転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。

今回は閑話です。
第35話の裏側の話になります。
お気軽に読んでいただければ幸いです。





閑話11 名目

 

 

「それで? どういう事かしら?」

 

美しい女の冷たい視線にさらされながら、入国管理官の男は身を縮こませていた。

隣では男の上司が真っ青な顔で震えている。

自分が碌にチェックもしなかった男がテロ行為を行おうとしたのだ。

いや、被害が出なかっただけで実際に起きたのだ。

しかも偶然とはいえ狙われたのは、このオーブを代表するアスハ家の三男、タイガ・ウラ・アスハなのだ。

この場で殺されても文句は言えなかった。

 

「同僚の証言も取れました。コーディネーターというだけでネチネチと細かいところまで追求し、逆にナチュラルには寛容だと」

 

「へえ? 面白いわね? それでタイガ様を危険に晒したの? 覚悟はできているでしょうね?」

 

タイガの護衛として同行していたアリサは、凄みのある声を出した。

男は一言も言い返せなかった。

 

「まあ、待てアリサ」

 

ペットボトルの水を飲んでいたタイガはアリサに声をかける。

 

「タイガ様! しかし!」

 

「まあ待て。この男にはまだ聞かなければならない事がある」

 

「男とは面識があるのか?」

 

ありません

 

「なぜナチュラルを優遇する?」

 

優遇ではなく、ナチュラルは身分証が偽造されている割合が少ないのです。

コーディネーターは偽造されている事が多いので、細かいところを突っつけばボロを出す事が多いのです

 

「あの男が持っている手榴弾をなぜ見逃した?」

 

見逃していません!

ちゃんとひと通りチェックは行いましたが、不審な点はありませんでした!

 

「そうか」

 

「一度チェック体制を再確認だ。次が無いようにな」

 

そのタイガの言葉により、港のチェック体制が見直され、いくつかの不備が発見された。

 

男がテロへの協力者ではない、かという疑いは晴れたが、タイガへのテロを防止できなかった事は間違いない。

自分はこれで終わりだと暗い気持ちの男に、タイガは言葉を掛けた。

 

「これでどの視点でチェックすれば良いのか確認できただろう?

次はこのような事が無いように頼むぞ」

 

私はテロを防げなかったのですが?

 

「この場合は不可抗力だ。それを責めるつもりはない。

しかしもう不備は判明しているんだ。二度目はない。

君が率先して改善しろ。いいな?」

 

そう言ってタイガは「捨てておいてくれ」と言って、空になったペットボトルを男に押し付けてその場を後にした。

 

男は号泣した。

自分は仕事を全うできなかったのに、タイガ様はそれでもチャンスを与えてくれた!

仕事に邁進する事で、このご恩はお返しせねば!

こうして男は入国管理の仕組みを徹底的に見直し、効率と安全性をさらに高めたシステムを作り上げた。

男の机の引き出しには、この時のペットボトルがいつまでも仕舞われていた。

 

「タイガ様? あの処分は軽すぎるのでは?」

 

「いや、あれでいい。あれであの男は入国管理の仕事を徹底するだろう。

失敗を経験しているのだから、その経験を生かせるはずだ」

 

もし同じような失敗を続けるならその時は終わりだ。

という主の言葉に女たちは納得した。

 

「しかしタイガ様。私どもであれば、あの子供が飛び出す前にあの程度取り押さえていましたが?」

 

「男の子の勇気は尊重してやらないといけないだろう?」

 

「それで主の身を危険に晒すのはやめてほしいのですが?」

 

「まあ、努力する」

 

「努力ではなく断言していただきたいのですが?」

 

アリサの言葉に適当に返事をしながら、タイガは港の中を歩き回る。

 

「ふ〜ん? 結構整備されてきたなあ?」

 

「オーブに外部から侵入しようとするなら空か海です。テロを起こすなら最適の場所です。

ダストボックスも対爆設備に変更していますし、監視カメラも設置しています。

今回の改善でこれらも十分なものになるでしょう」

 

「ふ〜ん? で、あれは?」

 

「あそこです」

 

そう言ってアリサはコンテナの一角を指差した。

 

「おお、あれか?」

 

タイガはコンテナに駆け寄って開けると、中には子供用のおもちゃが山のように積み込まれていた。

 

「おお、我が子よ! 今お父さんが持って行ってあげるからね!」

 

「一刻も早く子供さんに渡したいからって、わざわざ自分で取りに来なくても……」

 

「まだ生まれもいないのに」

 

「名目は港のセキュリティチェックですからね。あまり文句も言えませんし……」

 

「まあ、私達の時も同じようになるんじゃない?」

 

女達の呆れた声も耳に入らず、タイガは大声で叫んだ。

 

「我が子よ! お父さんが今行くからね!」

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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