転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話はキャラクターの背景や過去に焦点を当てた内容となります。
独自解釈が強めですが、本作における人物像を深めるための補足回としてお楽しみください。





閑話5 郎党

 

 

それは、オーブから留学先に戻る前にホムラから告げられた事であった。

 

「タイガ、自分だけの信頼できる身内を作りなさい」

 

「どういう事です?」

 

意味が分からず、タイガは訊き返した。

 

「お前がオーブに戻ってきたら屋敷を与えられる事になる。

 オーブ代表の弟だ。華美なのも良くないが、あまり貧相なのも良くない。

 それに、そこを管理する人間もな」

 

「人間ですか?」

 

「ああ。おそらくお前の下には各氏族から

 『この者を是非!』とか『この者は信用できます!』といった

 他薦自薦の話が殺到するだろう」

 

「しかしそれらを気にする必要はない。

 自分の目で見て、自分で信頼できると思った者のみを受け入れなさい」

 

「別に他の氏族からの推薦でも良いのでは?

 その者も早々おかしな事はしないでしょう?」

 

「おかしな事であればな」

 

「どういう意味でしょう?」

 

---

 

ホムラは少し遠い目をして語り始めた。

 

「昔、私の屋敷に長年勤めていてくれた者がいた。

 その者の仕事は確かで、私も信用していた。

 ある氏族からの紹介だったが、私はそんな事は気にしなかった。

 しかしその者は相当の長期間、私の立場で得た情報を

 元の氏族にも流していた。

 本人にしてみれば単なる世間話であって、

 情報を流しているという意識もなかったようだがな」

 

「それは……」

 

「私がある国に交渉に出かけ、交渉をまとめる。

 そうするとその国との取引が大きくなる。

 また失敗すれば取引は減る。

 元の氏族はその情報を得て、

 事前に市場取引を行っていたのさ」

 

「……」

 

「交渉の結果が市場に反映されるには時間差がある。

 それを交渉した本人の情報を最速で得て取引するのだから、

 失敗するはずもない。質の悪いインサイダー取引だ」

 

「結果、その男は元の氏族もろとも処分された。

 公職からの追放だな。

 公に受け入れてくれる他の氏族はもはや存在しない」

 

「その男と繋がりを持っていた連中も、

 多かれ少なかれ同様の処分を受けた。

 それらの身内は耐えられず去って行った」

 

後を埋めるのは大変だったと、ホムラは苦笑した。

 

---

 

「なぜ……」

 

「ん?」

 

「なぜそれほど長期間発覚しなかったんです?」

 

「他の者がかばっていたからだ」

 

「他の者、ですか?」

 

「ああ。同じ屋敷に勤めているという事は、

 その者は自分同様、主人から信用されているという事だ。

 同僚を信用するのは自然だろう?」

 

「そうですね」

 

「同僚が信用できるのであれば、

 同じように同僚の身内も信用するだろう。

 子供や夫や妻をな」

 

「その結果、お互いがお互いを信用し、

 確認すらおろそかになり、

 誰もそれを指摘する事はなくズルズルと続いていたというわけだ」

 

「それは、何と言うか……」

 

「氏族の屋敷に勤めるという事は、

 その氏族から信用されているという事であり、

秘密も扱うのだから報酬も大きい。

 

 その座を親兄弟知人に引き継ぎたいと思うのは当然だろう?」

 

「それはそうです」

 

「その結果、その男は長年私の屋敷に勤めていたコネを利用して

 あちこちの氏族に伝手を紹介していたそうだ。

 自分のやっていた事の口留めも兼ねてな」

 

「……」

 

「仮にも身内が立派な就職先を紹介してもらった恩人だ。

 しかも話した内容は単なる世間話にしか思えない。

 口止めしていたのも、

 いまさら元の氏族の者と顔を合わせているのが

 ばれるのも気恥ずかしいという程度の事だったそうだ。

 口をつぐんで当たり前だな。

 しかしそれが国家単位の情報漏洩をもたらしていたとなれば話は別だ」

 

---

 

「よく……」

 

「ん?」

 

「よくそれが発覚しましたね?」

 

「ああ、その男とは別の、

 昔から何代もアスハ家に仕えてくれていた者が教えてくれたのさ」

 

「昔からですか?」

 

「ああ。祖父の代のさらに前からだと聞いている。

 やはり代々仕えている者が重用されるのは

 それなりの理由があるという事だ」

 

「そうなんですね」

 

「お前も早くそんな者を見つける事だ」

 

そう言ってホムラは去って行った。

 

「ありがとうございます、兄上」

 

タイガはその背に向けて深く礼をした。

 

「つまり俺の郎党をさっさと作らなければならないという事だな。

 大変だな、やれやれ」

 

---

 

タイガが留学先に戻った後。

 

アリサ

「みんな〜! タイガ様がお戻りになったら

 すぐにお屋敷に住めるように準備しておくわよ〜!」

 

少女達

「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」

 

アリサ

「出入りの業者の身元もしっかり確認しておくのよ!

 誘拐、暗殺、テロの可能性も否定できないんだから防御はしっかりね!」

 

少女達

「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」

 

アリサ

「最悪、軍隊が攻めてきても

 タイガ様だけはお逃がしできるように

 周囲をしっかり確認しておくのよ!」

 

少女達

「「「「「「「「「おお!!!」」」」」」」」」

 

君たちはいったい何と戦うつもりなのかな?

 

 

少なくとも、タイガがオーブに戻っても

何も心配はなさそうである。

 

 

 






※あとがきです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回はキャラクターの背景に焦点を当てた閑話でした。
本編では描ききれない部分を補完する意図で書いています。
原作とは矛盾した表現等があるかとは思いますが、
創作上の出来事としてご容赦ください。


次回お楽しみください。
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