転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
特に一部キャラの改変を含みます。
気軽に読んでいただければ幸いです。
「兄上! プラントへ宣戦布告を!」
「それは出来ん! 中立はオーブの理念なのだ!」
「理念? 理念とは“人の命を守るため”にあるのですよ。
プラントは一方的に中立であるヘリオポリスを攻撃し、
オーブ国民の生命と財産を奪ったのです。
敵対する相手から身を守るのに、中立など関係ありません!」
「だが宣戦布告すれば、国内のコーディネーターはどうなる?
彼らはプラントとは何の関係もないのだぞ!」
「兄上、我々オーブが敵対しているのは“コーディネーター全て”ではありません。
単に“大部分がコーディネーターで構成されているプラント”という集団です。
連中はコーディネーター全体の代表でも代弁者でもありません。
我が国の安全を脅かす連中に、たまたまコーディネーターが含まれているだけです!」
「しかし……」
「兄上、コーディネーターがテロを起こしたら、コーディネーター全てがテロリストになるのですか?
それなら、オーブ国外でテロリストが“自分はオーブ国民だ!”と名乗った瞬間、
世界中からオーブ国民全てがテロリスト扱いされる事になりますよ?
それが正しいと本気で思うのですか?」
「……」
「兄上、襲撃されたのがヘリオポリスではなく“本土”であっても同じことが言えますか?
本土なら宣戦布告して身を守るが、本土以外なら傍観するのですか?
ヘリオポリスやその他の地域に住む者たちも、間違いなく我々氏族が守るべき“オーブの民”なのですよ!」
「……」
「兄上!」
「……宣戦布告は認められん! これはオーブの理念なのだ!」
「……それなら仕方ありません」
タイガは右手を挙げた。
合図に従い、数人の兵士がウズミを取り囲む。
「な、何をする!」
「兄上は病気のようだ。正しい判断が出来なくなっている。
静かな場所で安静にしていただけ」
「ハッ!」
兵士が短く敬礼し、ウズミを連行していく。
「タイガ! やめろ!
お前は自分が何をしているのか分かっているのか!
オーブの理念を踏みにじるのか! タイガ!」
その声は徐々に遠ざかり、やがて聞こえなくなった。
静寂がウズミの執務室を満たす。
「理念ねえ……
それを踏みにじることでこの国の民の命を守れるなら、ためらう必要がどこにある?」
タイガの独り言が、静寂の中に虚しく響いた。
数瞬後、部屋全体がぐにゃりと歪み、
周囲の全てが渦巻きながら虚空へ消えていった。
「ハッ!」
タイガはガバッと身を起こした。
「夢か……」
再びベッドに横になりながら、タイガは今の夢を反芻する。
(荒唐無稽とは言い切れない。このままだと十分あり得る話だ。
事実、プラントは別に全コーディネーターの代表ではない。
世界中の全てのコーディネーターがプラントに従っているわけでもない。
宣戦布告したからといって、国内のコーディネーターの扱いが変わるわけでもない。
何より彼らも同じオーブ国民だ。
クーデターか……最終手段だが、どうしても他に手段がなければ……)
心に不安を抱えながら、タイガは再び眠りについた。
タイガがオーブに帰国した、その日の夜の事だった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
独自設定が多数ありますが創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。