転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
今回もお読みいただきありがとうございます。
本話はオーブ内部寄りの内容です。
独自設定・原作改変がありますのでご注意ください。
オーブ帰還後、タイガは多くの首長氏族と会合を重ねていた。
その中でも特に多く会合を重ねていた家があった。
ウナト・エマ・セイランのセイラン家である。
「調子はどうだ?」
「上々といったところですな。首長の中にも耳を傾けるものが増えております」
「もう少し増えると思ったんだがなあ?」
「やはりウズミ様の存在が大きいかと。ウズミ様がうまくやってくださるので誰も問題を認識していないのでしょう」
「それは困る。兄上も神様ではない。間違える事はあるし、失敗する事もある。兄上が過労で倒れたりしたらオーブは終わるぞ?」
前世の自分の死因を思い出してタイガは顔を顰めた。
「おっしゃる通りですが、現状ではそれを正しく理解している者は少ないかと。なにしろウズミ様の存在が大きすぎますし、ウズミ様が完璧にこなしてくださいますので問題になりようがないかと」
「うむ〜」
タイガとウナトが話し合っているのはウズミの権限移譲である。
極論すればオーブでは代表は議会の提案の実行の許可を出すだけのはずなのだが、ウズミが有能すぎて何にでも口を出し、それがそのまま成功するという事態が起こっていた。
そうなると将来的には1から10まで全てウズミが指示を出す事にもなりかねない。
もちろんそんな国家運営は不可能だし、実行したら冗談抜きでウズミが過労死する未来しか見えない。
「やはり議会にもう少し頑張ってもらうしかないなあ」
「各氏族の主導権争いが激しすぎます。氏族を超えて命じる事が出来るのはやはりウズミ様しかいないかと」
「そうなんだよなあ〜」
議会でも各氏族間の対立は激しく、解決できるのはウズミだけ。
これではウズミの負担が減るはずもなかった。
「せめてウズミ様に対抗できる方がいらっしゃれば」
ウナトは含みのある目でタイガに視線を送る。
「やめておけ、俺に兄上の代わりは務まらない。下手をすれば反対勢力を集める神輿にされてそのまま処分だ」
「ウズミ様がそのような事をするとは思いませんが?」
「兄上個人の問題じゃない。国家としての問題だ。身内だろうが血を分けた弟だろうが国家に対する反逆を許したら国家は成り立たない。その時は兄上は俺に死ねと命じるだろうな」
「まさかそんな」
「個人的感情で国家存続の危機をもたらすわけにはいかない。どれほど大事だろうが、愛していようが、兄上は必要な時には必要な選択ができる人だ。だからこそ『オーブの獅子』と呼ばれているんだ」
そうなったら俺も従うしかないな。
というタイガの言葉にウナトは胸を突かれた。
「……他国へ」
「うん?」
「他国へ亡命して捲土重来を果たすという選択もあるのではありませんか?」
「そして自分が生き残る為にオーブに攻め込み、兄上や兄上に従う者達の血を流せというのか? そんな事は二度と口に出すな!!」
「失礼いたしました」
「まあいい、兄上は優れた為政者だが完璧ではない。少しでも苦労を減らして差し上げねばな」
「全くですな」
ウナトは目の前の若者を凝視する。
まだ二十歳を超えるか超えないか程度の若輩であり、海千山千の首長たちとは経験が違いすぎて渡り合えるはずがない。
しかし、誰よりもオーブを愛し、兄を愛し、命を懸け、この国の行く末を憂慮している事は間違いない。
(ウズミ様が「オーブの獅子」なら、この方は「オーブの虎」だな)
(ウズミ様であればわれらのような俗物は必要とされないであろう、しかしこの方であれば……)
(われらは真に仰ぐべき旗を得たのやもしれん)
「オーブの虎」
それがタイガの異名としてオーブの一部でささやかれるようになる。
――――
「よーし、セイラン家は終わった。次はどこだ?」
「次はサハク家です」
「よし、行くぞ。ただしお前は歩いてだ」
「え?」
「車で楽をしたらダイエットにならないだろう?」
「ま、待ってください! 今の私だったら帰るまでに日が暮れてしまいますよう!」
「そうならないように頑張れ! 家の鍵はあけておいてやる」
「ひ~~~ん!」
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話は政治・制度寄りの内容でしたが、物語全体の流れに必要な部分となります。
独自設定が多いですが、今後の展開の土台として楽しんでいただければ幸いです。
次回お楽しみください。