転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。

お気軽に読んでいただければ幸いです。





第34話 懐妊

 

 

 

タイガは早速アズラエルに連絡を取った。

戦術的な手段としてプラントがMSを量産しようとしている事。

戦略的な手段としてNJを散布しようとしている事。

それを聞いたアズラエルも、さすがに絶句していた。

 

「NJ? それが地球に落とされたらどれくらいの被害が出るんだい?」

 

「不明だ。少なくとも発電所は止まり、流通も止まり、情報も止まる。

下手をしたら億単位の犠牲者が出る。戦争とは無関係な民間人を相手にな。

そしてそれはナチュラルとコーディネーターを区別しない」

 

「地球のコーディネーターが、被害を受けたナチュラルから迫害されるのが目に浮かぶね」

 

「迫害ですめば良いがな。何しろほとんどのナチュラルは戦争とは無縁なんだ。

それなのに“ナチュラルだ”という理由だけで身内が失われれば、

身近なコーディネーターを復讐の対象にしかねない」

 

「お前の所の連中が増産されるわけだ」と続けるタイガに、

「やめなよ。不謹慎だよ」

と返すアズラエル。

「すまん」と頭を下げるタイガだった。

コーディネーターを排斥しようとするブルーコスモスの盟主が、

コーディネーターと共生するオーブの末弟を諫めるという不思議な構図だった。

 

「しかしどうしたものかねえ?」

 

アズラエルの呟きに、タイガは答える。

 

「NJを散布させないのが一番だがおそらく不可能だ。MSを用意し、NJを生産し、

連中はもうその増産準備に入っているだろう。

独立の為に用意した手段を使用しない選択肢はない」

 

「そうだよねえ」

「連中は数千、下手をしたら万単位のNJを散布してくる。それらを全て迎撃するのは不可能だ」

 

「もう、いっその事、戦争なんかしないで独立させたらどうだい? それなら被害も出ないだろう?」

 

「理事国がそれを認めるかな?」

 

「そうだよねえ? 自分達が大量の資金を費やして作った工場を“俺のだからよこせ!”なんて言われて手放すはずがないよねえ?」

 

「しかも実際に被害が出たわけじゃない。これはあくまでも推測だ」

 

「でも、放っておけば大勢の人が死ぬ」

 

「そう、戦争とは無関係な民間人が。ナチュラルもコーディネーターも区別せずにな」

 

「いっその事プラントにまとめて核でも打ち込みたくなってきたよ」

 

「正気か?」

 

「少なくともそれで死ぬのはプラントの連中だけだよ。数億人が死ぬかもしれないのに、それが数千万のプラントの犠牲で収まるのなら上等じゃないか?

僕が大量虐殺者の汚名をかぶれば数億人が死ぬ事はないんだよ?」

 

合理的じゃないかと話すアズラエルに、タイガは返す。

 

「親友にそんな事させられるか」

 

だが、その口からは続けて、

「……お前が犠牲になるのでなければ思わず誘惑にかられるな」

と、普段の彼からは信じられない言葉が飛び出した。

 

自分の言葉を否定するどころか同意しそうな親友の言葉に、アズラエルは思わずタイガを見直した。

 

「どうしたんだい? 君らしくない?」

 

「……あ〜、実はこの間子供が出来たってわかってなあ」

 

「え~~~!! なんで教えてくれなかったのさ!! 盛大にお祝いしたのに!!」

 

「ついこの間分かってなあ。生まれるのはまだ先だ」

 

「へ〜、お相手はあのいつもそばにいる大きな女の人?」

 

“太った女”と口にしないだけの分別がアズラエルにもあった。

ちなみにアズラエルはその「大きな女の人」がカルアだとは気付いていなかった。

何しろオーブ首長家の三男とブルーコスモスの盟主の関係を表だって公表する必要もない上に、

この回線はタイガとの個人的な秘匿回線なので他人が介在する事がない。

アズラエルはカルアが今でもタイガの傍にいる事は知っていたが、それがタイガの横でよく見かける太った女だという事には気付いていなかった。

 

何しろアリサでさえ以前のカルアと共通している点は「目の色と髪の色と指紋」

しか挙げる事が出来なかったのだ。

 

数年前に数日しか一緒にいなかった、しかし強烈なインパクトを与えた相手と、

タイガの傍にいる太った女が同一人物だと気付けというのは、

あまりにも脳裏に焼き付いたイメージが違いすぎて無理だろう。

 

「ああ」とタイガは口にし、

「俺の子が生まれて育っていく頃にはプラントの独立戦争は始まっているだろう。

その子が連中の妄想の為に傷ついたり死んだりしたらと思うとやりきれなくてなあ」

 

「君って意外と親バカだったんだねえ?」

 

「自分でも意外だ」

 

タイガは苦笑しながら続ける。

 

「だが俺の気持ちはほとんどのナチュラルの気持ちと同じだろう。

自分達と無関係なところで、

連中の無意味な傲慢さの為に、

自分の大切な人が傷つけられたり、

死んだりするなんてやり切れん。

しかも連中の独立にもプラントの未来にも意味がないと理解していればな」

 

「それはそうだよねえ」

 

アズラエルは頷き、言葉を続けた。

 

「被害が出るのは避けられない。ならその被害をどうやって抑えるかという事だね」

 

「そういう事だ」

 

「要するに地球のコーディネーターを安全な場所に隔離、というか移動する事が出来れば良いんだよねえ?」

 

「そうだな。NJが撃ち込まれればどうあっても被害は避けられない。それにナチュラルもコーディネーターも関係ない。その後のお互いのトラブルをどうやって防ぐかだな」

 

「なら、こういうのはどうだい?」

 

アズラエルは、昔タイガに向けていたのと同じ悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 






※あとがきです。

読了ありがとうございます。

内容は全て本作における創作ですので原作との差異がありましても、
なにとぞご容赦ください。


次回お楽しみください。


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