転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
その後、世界の情勢は大きく様変わりした。
大西洋連邦もユーラシア連邦も、もはや軍事力の行使など不可能な状態だった。
オーブとの相互安全保障条約を無視した事は、大西洋連邦の外交に致命的な痛手を与えた。
何しろ、条約を結んだ当事国が自ら結んだ条約を破ったのだ。
外交的信頼を失うのは当然だった。
――
ユーラシア連邦の国力は軍事力に偏重していた。
新ユーラシア連邦となった当初もそれは変わらなかった。
しかし、肥大化した軍事費を抑えるため、シャアは躍起になって改革を進めていた。
だが無計画に軍事費を削減すれば、職を失った兵士による治安悪化が懸念される。
そこでシャアは、新ユーラシア連邦内のNJ撤去事業を開始した。
もちろん失業対策だけでなく、エネルギーや通信問題の解決という側面もある。
しかし通常の方法では、撤去完了まで数十年はかかると見込まれていた。
つまり――
「数十年間は職が無くなる心配がない」という事である。
そしてこの事業にかかった費用はそのままプラントに請求された。
ユニウス条約に基づく「プラントによるNJ撤去」を代行した、という名目である。
これにより新ユーラシア連邦は、
• 公共事業
• 失業対策
• インフラ回復
• 財源確保
これらを同時に成し遂げた。
何よりも、大西洋連邦の衰退と“コンパス”の存在により、大規模な軍隊を維持する必要がなくなった事が大きかった。
新ユーラシア連邦はシャアの指導の下、少しずつ復興を始めていた。
――
大西洋連邦、ユーラシア連邦が脱落し、残った理事国は一国――東アジア共和国だった。
彼らは最初、狂喜した。
大西洋連邦もユーラシア連邦も勝手に自滅した!
これからは自分たちの時代だ、と。
しかし世界を見渡せば、そんな事を言っていられなかった。
近いうちに地球上の全ての国家が地球連合に加盟するだろう。
先進国も途上国も、NJ被害の大小も関係なく、復興を進める必要がある。
その時、最も負担を強いられるのはどこか?
大西洋連邦もユーラシア連邦も不可能だ。
ならば残った理事国――
東アジア共和国が全てを負担する事になる。
しかも大西洋連邦もユーラシア連邦も、もはや外征に打って出る余力はない。
最低限の治安維持戦力さえあれば、必要以上の軍事力は不要だ。
ならば、無理してコストのかかる軍事力を維持する意味はない。
何より――
軍を保持していて対抗できるのか?
あの“オーブの白い流星”に?
おかしな考えを持つ者は“コンパス”が処理してくれる。
現在の世界情勢で、今後“コンパス”が処理できないような軍事勢力が伸長する可能性はほとんどあり得ない。
“もしもの時”に備えて最低限、国を守るだけの軍事力があれば十分だ。
外交?
外交が必要な相手――大西洋連邦とユーラシア連邦はもう終わりだ。
このままでは、地球国家の負担の全てを押し付けられてしまう。
こうして戦前に繁栄を謳歌した理事国は、外交的要因、軍事的要因、経済的要因によって三国とも地球連合へ外交権・軍事権を譲渡し、自治区への道を模索する事になった。
地球連合で最大規模の三国が自治区になると、残った他国もそれに続いた。
国名や国境はそのままだが、他国との交渉に軍事力が使われる事はなくなり、紛争は全て“コンパス”が解決した。
紛争の正義・不正義を問わず、両者を等しく軍事力の対象とし、「平和を強制する」“コンパス”の姿勢は批判も浴びたが、概ね受け入れられた。
「紛争を起こせばどんな理由があろうと“コンパス”に叩き潰される。
たとえ相手を叩き潰しても自分まで叩き潰されてしまう」
その認識が一般化した時、世界から紛争の影が消えた。
軍事費が減少した事で各自治区の経済復興は進み、世界は少しずつ前へ進み始めた。
そんな時、オーブから一つの計画が発表された。
全人類の総力を結集した外宇宙探査船の建造計画。
エヴィデンス01のオリジナルを探し求める、宇宙を舞台とした『第2の大航海時代の幕開け』であった。
*あとがきです。
全人類の総力を結集した外宇宙探査船の建造計画。
それは《第6話 慕われるもの》において、タイガとアズラエルが語り合った『夢』の実現です。
彼らが語り合った『夢』が本物になるのか?
それとも『夢』のままで終わるのか?
次回お楽しみください。