転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
重要な補足回です。
本話には今後の展開に関わる設定・伏線が含まれています。
独自設定・原作改変が多めですのでご注意ください。
本作における最大のイレギュラー登場です。
お楽しみください。
それは単なる思い付きだった。
「ジオン・ズム・ダイクンが“いた”。
それなら、他にもいるんじゃないか?」
タイガはそう思いながらも、あり得ないと自分で否定していた。
ここは宇宙世紀ではない。
歴史が違う。
時代が違う。
何より世界が違う。
同じ名前の人物が存在したとしても、それは偶然だ。
思想が似通うことはあっても、人類史そのものが重なるなどあり得ない。
しかしジオン・ズム・ダイクンのニュータイプ論は存在した。
何故か?
理由は不明だ。
そもそもこの世界は宇宙世紀ではない。
たまたま同姓同名の人物が同じような思想にたどり着いただけに違いない。
これは単なる偶然だ。
自分に何度もそう言い聞かせながらタイガは端末を操作した。
「……まあ、無駄なら無駄だったってことが分かるだけだ」
そう自分に何度も言い聞かせ、半ば投げやりな気分で端末を操作する。
調べたのは、自分が管轄を任されているオーブ軍の後方支援関連資料だった。
民間企業からの技術士官派遣、研究協力者名簿、家族構成――
どれも日常的に目を通している、ありふれた書類の束だ。
だからこそ、その名前が視界に入った瞬間、思考が止まった。
「……嘘だろ?」
画面に表示された文字列を、タイガは二度、三度と読み返した。
見間違いであってほしい。
同姓同名であってほしい。
だが、そこに記されている情報は、あまりにも整いすぎていた。
――オーブ軍派遣
――モルゲンレーテ技術士官
――氏名:テム・レイ
さらにその先を確認する事を恐れ、指先がわずかに震える。
「家族構成……妻一名、子一名……」
世界中に技術士官などいくらでもいるだろう。
妻子がいるのも不思議でも何でも無い。
同姓同名の人物だっていても不思議ではない。
しかしそれがなぜ自分の国に、
自分が管轄するオーブ軍に存在するのか?
世界の意思か?
運命か?
この世界の者は「宇宙世紀」という言葉さえ知らないだろう。
それがなぜ自分の元に?
疑問が胸に湧いて出てくるだけで、指は画面に触れたまま、自分の指なのに、次を表示させるのを恐れるように微動だにしなかった。
(あり得ない!そんな事はあり得ない!)
しかし嫌な予感は消えなかった。
そして嫌な予感が、確信へと変わっていく。
ゆっくりと、自分から逃げ場を失うように、視線を下へ滑らせた。
――第一子
――氏名:アムロ・レイ
タイガは、しばらくの間、画面を見つめたまま動けなかった。
否定は、もうできなかった。
ニュータイプは思想ではない。
仮説でも、比喩でもない。
――この世界に、実在している。
そう、はっきりと思い知らされた瞬間だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
ニュータイプは存在した。
それがこのCE世界をどう変えていくのか?
次回お楽しみください。