転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「盟主。例の件についてご報告が」
アズラエルは、ブルーコスモスのある支部の支部長から報告を受けていた。
「ふ~ん。やっぱりまだ納得できない者がいますか」
「はい。やはり『自分の手で直接連中に報いを与えたい』と考える者が多いようで」
「よし。それでは以後、そのような連中はブルーコスモスから除名しなさい」
「盟主!」
「もうすぐ我々の悲願が成就しようというのに、それを邪魔する連中など不要です」
「しかし……」
「このまま放っておけば、空の上の奴らは自分の手で“自分の死刑執行書”にサインすることになるのですよ?
そんな事も理解できないなら我々には不要です。
いや、むしろ我々の悲願を妨げる障害でしかありません。いいですね?」
アズラエルに念を押され、支部長は黙り込んだ。
「ブルーコスモスの名前が使えない連中に何ができますかねえ?」
その言葉に支部長は反発を覚え、思わず口を開いた。
「せめて支部の者に我らの目的を説明するべきでは?」
「それに何の意味があります?」
「説明を受けたのは我ら支部長クラスだけです。
末端の者は、上からいきなり『コーディネーターに構うな!』と言われただけです。
反発を覚えるのは当然ではないでしょうか?」
「理由は説明しましたよね?
現状ではあの資料は裏付けのない単なる推測です。
それを証明することはできません。
それに資料は各国政府に送付済みです。
回答を聞きたいですか?」
「どのような……」
「『根拠のない言説を広めて、市民に無用な不安を与えることのないように』だそうですよ?」
国民を救うべき国が動かない――改めてその事実を突きつけられた支部長は絶句した。
「いくら私達ブルーコスモスでも、国から命令されたのでは従うしかありませんからねえ?」
詭弁だった。
国からの命令に従うどころか、国そのものさえ左右できる発言力を持つブルーコスモスの盟主の言葉ではなかった。
「それに、いくら私達が被害を抑えても、『それが起こると知っていた』というだけで、
『なんであいつは助けてくれなかったんだ!』
『知っていたならもっと被害を抑えられたはずだ!』
と言い出す連中が必ずいます。
そんな連中の相手をしたいですか?
古代ギリシアのカサンドラは破滅の予言を誰にも信じてもらえず迫害されました。
私達も同じ目に遭うことになりますよ?」
「それは……」
「私達には被害にあった連中を助けてやる義理はありません。
しかし“善意で”助けるのは人間として正しいことです。
ですが下手をすれば
『知っていたなら事前に助けるべきだった!』
『対策するべきだった!』と、
無関係なことまで責任を負わされかねません。
そんなのはごめんです」
今まで散々テロ行為を行ってきたブルーコスモスの盟主は、いけしゃあしゃあと「善意」を口にした。
「いいですか?
もうすぐ我々の悲願の達成が目前に来ているんです。
しかも他人を救い、感謝され、全面的に賛同され、熱狂的に支持される――そんな未来がです。
それを邪魔するような連中が必要ですか?」
「いいえ……」
支部長は一言も言い返せなかった。
「我々の悲願達成のためです。あなたの方で不満は抑えなさい。
仮にも支部長なのですから、その程度の手腕は期待していますよ。
できないなら他の者に代わってもらいますが?」
「いいえ! やります! やってみせます!」
「よろしい。期待していますよ」
そう言った後、アズラエルは改めて指示を下した。
「もし、ブルーコスモスから除名された連中がブルーコスモスの名前を使って
おかしな事をやりそうだったら、“処理”しなさい」
「盟主!」
「我々と関係ないのであれば、そんな連中はただのテロリストです。
テロリストを「善意の市民」が通報するのは当然ですし、
緊急事態として「偶然現場にいた民間人」がやむなく射殺する事もあるでしょう?
そのあたりはお任せします」
「よろしいですね?」
アズラエルに念を押され、支部長は背中の震えを抑えることができなかった。
(やはり盟主は恐ろしい方だ。支部の連中は徹底的に抑えなければ)
こうしてブルーコスモスの各支部では、異常なほどの“平穏”の時が流れることになった。
その後、各国で次々とテロリストが検挙されたり、その場に居合わせた市民に射殺されたりした。
テロリストはブルーコスモスを名乗っていたが、各支部は無関係を主張した。
カサンドラの予言が成就するのか。
他人に信じてもらえるのか。
現時点で、それを知る者は誰もいなかった。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。