転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。






閑話32話 プラントの現実

 

 

 

CE90年、アズラエルはプラントの地に足を踏み入れていた。

アズラエルだけではない。

各ブルーコスモスの支部長達も同行していた。

名目は「現在のプラントの状況の視察」であった。

プラントの苦しい現状を理解してもらい、何とか援助を引き出そうという評議会の必死の働きかけの結果だった。

もっとも支部長達は心の中で「この目でプラントの現状を確認し、場合によっては即座に核を撃ち込んでやる」と思っていたが。

 

この数ヶ月前、人類史に残る偉業が発表された。

量産可能なミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応融合炉の実用化である。

それまでの融合炉は超高温のプラズマ場の維持、微量とはいえ発生する放射線の防御、蒸気タービン発電機や水蒸気を水に戻すための膨大な冷却水、さらに冷却水の冷却水(いわゆる二次冷却水)までも必要であり、効率的にも劣り、軍用の設備として細々と生産されていたに過ぎなかった。

しかしミノフスキー核融合炉は、精製の容易な重水素(D)とヘリウム3(3He)によりD-3He核融合反応を生じさせ、蒸気タービン等の大規模な発電設備も安全設備も必要とせず、直接電気エネルギーとして取り出せるという正に『夢のエネルギー源』であった。

 

このミノフスキー核融合炉が量産されれば、プラントに残った唯一の輸出資源である『エネルギーの輸出』が不可能になる。

そうなればプラントは完全に終わりだ。

他に何か輸出できるものは無いか?

 

資源?

今ではアステロイドベルトから地球とは比較にならない含有量を誇る鉱物資源が運ばれている。

地球では数㎏の鉄を得るために、鉱脈に至るまで数トンの岩石を採掘しなければならないのに対して、

宇宙では含有量の高い小惑星を選別すればそれで良い。

大きさによっては小惑星に直接精製設備を建設すれば、地球までの牽引すら不要だ。

 

技術?

今では第2プラントが稼働している。

プラントの技術より1世代どころか3世代、ものによっては5世代以上進んでいる。

プラントの技術などもはや何の意味も無かった。

 

この上唯一の命綱であったエネルギーの輸出さえできなくなったらプラントは本当に終わりだ。

何かないか?

資源でもない、技術でもない、プラントに残ったもので食料と対価に出来るものが?

 

ひとつだけあった。

 

『人』だ!

人間であればプラントは輸出できる。

しかし、プラントの人間の他国への移動は各国の『暗黙の了解』によって制限されている。

ならば他国の人間にプラントに来てもらえば良い。

他国よりもコーディネーターの国であるプラントの利点は「人そのものに価値がある」という一点だった。

こうしてプラントは国家規模で「人材の提供」を産業として再編する事になった。

それは医療でも技術でも教育でもない。

ただ「人が人に提供できるあらゆるもの」を切り売りするという、極めて原始的で、しかし確実に対価を生む仕組みだった。

だがその中で最も利益を得る事ができたのは、最も原始的な『人類最古の職業』であったのは当然かもしれなかった。

 

プラントという国を挙げての『接待』に最初に招かれたのは、地球で絶大な影響力を誇るブルーコスモスだった。

ブルーコスモスの支部長達にはコーディネーターの美女が侍り、評議長から「持ってきたトマトやオレンジを女たちに渡してくれ」と言われたのでその通りにすると、女たちは歓声を上げて支部長達に抱き着いた。

その様子を見れば、この国の置かれた状況は説明されるまでもなかった。

その後数日間に渡ってプラントの『接待』を受けた支部長達の頭の中には、すっかり『プラントに対する核の使用』など残っていなかった。

 

アズラエルはそんな支部長達の様子を見て呆れていた。

 

(まあ、女程度で懐柔されるなら安いものですからねえ?

