転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
特に原作にない一部キャラの改変を含みます。
「彼」の再登場と、本来の意味での「主人公」の登場です。
気軽に読んでいただければ幸いです






第44話 ガンダム

 

 

オーブでは着々とMSの準備が進んでいた。

 

「そ〜れ〜!」

 

「うっ!」

 

教導隊のMSはプロトタイプのアストレイに変更され、連日模擬戦を繰り返していた。

 

「あ〜、あ〜アムロの奴また負けちまったなあ」

 

「まあ、今のあいつはテストパイロットみたいなもんだ。負けるのも仕事さ」

 

アムロはOS改善案が認められ、新型MSの受領とテストを任されていた。

 

「ははは、今日はいい所まで行ったがまだまだだな。もう少し頑張るんだな?」

 

「は、はい、ありがとうございました」

 

ふらふらと宿舎へ戻るアムロ。

彼を見送った教導隊の隊員が隊長に尋ねた。

 

「で? 隊長、今日はどうだったんです?」

 

「もう少しでやられるところだった。足元のバランスが崩れたので発砲が遅れたが、

あれが無ければこちらがやられていただろうな」

 

「いや〜凄いですね! もうそんなところまで行くなんて!」

 

「あとは体力さえ付けば正規パイロットとして申し分ない」

 

「これは俺達もうかうかしていられませんね」

 

「そうだな。初期OSなら条件は同じだ。後は蓄積データの差だ。

現状では俺達もあいつも差はほとんどない。

早く俺達を超えてもらいたいものだ」

 

教導隊は本気でアムロの成長を望んでいた。

 

しかし当のアムロは連敗続きで余裕がなかった。

 

「う、う、う、どうして勝てないんだろう……」

 

(機体もOSも出来たばかりで差はない。なら純粋に腕の問題。

コーディネーターの隊長に勝てないのは当然……でも悔しい!)

(動作を見てから入力では遅い。なら予測して入力……? いや、今は何でもやってみよう!)

 

しかしアムロは翌日も負けた。

 

食堂で暗い顔のまま食事をつつくアムロ。

 

(どうして隊長に勝てないんだろう?もしかして僕にはパイロットの才能なんかないんじゃないか?)

 

アムロはタイガが聞いたら「謝れ!世界中の、いや全宇宙のパイロットという存在に謝れ!」と叫び出しそうな事を考えていた。

 

「邪魔するぞ」

 

「あ、隊長」

 

隊長が向かいに座った。

 

「どうした? だいぶ落ち込んでいるじゃないか?」

 

「……いえ。隊長! どうやったら隊長に勝てますか!」

 

あまりに直球の質問に隊長は大笑いした。

 

「おいおい、それを本人に聞くのか?」

 

「あ、そ、そうですね……すみません」

 

顔を赤くして俯くアムロ。

 

「まあ俺が言えるのは、難しく考えすぎるなって事だ」

 

「難しく……ですか?」

 

「お前、操縦中いつも次の動作、その次の動作……と考えているだろう?」

 

「はい……」

 

「それが悪いとは言わない。

しかし実戦では想定と同じ事が起きるとは限らない。

いや同じ事が起きる方が稀だ。

だから“その場その場で最善を選ぶ”しかない」

 

「それは……」

 

「ただ目の前の最善だけを選ぶと沼地に追い込まれて終わり、なんて事もある。

だから視点を広く持ち、戦場全体を見渡して“全体の最善”を選び続けるんだ。

そうすれば俺にも勝てる」

 

隊長はニコリと笑った。

 

「……先は長そうですね」

 

「いや、お前ならすぐできるさ。そうなる事を待っているぞ」

 

「隊長……!」

 

今まで負け続けてどこか苦手意識を持っていた隊長からの温かい言葉にアムロは胸を熱くした。

 

「明日からまた訓練だ。遅れるなよ?」

 

「はいっ!!」

 

 

その夜、アムロは隊長の言葉を反芻していた。

 

「戦場全体を見渡しての最善の選択……」

 

(どうやったら……)

 

考え続け、やがて諦めてベッドに座りこんだ。

ふと窓を見ると月の光が差し込んでいた。

 

(月かあ、……月の光は戦場どころかもっと広い所まで届いているんだもんなあ。

僕が月の光だったらどこまでも届くのに)

 

そう思ってしばらく黙って月の光を見ていたアムロだが

(よし、月の光をイメージして)

自分自身を月の光と同化し、それが隅々に届くようにイメージした。

それからしばらく静かな時が過ぎた

最初は何の変化もなかった。

いや、最初から外見には何の変化も見られなかった。

しかしアムロの内面には確かな変化が起こっていた。

 

(自分を月の光のように、隅々まで届くように)

 

そのイメージはアムロ自身が手や足や体を超えて部屋全体に広がり、基地全体に広がり、

オーブを超え、ついには自分自身が地球全体に広がったかのような感覚をアムロに与えていた。

 

――ニュータイプの覚醒だった。

 

翌日、アムロは 教導隊全員から撃墜判定を奪った。

 

 

「よし、これでお前は合格だ! 一人前のパイロットとして十分だ!」

 

「隊長! ありがとうございます!」

 

「後ろから狙ったのに躱しやがって!」

 

「こっちが狙おうとしたら先に撃たれてるって何なんだよ!」

 

隊員達は口々にアムロを祝福した。

 

「これから正式な任務が下るだろう。お前ならどんな任務でも達成できる。頑張れよ!」

 

「隊長! 皆さん! ありがとうございました!」

 

こうしてアムロは次の任務へ向かった。

なお、この時のアムロの成績が基準になったせいで、

しばらく教導隊の合格者がゼロになったのは余談である。

 

「ここか?」

 

アムロは「オーブ軍戦術開発室」へ配属された。

MSパイロットである事を隠すためのダミー部署だ。

 

「失礼します」

 

「よく来たなアムロ」

 

「父さん!」

 

そこには父、テム・レイがいた。

 

「どうしてここに?」

 

「私がここの室長だ」

 

「父さんが?」

 

「ここは実態は新型MSの開発室だ。防諜のため名前を変えているがな。

運用上の問題点の洗い出しも任務の一つだ」

 

「つまりここで新型MSを?」

 

「そういう事だ。そしてお前に渡すものがある」

 

テムが差し出したマニュアルの表紙には――

「MBF-P00 試作ガンダム・アストレイ」

 

「ガンダム?」

 

「ああ、オーブの新しい盾だ」

 

この世界で “ガンダム” が誕生した瞬間だった

 

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。
皆さん待望の「彼」の再登場と本来の意味での主役、「ガンダム」の登場でした。
アムロとガンダムの存在は、CEの世界を根本から覆す激震をもたらす事になります。

次回お楽しみください。

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