“修理”するのではなくモジュールごと“交換”する事により、「最短修理時間五分、再出撃10分」を実現した。
コクピットの生存性が徹底的に強化されているので、「帰還すれば直ちに修理して再出撃が可能」という、敵からすれば悪夢でしかない状況が続く事になる。
その本質は「20mの巨人を製造、輸送する為の大規模施設は不要」という革命的な輸送・生産性にある。
手足を製造し、梱包してコンテナで輸送する事が可能なので、巨大なMS専用輸送船や製造設備等は不要。
“アストレイ”とは機体そのものではなく、製造、輸送、整備、補給、修理等を含めた『運用する為のシステム』そのものの総称。
アストレイが“王道ではない”と呼ばれる理由であり、他国がアストレイを運用出来ない理由でもある。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。