転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
その日パトリックはプラントの最奥部への通路を歩いていた。
普段は立ち入る者がいない、静かな通路の先には超近代的な周囲とは一線を画す、荘厳な雰囲気を醸し出す大きな扉があった。
その扉の前でパトリックは大きく深呼吸をすると扉に向かって声をかけた。
「失礼します」
声をかけると同時に扉が開かれた。
扉を開けたのはナチュラルの青年だった。
(ちっ!あの方々の身内とはいえ、ナチュラル如きがプラントの聖域とも言えるこの場所にいるなど腹立たしい!)
パトリックが内心を押し隠して入った扉の先では、世話をする為に数人の青年やメイドを従えた老人たちが談笑していた。
パトリックが入室したのに気付くと老人たちはパトリックに視線を向けた。
「おお、来たかパトリック。お前から提案されたNJの散布だが許可しよう。だがくれぐれも気取られぬようにな。
情報の扱いには気を付けるように。分かっておるな?」
「はっ!もちろんです!」
老人たちを前にしてパトリックは冷や汗を隠す事が出来なかった。
老人たちは最初にプラントに移住してきたコーディネーターの親たちだった。
名目上は評議会とも何の関係もない名誉職に名前だけ載っているが、私的には子息である評議員たちを直接従える事の出来るプラントの影の絶対者だった。
それはコーディネーターが優遇されているプラントでも例外ではなかった。
彼ら老人たちの集まりは、影では畏怖を込めて『元老院』と呼ばれていた。
表面上は『元老院』には何の権力もない。
しかし私的に子息である評議員たちを従える事の出来る彼ら『元老院』は、評議会の上位に存在する『プラントの影の最高意思決定機関』と言ってよかった。
普段はプラントの奥の私的空間から出る事は滅多にない為、その姿を知る者も殆どいなかった。
しかし、例えナチュラルであっても、彼らを見下すような者はプラントにはいなかった。
何よりもプラントを建設し、コーディネーターを移住させ、自分たちをナチュラルから守ってくれた大恩人なのだ。
目的が『自分の子息たちの安全の為』だとしても、例えプラントの建設が名目上“理事国による工場の建設”であったとしても、彼ら“最初期のコーディネーターの親たち”がプラントを建設してくれなければ、自分たちコーディネーターを移住させてくれなければ、今頃自分たちは数だけは多いナチュラルによって悲惨な目にあっていた事は簡単に想像できる。
そして彼らは影に日向に『
地球との窓口を持たない自分たちに代わって、彼ら老人たちは自分たちが今まで築いたコネクションを使って地球との交渉をまとめようとしてくれていた。
(このままであれば独立も可能かもしれない)
彼ら老人たちの力はパトリックにそう思わせるだけの影響力を持っていた。
しかし世界の情勢はそれを許さなかった。
理事国からの要求は際限なく膨れ上がり、コーディネーターは酷使され、利益は全て理事国に吸い上げられた。
このままでは
苦慮した末、評議会は地球からの独立を決定し、その手段としてNJの散布とMSの開発を進めた。
もちろんそれはパトリックの勝手な思い込みに過ぎない。
理事国は手配した資材に応じた生産しか要求しなかったし、より高い報酬を得る為にコーディネーターが自分の判断で働いただけだった。
生産物は資材を手配した理事国の物だし、それによる利益も理事国の物だ。
しかし、パトリックにとっては、『プラントで生産された物は全てコーディネーターの物で、その利益も全てコーディネーターの物』だった。
しかも理事国の手配した資材をNJやMSの生産に使えば理事国の要求を満たせなくなるのは当たり前だ。
それすらもパトリックにとっては『理事国によるコーディネーターの弾圧』だった。
『元老院』の老人たちには故郷である地球へのNJの散布は許可されないかもしれない。
しかし、地球との国力差を覆すには、もう
老人たちの説得の為に悲壮な覚悟をしていたパトリックの決意は報われる事になった。
「NJの散布はプラントには影響はないのだろう?」
「はい。それはもちろん」
「
我々の
「はい!もちろんです!」
『元老院』は地球より子息である
それを理解してパトリックは誇らしい気分になった。
しかしそれも続けてかけられた老人たちの言葉に一気に血の気が引く事になる。
「分かっていようが、実行したらもう後には引けぬ。上手く行けば良いが、もし不首尾に終わった場合はお前に責任を取ってもらう事になる。努々忘れぬようにな?」
「は、はっ!も、もちろんです!」
老人たちにとって自分など幾らでも替えのきく『駒』に過ぎない。
自分がザラ家の代表として振舞えるのは、自分がザラ家の中で優秀なコーディネーターだからだ。
自分が不要になれば老人たちは一族の中から適当な者を選び自分の後釜に据えるだろう。
しかし、それももうすぐ終わる。
『元老院』の老人たちは既に相当の高齢だ。
いくら最新のアンチエイジングや遺伝子治療を行っても寿命そのものを伸ばす事は出来ない。
NJの散布が終わり、独立を果たした後は数年も保たないだろう。
時代遅れの
そうなれば後は
内心を押し隠してパトリックは老人たちの前から退出した。
――
「あ奴はあれで内心を隠しているつもりなのか?」
パトリックが退出した後、老人たちはパトリックを嘲笑していた。
「まあ、大した苦労もせず、与えられた才能を自分の力だと思い込んでいる愚か者だ。