わざわざ『核で焼く』何て言い出さなくなっただけで良しとしますか)

 

最初からアズラエルにはプラントを滅ぼすつもりはなかった。

いや、プラントそのものがどうなろうと関心などなかった。

アズラエルにとってプラントは、もはや『自分の手に掛からず滅びるなら、せめて静かに消えていって欲しい』という程度の存在でしかなかった。

アズラエルが今まで支部長達に説明していた過激な策は、支部長達の勝手な行動を抑え、プラントを自滅させるまでの時間稼ぎでしかなかった。

放っておけば勝手に滅びる存在を、支部長達のようにわざわざ自分の手で滅ぼそうなど無駄な事は思いもしなかった。

 

(連中は放っておけば勝手に滅びる。そんな連中の相手をしてわざわざ自分の手を汚す必要がどこにある?)

 

掛値のないアズラエルの本心だった。

 

「どうされました盟主?お楽しみいただけていないようですな?我々が何かお気に障るような事でも?」

 

そんなアズラエルに評議長が声をかけてきた。

 

「いえいえ、十分楽しませてもらってますよ?」

 

傍に侍る美女たちを抱き寄せながら、アズラエルは薄っぺらい笑顔を張り付けて答える。

地球でも『現代の聖人』と呼ばれるアズラエルに取り入ろうとしてきた者は数えきれないほどだった。

その方法も美酒、美食、美女と代り映えしなかった。

プラントでも同じでしかなかった。

 

そんな言葉を交わす彼らの側の扉がいきなり開いた。

 

「失礼します!」

 

入ってきたのは評議会の一員――まだ若い議員だった。

彼は先ほどから室内で続く『接待』の光景を見て、拳を強く握りしめた。

 

「……何の用だ?」

 

評議長の静かな声に、若い議員は一歩も引かなかった。

 

「こんなやり方は間違っています!我々はここまで堕ちたのですか!?人を、尊厳を――国そのものを切り売りするなど!」

 

支部長達の何人かが眉をひそめた。

しかし評議長は、ただ淡々と若い議員を見て言葉をかけた。

 

「そうだ。我々はここまで堕ちた」

 

「!!!」

 

「他に方法は無い。議論は尽くしたはずだ」

 

「・・・」

 

若い議員は何も反論できなかった。

 

「それにこれは単なる“仕事”だ。“顧客にサービスを提供し対価を得る”それのどこに問題がある?」

 

「しかし!」

 

「そんな仕事をしている人は大勢いる。お前はその人たちの事まで否定するのか?」

 

それはナチュラルの事ではないか!なぜ誇り高いコーディネーターである我々がそのような仕事をせねばならないのか!

そんな言葉が今にも口から出そうになり、若い議員は何とかそれを飲み込んだ。

職業に貴賎などない。

人種は言うまでもない。

しかし口に出さなくとも、そのようにナチュラルや職業を蔑視している事が、自分達の現状を招いている事を彼は理解していなかった。

 

「理想は理解する。だがな、腹が減れば、人は理想では動かん」

 

「……!」

 

「お前が守ろうとしている“尊厳”とやらはな、満腹の時にしか語れん贅沢品だ」

 

その言葉は、刃のように鋭かった。

若い議員の握りしめた拳が震える。

 

「……それでも……それでも私は認めません」

 

「結構だ」

 

評議長はあっさりと言った。

 

「だが現実は、お前が認めようが認めまいが進む」

 

その一言で、全てが終わった。

若い議員は何も言い返せなかった。

ただ唇を噛み、踵を返す。

扉が閉まる音だけが、やけに大きく響いた。

 

アズラエルはその一連のやり取りを静かに見ていた。

 

(……なるほど。まだ“まともな人間”も残っているらしい)

 

だが同時に理解していた。

 

(そして、そういう人間ほど何も変えられない)

 

(何よりこの現状はお前たち自身が招いたものだろうに・・・)

 

それすら理解していない若い議員が、まだ“まともな人間”だという事に、アズラエルはプラントの現状を正しく理解した。

 

評議長は閉められた扉を一瞥し、ため息をつくとアズラエルの傍らの侍る美女たちに目配せをした。

それで評議長の意図を察した美女たちは一礼するとアズラエルの傍から離れていった。

 

「さて、盟主。我が国の現状はどうですかな?」

 

