転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※閑話です。
本話はキャラクターの背景や過去に焦点を当てた内容となります。
独自解釈が強めですが、人物像を深めるための補足回としてお楽しみください。
タイガはジオンを全面的にバックアップした。
もちろん隠れてではあるが。
ジオンは世界中で講演を行い、どこでも熱狂的に受け入れられた。
一方で、コーディネーターによる暗殺未遂は日常茶飯事だった。
爆破予告、狙撃未遂、毒物混入。
護衛が常態化し、会場の裏口しか使えなくなったのは、いつからだったか。
ある意味、ジオンは「第2のジョージ・グレン」と言えた。
「ニュータイプ論」の名は、もはや思想ではなく現象だった。
本人はこの状況に戸惑いつつも、大変満足していた。
数年前は名前すら知られていなかった自分が、今では世界的な熱狂をもって迎えられている。
もはや地球圏で自分の名前を知らない者などいないだろう。
ここまでの過程を振り返りながら、スポンサーとなってくれた大学の理事から
“ある人物”を紹介された時のことを思い出す。
その人物は、自分が最初に「ニュータイプ論」を発表した時から注目していたという。
強い依頼を受けて自分を招聘したのだと理事は語った。
「正直半信半疑だったが、あの方の慧眼は恐ろしいものだ」と苦笑する理事の姿に、
ジオンは当時の自分を思い出し、曖昧な笑いを返すしかなかった。
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やがて理事が本題を切り出す。
「その君を最初から見出していた方が、君に会いたいと言っている。
もちろん非公式だし、その方も多忙なので“聴講生”という形になる。
くれぐれも失礼のないように。日時はこれだ」
日付を受け取ったジオンは苦笑した。
「おいおい、1分刻みでまるで余裕がないじゃないか?」
理事は言う。
「それは君も同じだろう?」
お互い多忙な中で、唯一言葉を交わせる時間がそこしかなかった。
「まあ、私の願望をかなえてくれた恩人だからな。失礼な事はしないよ」
理事は「そう願っているよ」と軽く返した。
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面会は順調に進んだ。
面会と言っても、大勢の護衛と聴講生の中に
地味な見た目の、しかしどこか人目を惹く人物が座っているだけだ。
タイガ・ウラ・アスハ。
現オーブの最高権力者である。
講義が終わると、聴講生たちは次々に席を立っていった。
残って質問したそうな学生たちも、護衛に促されて出て行った。
護衛以外誰もいなくなった講堂で、タイガは口を開く。
「ジオン・ズム・ダイクン。
あなたのおかげで地球から“コーディネーター優生主義”という妄想を駆除する事が出来る。
本当にありがとう。あなたに、あなたの書物に出会えてよかった」
ジオンの受けた衝撃は大きかった。
そんな上等なものではない。
自分はただ、誰かに認めてもらいたかっただけだ。
あなたはその機会を与えてくれた。
礼を言うのはこちらの方だ。
そう口にしようとした瞬間、タイガは続けた。
「あなたがどんな意図であの説を書いたのであっても、
どのような目的があったにせよ、
あなたの言葉に救われた者が存在する事は間違いない。
本当にありがとう。今日はそれを言いたかった」
そう言って、タイガは席を立った。
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ジオンの内面には激しい衝動が荒れ狂っていた。
他人への承認欲求。
歴史が長いだけの家。
愛のない家庭。
安らぎを与えてくれた愛人。
それに報いる事が出来た安堵。
それらすべてを、この人物が与えてくれた。
そう思った時、ジオンはその背に向かって
か細く、嗚咽まじりに言う事しかできなかった。
「私の方こそ……本当にありがとう」
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後のジオンは、タイガの全面的な賛同者となる。
その時には既にジオンの言葉は影響力が大きすぎたため、
支援は陰ながらに限定されていたが、
その姿勢は終生変わらなかった。
※あとがきです。
読了ありがとうございます。
今回はキャラクターの背景に焦点を当てた閑話でした。
本編では描ききれない部分を補完する意図で書いています。
ジオンの変化はCEにどのような影響を与えるのか。
次回お楽しみください。