ある程度の能力があり、切り捨てても大して惜しくないのだから、その意味では“貴重な人材”と言うべきではないか?道化としては役に立つ」
「確かにな」
世界の闇の淵を渡り歩いてきた老人たちの前では、パトリックの内心など筒抜けだった。
「まあ良い。我らの後継は
所詮、
傍らに立つナチュラルの青年たちを見やって老人たちは言葉を続けた。
「お前たちもよく見ておく事だ。
しかしお前たちは
それを使って
良いな?お前たちこそ我らの後継だ。所詮、『部品は部品でしかない』。
我らが遺したものを継ぐのはお前たちだ。良いな?」
「はっ!」
「もちろんです」
「お任せください」
老人たちに侍る青年たちは口々に答えた。
彼らこそ“真のプラントの支配者”、その後継だった。
――
NJが散布され地球に未曽有の混乱がもたらされた後、プラントは老人たちの思惑通り独立を果たした。
しかしその後の世界は老人たちの思惑通りには進まなかった。
タイガの主導により第2プラントが建設され、プラントは衰退し、プラントからの移住は拒否されるようになった。
老人たちが作り上げたはずの“自分たちの理想郷”は、そのまま宇宙に浮かぶ老人たちの墓標となった。
プラントが、“自分たちの理想郷”が滅びゆく様を見つめながら、老人たちは疑問を口にする事しか出来なかった。
「何故?何故だ?」
「地球の連中は何をしている!我らを助けなければ連中も終わりだぞ!」
老人たちは地球にとって様々な不都合な情報の公開や、巨額の資産の提供を提示して、地球からの援助を引き出そうとした。
しかし地球側は既に老人たちを切り捨てていた。
「不都合な情報?NJでその連中は既にいない。
巨額の資産?宇宙でその資産を抱えていろ。
自分で“自分たちの理想郷”に引きこもったんだ。
後は自分で何とかしろ。
お前たちがどうなろうと知った事か!」
地球はプラントが力を取り戻した場合「再度NJの散布か、それに類する事を行うのではないか?」という疑念を消す事が出来なかった。
原因は不明とはいえ、『S2型インフルエンザ』という前例もある。
しかもNJの散布を行い、現実に一億数千万人を虐殺したプラントを助ける者など、既に地球には存在しなかった。
老人たちの力をもってしても、“プラントを必要としない時代の流れ”は止める事は出来なかった。
「何故だ!何故?」
その疑問に答える者がいないまま、NJの散布後、数年が経つ頃には老人たちは全ていなくなった。
コーディネーターは滅びの道を歩み、隆盛を誇ったプラントは誰からも忘れ去られて宇宙の片隅で朽ち果てていく事になる。
それが『人類の歴史上最大の悲劇』をもたらした、一部の老人たちの“自分たちの理想郷”の末路だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
※追記
この物語はフィクションです。
現実の人物、事件、出来事とは全く、一切、何の関係もありません!
本当ですよ!
では始めます(笑)
いや〜、世の中には色んな人がいますね〜
某所での話ですが、ある人との二次創作についての話の中で、その人は種の中でも特に『ある陣営』がお気に入りで、「それを否定するような話や、同意するようなやつには内容なんか関係なく、徹底的にBAD評価を付ける!」と言う話が出て来ました。
そしてその人が色々な名前を出した作品の中には「転生タイガ」もありました。
・・・自分の作品がここまで沢山の人に読んでもらっていると喜ぶべきか、
作者が自分だと教えるべきか、少々悩みましたが、結局無難に「うんうん、ソーダネー」とテキトーに相槌を打って話を合わせていました。
投稿した時点で低評価を付けられる事も覚悟していましたが、感想を頂いた時は「これが自分の作品を評価してくれてる方の生の声なんだ」と感動に震えました。
初投稿後しばらくの間は、「面白いからGood、つまらないからBAD?自分はどう評価されるのか?どっちだろう?」と感想欄にかじりついて、皆さまからの評価にドキドキしていました。
皆さまにいただいた感想には「おお、そういう見方もあるのか!」「おお、書いた意図がちゃんと伝わっているんだなあ(ホロリ)」と大変勇気付けていただきました。
しかし、作品を読みもせずに、感想をいただいている皆さんにまでBAD評価を付ける人がいるなんて・・・
まあ、どんな評価を付けようとその人の自由ですし、本当にそんな事をしているとは限りません。
それに話がどうしても肌に合わないと言う人もいるでしょう。
でも、読みもしないでそんな評価を付けられ、低評価を覚悟していた自分はともかく、ただ感想を書いて頂いただけの皆さままでBADを付けられて不愉快な思いをさせるぐらいなら、いっそ全部削除してしまおうか・・・
しかし、うむ〜・・・
色々と悩みました。
結局、結論としては「気にしてもしょうがない。書き上がったら投稿していこう!」という事になりました。
私の作品が本当にBAD評価であれば、読む人なんかいないはずですし、100人中100人に好かれるはずもありません。
私の作品を読んでくれる人がいるなら、評価なんか気にしないで投稿していこう!と気持ちを新たにしました。
感想欄でBAD評価を付けられる方もいらっしゃるかも知れませんが、私はどんな感想でも書き込んでいただけるだけで
《 大 感 謝 》しております。
改めまして感想を頂いた皆様に感謝を!
皆様の感想が作者の力になります!
次回お楽しみください。