「どうと言われても?我々にこのような手厚い歓迎をいただくほど余裕があるのであれば、特に援助など必要あるようには思えませんが?」

 

プラントの食料不足を知っていての皮肉である。

こう言えば援助を目的としていたプラントは狼狽えるだろうというアズラエルの目論見だった。

しかし評議長の反応はアズラエルの予想とは異なったものだった。

 

 

「・・・そうですな。盟主には直接的な援助よりもこのプラントの状況をもっと地球に広めていただきたいですな」

 

評議長は淡々と続けた。

 

「困窮し、わずかな食料で歓喜する者がいくらでもいるのです。

それを求める者もまた、いくらでもいるでしょう。

地球の男たちにとっても喜ばしい事ではないですかな?」

 

「・・・」

 

アズラエルは評議長をまじまじと見つめた。

 

(この男は我々に、ブルーコスモスに、地球に媚びる意思はない。

それどころかプラントを救おうという意思もない。

仮にも評議長ともあろう者がどういう事だ?)

 

アズラエルの内心を見透かしたように評議長は言葉を続けた。

 

「あなたに援助を求めないのが不思議ですかな?

私も例の核融合炉が発表された時点で「これでこの国も終わりだ!」と思ったのですがね。

まさか評議員たちからこのような方法が提案されてくるとは思いませんでしたよ。

追い詰められれば人間どんな事でもやるようになるものですな。

例えそれが自分の妻や、恋人や、娘を売り飛ばすような真似であっても。

まあ、地球でもそんな事は珍しくありませんでしたし、『生きる』ためにはやむを得ないのかもしれませんな」

 

評議長の言葉はこんな提案を行った評議員たちへの侮蔑と自分への自嘲がにじんでいた。

 

「私は若い頃に地球を放浪していた事があるのですよ。

良い思い出も、苦い思い出も、色々あります。

その時見た美しい風景や、見ず知らずの私に親切にしてくれた人たちの事は今でも心に残っています」

 

「・・・」

 

アズラエルは口を挟まなかった。

 

「次に地球に降りたのはNJの撤去の為でした。

酷いものでした。

私が昔見た美しい風景は影も形もなくなり、街は廃墟になり、白骨死体が積み重なり、血の付いた人形が転がり、これをやったのが自分たちだと思うと茫然としたものです」

 

それはあなた達の方がご存じでしょう?という評議長の言葉にアズラエルは頷いた。

評議長の言葉に、かつてNJが投下された場所で見た“失われた日常”が重なり、アズラエルの表情が一瞬だけ歪んだ。

 

あの時ほど自分の無力を痛感した事は無い。

もっと準備していれば、もっと早く動いていれば、もっと強く国に働き掛けていれば、そう思った事は数えきれなかった。

 

「私はその時の様子をプラントで公開しました。

しかし返ってきたのは『出鱈目だ』『非国民だ』という市民の声でした」

 

「・・・」

 

自分達を優生種と自称するコーディネーター達が『無関係な市民の虐殺』という罪など認める筈がない。

アズラエルにはそれが良く理解出来た。

 

「その後、NJの撤去の負担に耐えかねた市民が『NJの撤去の免除』と、NJに殺傷力は無い事を理由に『NJの被害者とプラントは無関係』と地球に表明するように評議会に要求してきた時はこの国に絶望しましたね」

 

「それは・・・」

 

そんな事を表明すればプラントへの援助どころの話ではない。

即座にプラントに核が撃ち込まれても不思議ではない。

 

「その時に私は理解しました。

『こんな国は存在するべきではない』

『こんな国は存在する事自体が間違いだ』と。

その時決心しました。

『こんな国は亡ぼす』と」

 

「・・・仮にも評議長ともあろう者がそれでよろしいのですか?」

 

「私を評議長に選んだのは市民です。

私がどんな政策を実行しようとそれは私を選んだ市民の責任ではありませんか?」

 

「・・・」

 

「それに市民が求めているのは『現在の負担の軽減』です。

負担を将来に先送りして現状が改善すればそれで文句は言いませんよ」

 

「・・・それで市民は納得するのですか?」

 

