転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
第223話 帰還
CE101年。
世界は一つの話題に沸き立っていた。
人類初の恒星間探査船の完成。
これは人類史上に残る二つの大発明――
核融合と重力制御 の実現によって可能となった。
核融合は、トレノフ・Y・ミノフスキー博士の遺した資料を基に、
弟子であるテム・レイをはじめとする研究者たちが理論をまとめ上げ、ついに実用段階へと到達した。
まさに人類の英知の結晶である。
重力制御は、レヴィテーター技術をさらに発展させ、慣性制御を実現。
段階的な改良の末、ついには重力そのものの制御に成功した。
これらの技術により、恒星間航行はもはや夢物語ではなくなった。
目的地は地球から4.3光年の距離にあるケンタウルス座アルファ星系。
その中でも「プロキシマ・ケンタウリ」を周回する、地球に似た環境を持つ可能性のある惑星――
プロキシマb。
慣性制御、重力制御、そして無限に等しい核融合炉。
これらを組み合わせれば、光速の30%で航行し、ケンタウルス座アルファ星まで約15年。
往復で約30年の旅が可能となる。
この計画のため、太陽系全体が整備された。
民間団体だったDSSD・深宇宙探査開発機構が正式に地球連合の下部組織に組み込まれ、恒星間探査船の建造、運用を統括する事になった。
• 食料・人材:地球
• 鉱物資源:アステロイドベルト
• 外宇宙対応訓練:火星
• 宇宙船建造・エネルギー:木星圏
正に全人類の総力を結集した一大事業である。
そして、この中心となったのが第2プラントだった。
第2プラントでは、
ナチュラルも、コーディネーターも、ニュータイプも区別されず、ただ技術の発展だけを目的に研究が進められた。
ここでは技術は基本的に全面公開されていた。
もちろん危険なものや軍事転用の恐れがあるものには制限があったが、それ以外は誰でも自由に閲覧できた。
• 技術は絶えず比較され
• 検証され
• 改良され
• より優れたものへと更新されていく
敗れた技術も破棄される事はなく、そのまま公開され続けた。
その結果、その技術が別の技術にブレイクスルーをもたらし、大きな進歩をもたらす事はもはや当たり前の出来事になっていた。
優れた技術のみを追求し、不要なものは淘汰され、しかし捨てられた技術すら未来の糧になる。
切磋琢磨する存在のいない、閉じた環境の旧プラントでは決して生まれなかった構造だった。
その結果――
• プラントとの大戦からわずか20年で新技術を開発
• さらに10年で恒星間探査船を建造
という、驚異的な成果が実現した。
人類の英知と、未知の宇宙への情熱。
それらが結実した結果だった。
核融合と重力制御は、人類の生活環境を劇的に変えた。
ミノフスキー核融合炉は、精製の容易な重水素と、木星から運搬したヘリウム3を用いて核融合反応を起こし、直接電気エネルギーとして取り出すという正に“夢のエネルギー源”であった。
重力制御は、コロニーでの大規模な遠心重力設備を不要とし、月や火星でも地球と同じ1G環境を実現した。
慣性制御と重力制御は、加速・減速による人体や船体への負荷を激減させ、核融合炉は無限に近いエネルギーを提供する。
かつて数年がかりだった火星や木星との往復は、数日、数ヶ月へと短縮され、太陽系内の移動はもはや日常の延長となっていた。
そしてCE101年。
ついに人類史上初の「外宇宙への進出」
その第一歩が踏み出されようとしていた。
世界中がその話題に沸き立つ中、一人の男が約30年ぶりに故郷の地へ足を踏み入れていた。
男の名は――
パトリック・ザラ。
かつて一億数千万人を死に追いやった、元プラント評議会議長の帰還であった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。