転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
本編の『全ての始まり』の前日譚になります。
彼の『善意』がCEの歴史に消える事のない光と闇を刻み込む事になります。
どうぞお楽しみください。
CE15
ジョージ・グレンは街中の喫茶店で男を待っていた。
今年中には木星へ旅立つ。
その準備に多忙を極める中、やっとひねり出した時間だ。
相手が来なければ自分のやろうとしている事は実行できない。
ある意味、彼の「やろうとしている事」が実行されなければ、後のC.E.の混乱は有り得なかったのかもしれない。
それが無ければ、未来において世界は停滞と混乱を抱えたままであっても、僅かずつではあっても前へ進んでいただろう。
彼の「やろうとしている事」は未来において人類の歴史に残る強烈な光を残した。
しかし当然ながら、それは同時に人類の歴史に消える事のない闇を刻み込む事になった。
待つ事しばし、喫茶店の扉が開くと、人好きのする笑顔を浮かべた赤毛の小太りの男がジョージに向かって手を上げた。
「よっ!お待たせ!」
「遅いじゃないか?もう来ないかと思っていたよ?」
「すまん。すまん。老人たちを説得するのが長引いてね」
「!!それじゃあ!?」
「ああ。老人たちも納得した。これを公開してもオーケーだそうだ」
そう言って男は懐から小さなマイクロチップを取り出してジョージの目の前に置いた。
それを手にしながらジョージは感慨深げに呟く。
「良かった。これで人類はもっと先へ進める」
「ああ、だが条件がある」
「条件?何だか裏がありそうだな?」
「そんなに難しい事じゃない。公開する時期が指定されている」
「時期?」
「ああ。『情報を公開するなら君が木星に行く途中。そこでこの情報を公開しろ』という事だ」
「?なんでまた」
「この情報が公開されれば世界は大混乱になるぞ。今公開したら、君が木星に行くどころの騒ぎじゃない。
木星行そのものがつぶされる可能性があるぞ」
「・・・確かにな」
「君が木星に行く途中に公開すれば誰も干渉できない。
世界に出来る事は、精々君が帰ってくるまでに内容を検証して、君の同類を増やす事ぐらいさ。
君が帰ってきた頃には同胞が君を迎えてくれる筈さ。
期待していろよ?」
「ああ、世界中に『人の今と未来の間に立つ者』が満ちれば世界はもっと幸せになる!
そうなれば人はもう迷う事はない。
人は、世界はもっと先へ進める筈さ!」
「ああ、その未来の為にも頼むぞ。
「ああ、まかせてくれ!これで世界は変わる!」
喫茶店を出て歩き去っていくジョージの後ろ姿を見送りながら、ジョージにチップを渡した男は顔を顰めていた。
「『世界が変わる』ねえ?
確かに変わるだろうがそれが良い方に変わるとは限らないよなあ?
それを理解しているのかね?
あのお坊ちゃんは?」
事実であった。
この数週間後、ジョージ・グレンは木星へ向けて旅立ち、その途中で自分の産まれを『告白』した。
ジョージ・グレンの『告白』によって、世界中の親は我が子をコーディネータにしようと血道をあげ、コーディネーターが一般化するとナチュラルとの間に深刻な対立をもたらした。
ジョージの望みとは裏腹に、世界中に
彼は知らなかった。
彼を“調整”した者達の出資者が誰であったのかを。
彼を“調整”したノウハウはその出資者たちが持っていた事を。
彼の『告白』によって遺伝子調整の需要が爆発した事も。
そのノウハウを提供できたのは彼を“調整”した者たちであった事も。
結果、遺伝子調整の価格は跳ね上がり、その為の機材、人材、資料、施設には天文学的な価値が産まれた事も。
どれ程の法外な価格でも、我が子をジョージ・グレンのように出来るのであれば、その為の金銭を惜しむ親は存在しない。
しかし現実的に、最初期の超高額な“調整”を我が子に施せるのは、世界の富の数%を握る超富裕層のみだった。
結果、ジョージ・グレンを最高の広告塔にする事で、全世界に天文学的な規模の『遺伝子調整を目的とした新たな市場』が誕生した。
その市場を独占するのは、ノウハウを持つ『ジョージ・グレンの出資者』たちである『超富裕層』であるのも当然だった。
ジョージ・グレンの言う
しかし、それまでの間に流れた血が、人類の歴史上最大のものになる事を、当時の
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
CE全ての
原作で彼が『告白』したのは人類の未来の為だったはずです。
しかし、それはCEに大きな混乱をもたらしました。
そしてその混乱でさえ、
この混乱は
それは同時に世界が
『オーブを守る為』にタイガの打った手は、結果的に、新たな人類の未来を照らしました。
それは『人類の総力を結集した恒星間宇宙船』への第一歩となります。
もしジョージ・グレンの告白が無ければ?
それは歴史のifでしかありません。
今後、過去や未来へ舞台を移して閑話が続きます。
次回お楽しみください。