転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。

お気軽に読んでいただければ幸いです。





第35話 邂逅

 

 

「押さないでください! 押さないでください!」

 

「ここはオーブです! 安全です! 皆さんを傷つける者はいません!」

 

ここはオーブの国際港。

港から到着した船からは、世界各地のコーディネーターが続々と降りて行った。

彼らは世界各地で迫害されていたコーディネーターであった。

彼らはコーディネーターとはいえ地球生まれであり、

プラントとは縁もゆかりもないのに「コーディネーターである」というだけで様々な迫害を受けていたのだ。

 

「もう生まれ育った地球を捨ててプラントへ移住するしかない」

 

そう思い詰めていたところ、オーブより「コーディネーターの移民受け入れ」の発表がなされた。

オーブは地球でコーディネーターを受け入れている数少ない国だ。

それが改めてコーディネーターの受け入れを表明した。

それを知ったコーディネーター達は「プラントに行くよりは」とオーブへの移民を決断した。

 

男は家族を連れてオーブに来た。

妻と息子と娘。

何の変哲もない家族連れだった。

 

入国管理官は嫌な男だった。

 

「入国の理由は? 職業は? 年齢は?……」

 

男は丁寧に答えていたが、明らかに必要とは思われない質問まで繰り返してくる。

最後に管理官の男は吐き捨てるように呟いた。

 

「ッチ、これだからコーディネーターってやつは」

 

その言葉と、後から来た男がナチュラルというだけで簡単に通過していく様子を見て、

「ああ、この国でもやっぱりこうなのか」

と男は深い絶望を覚えた。

 

「あっ!」

 

やっと入国審査を終えてぐったりしていると、

息子が手持ち無沙汰に遊んでいたボールが手を離れ、

遠くへ転がって行った。

ボールは一人の男の足元に転がって行った。

子供がボールに手を伸ばそうとすると、ほっそりした女性の足がボールを踏みつけた。

 

「確認! 確保!」

 

鋭い声とともに、子供はそのまま床に組み伏せられた。

 

男は辟易していた。

男の後に入国審査を通過したナチュラルの男が絡んできたのだ。

 

「ここはオーブだ! コーディネーターどもは出ていけ!」

 

明らかに酔っぱらった呂律の回らない声でまくし立てていた。

周囲の者はほとんどが入国したばかりのコーディネーターだったが、

酔った男はそんな事も気にせず騒ぎ続けた。

 

その時、「確認! 確保!」という鋭い女性の声が周囲に響き渡った。

声のする方を見ると、息子が女性に組み伏せられていた。

 

「ま、待ってください! その子は私の息子です! 息子が何か?」

 

周囲を警戒していた別の女性が、足元のボールを指差しながら言った。

 

「唯の確認です。問題なければ解放します。それまでお待ちください」

 

丁寧な言葉とは裏腹に、その目は冷たい光を浮かべて男を見つめていた。

 

「何するんだよ! 離せ〜!」

 

息子は暴れていたが、その程度で女の拘束から逃れる事は出来なかった。

 

「おい、放してやれ」

 

「は、しかし?」

 

「放してやれ。別にテロでもなかったんだろう?」

 

女達の後ろにいる黒髪の男から言われ、女は子供を解放した。

 

「なんだよ! あんたは!」

 

「すまないな。彼女達は俺の護衛だ。

ちょっと気が立っていたんだ、許してやってくれ」

 

子供の怒った声に、黒髪の男は苦笑しながら謝った。

 

「おにいちゃん?」

 

子供の様子を心配したのか、妻と娘まで男の所へやってきた。

 

「妹か?」

 

「そうだよ!」

 

「兄だったら妹を守ってやらないとな? それが兄の役目だぞ」

 

「そんなの当たり前だ!」

 

そう言い返して、子供は家族の元に戻って行った。

 

「お、おいあの方はもしかして?」

 

「なんでこんなところに?」

 

周囲の者達がざわめき始める。

その時、酔っぱらっていた男が突然、

「コーディネーターはくたばれ〜!」

と叫び、懐から手榴弾のようなものを取り出し黒髪の男へ投げ付けようとした。

家族の所に戻っていた子供はとっさに周囲を見た。

一番近くにいるのは自分だ。

今ならまだ間に合う!

そう判断した子供は、今にも手榴弾を投げようとしていた男の足元に飛び込んだ。

 

「おっ!」

 

バランスを崩した男の手から手榴弾が離れる。

 

「どきなさい!」

 

男の傍にいた護衛の女が手榴弾をひっつかむと、

近くのダストボックスの中に放り込み蓋を閉めた。

直後、爆発音が響き、周囲には静寂が戻った。

 

「タイガ様、ご無事ですか!」

 

手榴弾を投げた男を拘束した別の女が、主の無事を確認する。

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「ああ、やっぱり」

 

「タイガ様だ」

 

周囲にざわざわとざわめきが広がっていく。

 

「タイガ様、こちらへ」

 

護衛の女に促されて足を進めていたタイガだったが、

ふと足を止めて子供の前に屈みこんだ。

 

「坊主。よく妹を守ったな。それでこそお兄ちゃんだ」

 

そう言ってタイガは子供の頭をグリグリと撫でまわした。

 

「へっ、当たり前だい!」

 

子供は得意げに笑った。

 

「タイガ様」

 

「ああ、今行く」

 

そう言ってタイガはその場を離れた。

 

息子が黒髪の男に頭を撫でられているのを見て、男は混乱していた。

黒髪の男はどうやら身分の高い方らしい。

そう思っていると、護衛の女が小さなメモを渡した。

 

「タイガ様の危険を救っていただきありがとうございます。

つきましてはこちらにご連絡していただければ、

お仕事についてお話しできるかと思います。それでは」

 

そう言って女は去って行った。

その後、周囲の者達から

 

「あんたの息子は大したものだ!」

 

「タイガ様を助けていただいてありがとう!」

 

「よくやってくれた!」

 

と次々に称賛の言葉を浴びせられた。

男は困惑していたが、

「オーブもそんなに悪いところではなさそうだ」

と考えを新たにした。

そして荷物を抱えなおすと、息子に声をかけた。

 

「シン! 行くぞ!」

 

記録にも、記憶にも残らない邂逅であった。

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

原作キャラの登場でした。

シンの登場は物語にどのような影響を与えるのか?

彼には原作通りの運命が待ち構えているのか?

次回お楽しみください。

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