転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※閑話(息抜き回)です。

本編の緊張をほぐす軽めの内容となっています。

いや〜、女の子の一途な想いは尊いですね〜。

キャラ崩壊気味の描写があるかもしれませんが、雰囲気としてお楽しみください。





閑話10 肉食獣

 

 

これはタイガがオーブに帰ってきた直後の事。

広い敷地内のあちこちを、クレーン車やパワーショベルなどの大型重機が動き回っていた。

 

「この扉を閉めれば、この通路はここで行き止まりね」

 

「ええ、これで直接タイガ様のお部屋にはたどり着けません」

 

「この通路の先には待機部屋を設置しておきましょう。私どもの誰かが常に待機できるように」

 

「逆にここを解放すれば、タイガ様は外に逃げられるわ」

 

「まずは外部から攻め込まれても大丈夫なようにしないと。最悪は逃走、次は籠城、次善は撃退、理想は何も起こらない事ね」

 

「内通の可能性もあるでしょう? 本人の意図に関係なく何か仕組まれる可能性もあるわ」

 

「それなら私達がお互いに監視してチェックすれば良いわ」

 

「何があろうとタイガ様が最優先。それは変わらないわ」

 

「もちろんよ」

 

「もちろんです」

 

タイガの屋敷は、既に少女達――タイガの郎党によって完璧に把握されていた。

 

「逃走用の地下通路も完成したし」

 

「あと地上部分を偽装すれば大丈夫ね」

 

「ああ、それと一つ問題が」

 

「問題?」

 

「タイガ様に何かあったっけ?」

 

「タイガ様ではなくカルア様の事で」

 

ああ、と少女達は納得の声を上げた。

 

「こればっかりはねえ」

 

「ご本人に頑張ってもらわないと」

 

「そうよねえ」

 

カルアは歩いていた。

 

「ひい、ひい」

 

無駄に広い屋敷の中を歩いていた。

 

「主〜、歩く歩道を付けましょうよ!」

 

「馬鹿抜かせ! そんなものが必要なのはお前だけだ!」

 

確かにタイガに与えられた屋敷は広いと言えば広い。

普通の成人男女ならば移動に不自由はない。

ただし、市販の体重計が使用できない大きさになったカルアには、移動するだけで一苦労だ。

 

「鬼〜〜〜!」

 

「お〜、そうかそうか、お前はそれほどダイエットしたいのか?」

 

「え?」

 

「喜べカルア。お前のダイエットしたいという意欲に答えて、明日から毎日おにぎり一個だけだ!」

 

「主〜〜〜〜〜〜〜!」

 

 

「どうなんでしょうアレ?」

 

「まあ、放っておいて大丈夫でしょ。じゃれてるようなものですし」

 

「そうですよねえ?」

 

タイガの侍従に復帰したカルアであったが、もはや自分の足では主についていく事が出来ず、アリサ達にその座を譲っていた。

しかしアリサの

「ご自分の足でタイガ様についていけるようになれば、すぐお替りしますよ?」

という言葉に奮起し、絶賛ダイエット中であった。

 

「う、う、う〜〜〜」

 

「まあ、頑張る事だな」

 

自分の部屋に戻るだけでダウンしたカルアを放置して、タイガは隣の自分の部屋に戻った。

 

「zzz……」

 

「まあ、こんな事だろうとは思ったが」

 

部屋に辿りついたカルアは、服も着替えずにベッドに倒れ込んでいた。

 

「しょうがない奴だ」

 

タイガはカルアの服を着替えさせようと、ゆっくりと脱がし始めた。

そしてカルアが3Lサイズの下着姿になった時、ぱちりと目を開いた。

 

「え?」

 

「主! こんな姿になったのに、まだ私を求めて下さるのですね?」

 

「い、いや? 違うぞ? そうじゃなくてだな?」

 

「嬉しいです! 主〜〜〜!」

 

「ちょっと待て〜〜〜!」

 

かくて最初の頃と同じように、カルアに押し倒されるタイガであった。

 

チ〜〜〜ン!!

合掌!

 

その後、満足な笑みを浮かべて眠るカルアと、その横でシクシクと涙を流すタイガの姿があった。

 

(なんでこんな事になるんだ〜〜〜!)

 

タイガの心の叫びは当然だが、現実には何も反映されなかった。

 

(あの時もいきなりだったし、今回も……。アレッ、もしかして俺って押しに弱いのか?)

 

今更事実に気付く、手遅れなタイガであった。

 

(全くこいつはこいつで……)

 

「エヘヘ〜、主〜〜〜zzz」

 

自分の名を呼びながら幸せそうに眠るカルアの寝顔を見ていると、細かい事はどうでも良くなり、そのまま抱き寄せた。

 

(うん? カルアの奴フカフカして気持ちがいいな)

 

そう思いながら、睡魔に身を任せるタイガであった。

 

この後カルアは完全記憶が復活する条件が判明し、ダイエットに成功するもすぐにリバウンドする事になる。

その結果、カルアは何度もダイエットとリバウンドを繰り返す事になる。

 

 

 

「いい、この通路とこの通路はここに繋がっているわ。

カルア様の所から逃げ出したタイガ様が通るのはここ。

カルア様が追いかけてくるのはここ。

ここでタイガ様にお隠れいただいて、カルア様に『タイガ様は来ていません』と言えば、

カルア様の行き先はここになるわ。

ここを確認してカルア様がお戻りになる時は、もう疲れ切ってお眠りになられるだけよ。

つまり朝までタイガ様と二人っきり」

 

ゴクリ、と周囲の少女たちが喉を鳴らす。

 

「何度も繰り返したらカルア様にばれるから、何度かタイガ様には捕まっていただくわ。

それと別に通路の先の待機部屋、あそこも軽食やお酒を用意して使えるようにしておいてね」

 

少女たちは頷く。

 

「タイガ様にお隠れいただいてる時に『まだ外にカルア様がいらっしゃいます』とお伝えすれば、

タイガ様は部屋の外へは出ようとはされないわ」

「あとはゆっくりタイガ様に朝までお休みいただくだけよ。

まあ、タイガ様は押しに弱いし、お酒が入った状態で若い男女が朝まで一緒だったらねえ?」

 

ニヤリ、と少女達は笑った。

 

それはどう見ても獲物を前にした肉食獣の笑みだった。

 

この後、タイガが少女達に悉く捕食されたのは言うまでもない。

 

再度

 

合掌!

 

 






※あとがきです。

読了ありがとうございます。

今回は完全に息抜き回でした。


いや〜、女の子の一途な想いは尊いですね〜。(目逸らし)


本編の合間の小休止として楽しんでいただければ幸いです。


次回お楽しみください。
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