転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

39 / 171

※閑話です。

本編の補足・裏側視点となります。

キャラの心情補完や世界観の補強が中心です。

気楽に読んでいただければ幸いです。




閑話8 功績

 

 

「よし、これで大体議論は出尽くしたな」

 

タイガは「ウズミ・ナラ・アスハ国家元首就任計画素案」と書かれた資料をまとめながら言った。

 

「はーい……」

「それで……お願いし……」

「もう……むり……」

「zzzzz……」

 

「あなた達! もっとしゃんとしなさい!」

 

机に突っ伏す少女達に向かってアリサが声を荒げる。

 

「まあ、もう少し休ませてやれ。こっちも資料をまとめるのにかなり無理させたからな」

 

実際、少女達の力はかなりのものだった。

 

ある程度の知識はあっても専門家には及ばないタイガのために、少女達は

古今東西の憲法や法体系を洗い出し、

それをオーブに適用可能な形に再構成し、

ウズミを国家元首として推戴できる具体的方法にまで落とし込んで作成してみせたのだ。

 

タイガ一人では到底辿り着けない地点まで、彼女達は素案を完成させていた。

 

まさにオーブの新しい時代を作ったと言っても良い。

 

少女達の働きに感心したタイガは、素案の表紙に自分の名前を書いた後、少女達の名前を書こうとした。

 

素案そのものは清書されて表には出てこないだろう。

 

ならば真実を知る者に対してだけは、彼女達の功績を伝えておくべきだと思ったのだ。

 

なにしろ、この歴史的偉業は自分一人では成し遂げられなかったのだから。

 

タイガが少女達の名前を書くためにペンを走らせようとした時、アリサがその手をそっと抑えた。

 

「アリサ?」

 

「いけません、タイガ様」

 

「なぜだ?」

 

「私どもの功績はタイガ様の功績です。

 従者がタイガ様の功績を横取りするような事があってはならないのです」

 

「俺一人では何もできなかった。お前たちがいてくれたおかげだ」

 

「それは当然です。

 私どもの役目はタイガ様をお助けする事です。

 タイガ様をお助けする事は当たり前の事であって、功績でも何でもありません」

 

“私達を、当たり前の事を誇るような恥知らずにしないでください”

とアリサは続けた。

 

「お前たちの功績を俺の功績として誇れというのか?」

 

「はい。それが私どもの主人の務めです」

 

「それでは俺が全部一人でやったみたいじゃないか?」

 

「世間ではそれが事実です」

 

“私どもの望みも同じです” とアリサは答えた。

 

タイガは苦笑すると、

 

「全く、お前達は余計なものまで俺に背負わせてくれるな」

 

「私どもの功績はタイガ様の功績」

 

「あきらめてお受け入れください」

 

アリサは柔らかく微笑んだ。

 

---

 

ウズミ・ナラ・アスハが正式に国家元首となったのは、それから数日後だった。

 

血も炎も必要とせず、「新たな国家が生まれた瞬間」だった。

 

その陰にある少女達の尽力があった事は、一部の者にしか知られていない。






※あとがきです。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回は本編の背景に焦点を当てた閑話でした。

本編では描ききれない部分を補完する意図で書いています。

次回お楽しみください。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。