転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※この作品はガンダムSEEDの二次創作です。
※独自設定・原作改変が多く含まれます。
本話はキャラクターの心理描写が中心となります。
原作とは異なる解釈が含まれますが、人物像を深める意図で描いています。
楽しんでいただければ幸いです。
第3話 学園都市
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冬の朝、冷たい海風が学園都市の街路を撫でていた。
高層の学舎群が整然と並ぶこの大西洋連邦の学園都市は、
最新鋭の研究施設と教育機関を擁する理想都市として知られている。
その中を、タイガ・ウラ・アスハは片手にコーヒーを持ちながら、
落ち着いた足取りで歩いていた。
――
タイガがここにいる理由は簡単だ。
**ハイスクールへの進学に合わせて、
大西洋連邦へ留学することになったのである。**
教育環境はオーブと大差ないが、
多くの優れた知識人との切磋琢磨は、
将来の“オーブの焦土化”を防ぐために必ず役立つと判断したのだ。
――
そこで、ふと足を止める。
学舎前の広場で、
コーディネーターと思われる背の高い少年が、
ナチュラルと思われる金髪の少年を挑発しているのが目に入った。
「どうせお前たちナチュラルは俺たちに勝てないんだろう? ハハハ!」
散々からかわれていたのか、
嘲るような言葉に金髪の少年はついに切れた。
顔を真っ赤にして殴りかかる。
「おっと」
コーディネーターの少年は軽く拳を躱し、
腕を掴んでひねり上げた。
「ううっ……!」
苦痛に顔を歪める金髪の少年。
「ふんっ」
コーディネーターの少年は彼を地面に突き飛ばし、
呆れたように言葉を続けた。
「やめてよね。お前らが僕たちに勝てるわけないだろう」
否定できない、しかし紛れもない“事実”を突きつけるような声音だった。
「ハハハハハハハハハハ!」
嘲る笑い声が広場に響き渡る。
しかし周囲の誰も咎めようとしない。
それは――
少年の言葉を事実と認めるしかないという、
一種の諦めが周囲の共通認識となっていたからだった。
地面に倒れた金髪の少年は何か言い返そうとするが、
声にならない。
――
その時。
高笑いを続けるコーディネーターの少年の頭に、
熱いコーヒーがぶちまけられた。
「熱っつつつつ!」
「ああ、すまない。聞くに堪えない雑音が聞こえていたんでな。
どうやら雑音は止まったようだな」
タイガは空になった紙コップをゴミ箱に放り投げながら言った。
「貴様あ!」
コーディネーターの少年は怒りに震える。
「お前もナチュラルだな!
ナチュラル風情が俺たちコーディネーターの前に堂々と姿を見せるんじゃねえ!
お前らは劣等種らしく道の隅っこに縮こまっていれば良いんだよ!」
普段の言動がよく分かる台詞だった。
タイガは興味なさげに答える。
「ふん? 劣等種?
それならお前がナチュラルに負ければ、
コーディネーターはその劣等種にも劣る存在になるのかい?
別にお前が全コーディネーターの代表でもあるまいし、
思い上がりもそこまでいけば滑稽だな?」
「な、なな……!」
ここまで面と向かって侮蔑されたことはなかったのだろう。
「なんだとぉ! 貴様あ!」
怒りに目を見開き、力任せに殴りかかる。
確かに拳は速かった。
コーディネーターの身体能力に依存した速度で、
素人では拳の影すら認識できなかっただろう。
だが――
その拳には焦りが見えた。
腕の振り方、肩の突き出し方、重心の移動。
全てが不安定で、隙だらけ。
ただの素人の一撃でしかなかった。
タイガは振りかぶられた腕を弾くように躱し、
相手の肘を脇に挟んで固定。
そのまま倒れ込み、
相手をうつ伏せにして顔面から地面に叩きつけた。
「っつっつっつ!」
コーディネーターの少年は一瞬意識を失い、
次の瞬間、腕の激痛で意識を取り戻した。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
関節技の痛みは、死を覚悟した者でさえ悲鳴を上げさせる。
タイガは護身術の訓練と称した師匠との修行で、
文字通り“骨まで”叩き込まれていた。
「これでお前のせいで、
コーディネーターは劣等種にも劣る存在だと証明されてしまったな?
おい、聞いてるか?」
「ぅぅぅぅぅ……」
少年は激痛のために失神し、
小さなうめき声をあげることしかできなかった。
周囲は息を呑み、静まり返る。
――
「ふう」
タイガは立ち上がり、一息つくと、
「やれやれ、どうやら雑音も聞こえなくなったな」
周囲の様子など気にすることなく、
そのまま校舎へ向かって歩き始めた。
――
倒れていた金髪の少年は、必死に顔を上げてその背中を追った。
自分が敵わなかった相手に、
同じナチュラルの少年がいとも簡単に勝ってみせた。
しかもその少年は、
コーディネーターに勝ったというのに誇るでもなく、
まるでつまらないもののように
「雑音が聞こえなくなった」と言って去っていった。
その背中は――
前日、母に向かって
「なぜ僕をコーディネーターにしなかったのか?」
と尋ねた自分の姿と比べて、あまりにも大きく見えていた。
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※あとがきです。
読了ありがとうございます。
今回はキャラの内面に焦点を当てた回でした。
今後の行動の背景として楽しんでいただければ嬉しいです。