転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。

お気軽に読んでいただければ幸いです。





第25話 ブルーコスモス

 

 

アズラエルは走り回っていた。

 

「あ〜、もう、なんであんなバカどもの為に僕がこんな事を……」

 

父の秘書となりアズラエル財閥の運営に関わり、父に代わってブルーコスモスに参加した彼が理解した事は

「世の中にはバカが多い」という事だった。

 

「恫喝? 脅迫? 誘拐? 傷害? 殺人?

 自分はブルーコスモスで相手はコーディネーターだから許される?

 バカ言ってんじゃないよ!」

 

アズラエル財閥はブルーコスモスの大口出資者だ。

 

アズラエル財閥が全資金を引き揚げたらブルーコスモスの規模は半分以下にまで縮小されかねない事を考えれば、

ブルーコスモスはアズラエル財閥の意向を無視する事は出来ない。

 

そのはずなのだ。

 

「なんで誘拐や殺人が正当化されるのさ?

 うち(アズラエル財閥)は犯罪者を支援してるわけじゃないんだがねえ?」

 

末端の構成員はそんな事も理解せず、自己正当化のお題目を掲げてコーディネーターへの犯罪行為をやめる事はなかった。

 

(どうせ放っておいても勝手に滅ぶ連中だ。僕らが付き合ってやる必要はない)

 

アズラエルの姿勢は一貫している。

 

しかし多くのブルーコスモスの構成員はそんな事は知らない。

 

唯、目の前のコーディネーターに憎しみをぶつける事しか考えていない。

 

(どうしたもんかねえ……)

 

思案にふけるアズラエルに声がかけられた。

 

「お疲れのようですね盟主」

 

「君か?」

 

アズラエルに声をかけたのはロード・ジブリール。

 

どちらかと言うとコーディネーターに対して寛容的(むやみに殺傷しないという意味で)なアズラエルと、

「コーディネーターを滅ぼすべき!」という信条のロード・ジブリールは対立とまではいかないが、

同じ組織の中でもお互いに不干渉だった。

 

アズラエルがブルーコスモスの盟主なのは、やはり最大のスポンサーという理由が大きい。

 

極端な話、アズラエルがブルーコスモスを脱退すれば、それだけでブルーコスモスは崩壊するのだ。

 

優遇するのは当然だった。

 

ただ本人にしてみれば、次から次へ起こる厄介事を押し付けられているだけだった。

 

「相変わらず盟主はお優しいですな。宇宙のバケモノなど見つけ次第その場で始末してやればよいものを」

 

「生憎だけど僕はそこまで人でなしにはなりたくないのでね」

 

「人? 何を言っているのです? コーディネーターなど人間ではありませんよ?」

 

アズラエルは一応ジブリールにもプラントの公開している資料を提示して

「コーディネーターはいずれ滅ぶ事」を説明したが、ジブリールの答えは簡潔だった。

 

「いずれ? それはどのくらい待てばよろしいのですかな?

 私は『今すぐ』連中を滅ぼしたいのですよ」

 

と取り付く島もなかった。

 

「君の所の連中が勝手に『ブルーコスモス』を名乗って犯した犯罪行為の尻拭いをやっている僕に、

何か言う事はないのかね?」

 

「ありがとうございます、とお礼を述べればよろしいですかな?」

 

薄ら笑いを浮かべてこちらを嘲笑するようなジブリールにため息をつくと、アズラエルは告げた。

 

「ペナルティとして君の所への支援は1か月間停止だ」

 

それを聞いたジブリールは顔色を変えた。

 

「盟主! それはいくらなんでもあんまりです!

 それにあなたにはそんな権限はない!」

 

「忘れたのかい?

 ブルーコスモスの規約に『明らかな犯罪行為はこれを認めない』とあるし、

 それに対する判断は盟主の権限だ。

 支援無しで何かできるならやってみたまえ?」

 

規約はとっくに形骸化していた。

 

しかし規約としては確かに存在している。

 

名目は思想団体、実態はテロ集団。

 

それが今のブルーコスモスだった。

 

しかも現実にはコーディネーターだけでなく、巻き添えでナチュラルにも犠牲者が出ていた。

 

そしてジブリールはコーディネーターに対する大規模な活動を予定しており、

それは近日実行される予定だった。

 

「テロで時代が動くとでも思っているのかい?

 それにこの間も言ったけど、連中にできるのは最後の悪あがきだけだよ」

 

現在宇宙ではZAFTが結成され、地球とプラントでの開戦の機運が高まっている。

 

しかしアズラエルに言わせれば、それはもはや未来の見えた茶番だ。

 

仮にプラントが独立してどうなる?

 

人的資源をナチュラルに頼っているにも拘らず、出生率が加速度的に低下していくプラントで

ナチュラルを見下しながら生きる。

 

それはあまりにも歪であった。

 

開戦前から既に勝敗は見えていた。

 

いや、それはプラントの自滅であって勝敗ですらなかった。

 

プラントはいずれ自滅する。

 

だが、自滅する側が黙って終わる保証はない。

 

だからこそ――先に「出口」を用意する必要がある。

 

その為には利用できるものは何でも利用すべきだろう。

 

例えば目の前で屈辱に震える男であっても。

 

先日タイガと交わした雑談を思い出しながら、アズラエルは口を開いた。

 

「ジブリール。ちょっと提案があるのですが」

 

ジブリールは無意識に背筋を伸ばしていた。

 

それは本能的な警戒だった。

 

アズラエルの口元には、タイガと軽口を叩いていた時には決して見られなかった

嘲笑の笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 





※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。
今回はキャラクターの背景に焦点を当てた回でした。

独自設定が多数ありますが創作上の出来事としてご容赦ください。


次回お楽しみください。
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