転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話には今後の展開に関わる設定・伏線が含まれています。
独自設定・原作改変が多めですのでご注意ください。
本話はこの物語の根幹をなす重要な補足回になります。
お楽しみください。
ニュータイプ論。
それはジオン・ズム・ダイクンが提唱した新たな人類の可能性。
本来は宇宙に棄民されたスペースノイドの精神的支柱として提唱されたこの理論は、
その後も様々な事象のバックボーンとして利用された。
その結果、この理論は地球を必要としない道を模索し始めるきっかけとなり、
多くの争いを産んだ。
しかし唯一つ間違いないのは——
当時、地球から捨てられたスペースノイド達はこの理論によって、
未来に希望を持つ事が出来るようになり、救われたという事だ。
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タイガ・ウラ・アスハは転生者である。
転生者であるがゆえに常人では知り得ない事も知っている。
しかしその彼をもってしても、これは予想外だった。
ジオン・ズム・ダイクン?
ニュータイプ論?
なんでこんなものがこの世界にあるんだよ!
タイガは叫びたくなった。
タイガはオーブ首長家の一員の義務として、
教育分野への支援や軍の後方体制整備といった
「表には出ないが重要な仕事」を任されていた。
その中から「面白いものがある」と知らされたのが、
このジオン・ズム・ダイクンの「ニュータイプ論」だった。
パラパラと内容を確認してみると——
まず理論が荒い。
予想や願望が多い。
そのままでは検証に耐えない代物だった。
しかし、ここにひとつだけ例外があった。
「ニュータイプの実在」
この実在が証明されれば、この理論は簡単に受け入れられる。
何しろ別の世界とはいえ実例があるのだ。
その実例の存在は、この理論で余す事なく説明できるのだ。
これが一般に受け入れられれば、世界中に蔓延する
「コーディネーターは優れた存在だ」という
“コーディネーター優生主義”が完全に破綻する。
扱いは慎重にやらなければならない。
「あ〜、オーブ国立大学につないでくれ」
タイガは将来への布石を一つ打つ事を決めた。
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数年後
ジオン・ズム・ダイクン。
数年前まで彼は無名の存在だった。
正確には、再構築戦争前から続く名家ダイクン家の当主として敬意は払われていた。
しかしそれ以上のものではなかった。
彼の名前を聞いた人たちはそろって同じ反応をする。
「ダイクン家? ああ、あの有名な歴史の長い名家の?」
有名なのは「ダイクン家」であって、ジオン・ズム・ダイクンではなかった。
彼にはそれが不満だった。
世界中に自分の名前を!
ダイクン家ではなく、ジオン・ズム・ダイクンの名を響き渡らせたい!
それが彼の願望だった。
しかし現実は無常だった。
彼ジオン・ズム・ダイクン個人の力など、世界の前では何の意味もなかった。
コーディネーターのように優れてもいない。
本物のナチュラルの天才のような能力もない。
どこまで行っても彼は凡人だった。
彼は思想に逃避した。
「コーディネーターは優れている。
しかし本物のナチュラルの天才にはかなわない。
本物のナチュラルの天才を生み出す環境を用意すれば、
コーディネーターは存在する意味をなくす。
これなら世界の大多数を占めるナチュラルに受け入れられるはずだ」
彼はどこまでも凡人だった。
しかし凡人だからこそ、世界中の大半の凡人達——ナチュラルが何を求めているのか理解していた。
その後、「宇宙という環境に適応した新人類」——ニュータイプ理論を執筆。
しかしこれは当初省みられることはなかった。
コーディネーターを批判し、ナチュラルを賛美する書物は世にあふれかえっていた。
ジオンのニュータイプ論も、そのうちのひとつでしかないとみなされていた。
ジオンは失意に沈んだ。
名家だなんだとおだてられても、それだけで飯を食えるわけではない。
名家なりの出費もあり、知人の経営する地方大学の客員教授として、
細々と講義を繰り返す毎日であった。
安らぎを覚えるのは、愛人のところでゆっくりする時だけであった。
この愛人にも少しでも楽をさせてやりたい、報いてやりたいと思いながらも、
淡々と日々は過ぎていった。
その生活が一変するのは、オーブの国立大学からの招聘だった。
文面には簡単に
「貴兄のニュータイプ論について詳しく話を聞きたい」
とだけ書かれていた。
ジオンは何の変哲もない文面に落胆したものの、
「オーブへの旅行もかねて、愛人を秘書として一緒に連れて行ってやるか」
と気楽に考えていた。
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ジオンがオーブの大学に招聘された結果、数年後には世間に広く知られるようになり、
CE71年のある出来事によって、地球全土に蔓延していた「コーディネーター優生主義」は衰退し、
代わりにジオンの「ニュータイプ論」が世界を席巻した。
まさにジオンによって時代が変わった瞬間だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話創作のきっかけは「宇宙世紀のNTがCEにいたらどうなるのか?」というものでした。
私の勝手な自己解釈では「こういう風になるんじゃないかなあ?」
と思った事を書き連ねてみました。
本作においてはこの「ニュータイプ論」がCEの世界を根本から変えていく事になります。
次回お楽しみください。