あまりにも未来を見ようとしないプラントの現状にアズラエルは言葉を失った。

 

「これがプラントの現実です。

あり得ないとは思いますが、万一盟主が『プラントを援助しよう』などと考えられても無駄な事なので、敢えて現状をお伝えした次第です。

私の後任者たちが何も対策を取らなければ、後は放っておけば勝手に将来への負担が増加していき、いずれプラントは破綻します。

盟主もそれに巻き込まれないようにプラントへの深入りは避けた方が賢明でしょう」

 

「今までの経緯から私の後任者たちが有効な対策を取るとは思えませんが」という評議長の言葉にアズラエルは納得するしかなかった。

 

「プラントが破綻するならご家族はどうされるのですか?」

 

アズラエルの問いに評議長は答えた。

 

「私はエゴイストなので。

迷惑をかけないように離婚して妻と娘にはオーブに移住してもらってます」

 

「・・・家族は一緒にいるべきではありませんか?」

 

「今さら女がプラントに残っても苦労するだけです。

少しでも他の選択肢を選べるならそちらを選んでほしいだけですよ。

それに・・・」

 

「それに?」

 

「昔、地球に降りた幼馴染がオーブの王家とちょっとしたコネがありましてね。

何とかその伝手をたどってオーブに移住できましたので。

あの方の所ならどこよりも安心です」

 

メッセージのみとはいえ幼馴染と久々に言葉を交わした時の事を思い出して評議長は笑顔を浮かべた。

そして少年の頃、邂逅したタイガの強さと、その後のオーブの躍進を実際に目にした評議長は自分の判断の正しさを確信していた。

 

(昔と同じように思わず「トモ」と呼んでしまって即座にメッセージを消去されそうになった時は焦ったな。

「トモエ」と言い直して何とか機嫌を直してもらったが危なかったな)

 

幼馴染とのメッセージのやり取りを思い出して評議長の、レオンの笑顔は苦笑に変わった。

 

――

 

プラントからの手厚い『接待』を受けたブルーコスモスは地球への帰路に就いた。

支部長達からプラントへの援助を打診されたアズラエルはそれらを悉く却下した。

 

「奴らに対して援助するより現状を地球に広める事の方が有効です。

あの高慢な連中がオレンジひとつで我々の足元に這いつくばる。

愉快な光景ではないですか?

ひと思いに核で焼いてしまうよりよっぽど気が晴れるというものではありませんか?」

 

そのアズラエルの言葉に支部長達は納得した。

自分達を見下し、優越感を隠そうともしなかった連中がオレンジひとつの為に美しい妻を、恋人を、娘を自分たちに我先に差し出してくる。

それは自分達の復讐心と優越感を十分満足させるものだった。

核で焼いてしまえばそれまでだがそんな事はいつでもできる。

それよりもオレンジひとつでこの優越感が得られるなら、それを最大限有効に活用するべきだろう。

 

ひとまず連中の巣を核で焼く事を取り止めた事だけでも連中には感謝してもらうべきだ。

 

そんな支部長達の勝手な思いによって、プラントが核の炎で焼かれる事は回避されたのだった。

 

これ以後、核融合炉が世界に普及した結果、プラントの産業は『人類最古の職業』に集中する事になった。

 

『地球のどんな貧民でもオレンジをもってプラントに行けば王侯貴族のような扱いを受ける』

 

それがかつて“新人類”と自称したプラントの現在の姿だった。

 

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。


裏設定
ラウ・ル・クルーゼ
(愚か者どもめ……そのまま自分の愚行の末に滅ぶがいい)

