転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※閑話です。

本話はキャラクターの背景や過去に焦点を当てた内容となります。
独自解釈が強めですが、人物像を深めるための補足回としてお楽しみください。





閑話12 言葉

 

 

タイガはジオンを全面的にバックアップした。

もちろん隠れてではあるが。

 

ジオンは世界中で講演を行い、どこでも熱狂的に受け入れられた。

一方で、コーディネーターによる暗殺未遂は日常茶飯事だった。

爆破予告、狙撃未遂、毒物混入。

護衛が常態化し、会場の裏口しか使えなくなったのは、いつからだったか。

ある意味、ジオンは「第2のジョージ・グレン」と言えた。

 

「ニュータイプ論」の名は、もはや思想ではなく現象だった。

 

 

本人はこの状況に戸惑いつつも、大変満足していた。

数年前は名前すら知られていなかった自分が、今では世界的な熱狂をもって迎えられている。

もはや地球圏で自分の名前を知らない者などいないだろう。

 

ここまでの過程を振り返りながら、スポンサーとなってくれた大学の理事から

“ある人物”を紹介された時のことを思い出す。

 

その人物は、自分が最初に「ニュータイプ論」を発表した時から注目していたという。

強い依頼を受けて自分を招聘したのだと理事は語った。

 

「正直半信半疑だったが、あの方の慧眼は恐ろしいものだ」と苦笑する理事の姿に、

ジオンは当時の自分を思い出し、曖昧な笑いを返すしかなかった。

 

---

 

やがて理事が本題を切り出す。

 

「その君を最初から見出していた方が、君に会いたいと言っている。

 もちろん非公式だし、その方も多忙なので“聴講生”という形になる。

 くれぐれも失礼のないように。日時はこれだ」

 

日付を受け取ったジオンは苦笑した。

 

「おいおい、1分刻みでまるで余裕がないじゃないか?」

 

理事は言う。

 

「それは君も同じだろう?」

 

お互い多忙な中で、唯一言葉を交わせる時間がそこしかなかった。

 

「まあ、私の願望をかなえてくれた恩人だからな。失礼な事はしないよ」

 

理事は「そう願っているよ」と軽く返した。

 

---

 

面会は順調に進んだ。

 

面会と言っても、大勢の護衛と聴講生の中に

地味な見た目の、しかしどこか人目を惹く人物が座っているだけだ。

 

タイガ・ウラ・アスハ。

現オーブの最高権力者である。

 

講義が終わると、聴講生たちは次々に席を立っていった。

残って質問したそうな学生たちも、護衛に促されて出て行った。

 

護衛以外誰もいなくなった講堂で、タイガは口を開く。

 

「ジオン・ズム・ダイクン。

 あなたのおかげで地球から“コーディネーター優生主義”という妄想を駆除する事が出来る。

 本当にありがとう。あなたに、あなたの書物に出会えてよかった」

 

ジオンの受けた衝撃は大きかった。

 

そんな上等なものではない。

自分はただ、誰かに認めてもらいたかっただけだ。

あなたはその機会を与えてくれた。

礼を言うのはこちらの方だ。

 

そう口にしようとした瞬間、タイガは続けた。

 

「あなたがどんな意図であの説を書いたのであっても、

 どのような目的があったにせよ、

 あなたの言葉に救われた者が存在する事は間違いない。

 本当にありがとう。今日はそれを言いたかった」

 

そう言って、タイガは席を立った。

 

---

 

ジオンの内面には激しい衝動が荒れ狂っていた。

 

他人への承認欲求。

歴史が長いだけの家。

愛のない家庭。

安らぎを与えてくれた愛人。

それに報いる事が出来た安堵。

 

それらすべてを、この人物が与えてくれた。

 

そう思った時、ジオンはその背に向かって

か細く、嗚咽まじりに言う事しかできなかった。

 

「私の方こそ……本当にありがとう」

 

---

 

後のジオンは、タイガの全面的な賛同者となる。

その時には既にジオンの言葉は影響力が大きすぎたため、

支援は陰ながらに限定されていたが、

その姿勢は終生変わらなかった。

 

 

 






※あとがきです。

読了ありがとうございます。
今回はキャラクターの背景に焦点を当てた閑話でした。
本編では描ききれない部分を補完する意図で書いています。

ジオンの変化はCEにどのような影響を与えるのか。

次回お楽しみください。

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