アル・ダ・フラガのクローンとして誕生。
原作通り人類の滅亡を目論むが、タイガの干渉によってエイプリルフール・クライシスの死者が予想よりも遥かに少ない事から(それでも一億数千万人・原作では十億人を突破)、中立国を巻き込んでの全面戦争を目論みヘリオポリスを攻撃。
しかし、それは最初からタイガの想定したものだった為、プラントを反論不可能なまでに追い詰める結果になる。
低軌道会戦での第8艦隊への攻撃命令が、C.E.に“ニュータイプ”の概念をもたらし、世界中から“コーディネーター優生主義”を駆逐するきっかけを作る事になる。
原作同様にアラスカのジョシュア攻略のオペレーション・スピットブレイクやパナマ攻略戦のグングニルの情報等を地球に流し、プラントに早期にジェネシスの使用に踏み切らせようと画策する。
ボアズ陥落前にはNJCの情報を地球に無差別にばら撒き、核とジェネシスによる人類滅亡を目論む。
最終決戦前にはNJCの情報をばら撒く準備は完了しており、帰還後に実行する手筈だった。
その直前、プラントとコーディネーター誕生の原資料『エピソードゼロ』を入手。
これによりNJCの拡散を中止。
ジェネシスで地球を滅ぼし、その後、緩慢に滅亡へ向かうプラントに『エピソードゼロ』の情報を公開し、コーディネーターを絶望の淵に突き落として、人類滅亡を完遂させる方針に変更。
しかし、最終決戦で“ニュータイプ”の根幹に触れ、“人類の可能性”を見出して死亡。
結果としてNJCの拡散は防がれ、『エピソードゼロ』の情報も闇に消える事になる。


裏設定
世界平和監視機構 コンパス
「核とレクイエムとどちらが良いかな?
どちらで焼かれたいか選ばせてやろう」

タイガの設立した地球連合における紛争解決の為の常設即応部隊。
正義、不正義、侵略、自衛を問わず、紛争を起こした対象を等しく武力で鎮圧し『平和を強制』する実戦部隊。
原作のように「想いだけでも、力だけでも」という言葉に象徴される、理解だの愛だのという前に「力ずくで言う事を聞かせる」事を最優先にしている。
「先ずは話し合いから」と提案したある国の代表が、タイガが言い放った「話?そんなものは必要ない。争いをやめないなら滅べ」という言葉に絶句したという逸話がある。
しかも「タイガであればそれを躊躇いなく実行する」というのが各国の共通認識になっている。
“コンパス”の行動は地球連合加盟国が締結した条約による合法的なもので、オーブがNJCや核やレクイエムを所有しているので、“コンパス”の『合法的な暴力』に対抗出来る勢力はほぼ存在しない。

“コンパス”は“軍隊”なので、基本的に行動は軍事行動に限られ、テロリストの摘出や、反抗勢力への先制攻撃等は行わない。
あくまでも『戦闘中の勢力を鎮圧する事』が存在理由。
その代わり軍事的緊張が高まる場所へは事前にザクやグフを駐留させ、抑止力としていた。
ザクやグフは対峙する双方に銃口を向け、『どちらから攻撃されても双方を攻撃する』と通告した。
両者から猛烈な抗議が行われたが、タイガは「お前たちは相手が攻撃されても何もしないつもりか?
“コンパス”に便乗して攻撃するなど許さん!
自衛も“コンパス”が対処してやるから必要ない!
攻撃だろうが、自衛だろうが戦闘を行うのは“コンパス”だけだ。
それ以外の者は全て殲滅する!
それが嫌なら大人しくしておけ!」
と一顧だにしなかった。
その言葉に“コンパス”を利用して、相手を攻撃しようとする目論みは全て無意味になった。
結果、紛争地帯では『紛争当事者が協力して紛争を起こさない様にする』という奇妙な状況が生まれる事になり、結果としてザクとグフにより平和がもたらされる事になる。

タイガの根回しにより、“コンパス”の活動には必ず法的な裏付けがされており、紛争解決に出動した時点で法的正当性は“コンパス”にある事が誰の目にも明らかになるようになっていた。

“コンパス”による“平和の強制”によって、世界中の紛争が物理的に消滅していった結果、“第2の大航海時代”が訪れる事になる。

「紛争地帯から遠く離れた者ほど“コンパス”を批判する者が多く、紛争地帯に近い者ほど“コンパス”に肯定的な者が多い」とは、ある著名なジャーナリストの言葉である。


これにて新しい(ニュータイプ)時代の到来・大航海時代編 終了になります。

いよいよ次回より『SEED最終章』開始になります。

次回お楽しみください。



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