転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第57話 絶望

 

 

 

オブザーバーを交えた協議の結果を受け取ったプラント評議会は、瞬く間に紛糾した。

 

「我々の独立に正当性はないだと!」

 

「我々が“新人類”ではなく、“只の繋ぎ”だと!」

 

「劣等種のナチュラル如きが思い上がりおって!」

 

「所詮ナチュラル如きに、我らの崇高な意思が理解できるはずもないのだ!」

 

もしタイガがこの場にいたら、こう吐き捨てただろう。

 

「崇高な意思?

対価も払わず、他人が築いたものを暴力で奪う事を“崇高”と言うなら、そんなもの理解したくもないね」

 

「し、しかし連中の言い分には説得力があります。

プラントを建設したのは理事国であり、我々がそれを得るなら対価を支払うのは当然では――」

 

タイガと協議を行った男は、必死に報告を続けた。

だが、報告が進むにつれ評議会の空気は悪化し、ついに爆発した。

 

「ストライキ!

我々の崇高な独立という目的が、ナチュラルの愚かなストライキと同じだと!」

 

「独立のためならどんな手段も許される!

なぜそんな簡単な事が分からない!」

 

「正当性?

ナチュラルの言う事など聞く必要はない!

奴らは黙って我々に従っていれば良いのだ!」

 

(どう考えてもオーブの主張の方が正しい……

対価も払わず暴力で奪う事のどこが誇れる?)

男は絶望した。

 

「君はそんな事を唯々諾々と受け入れたのかね?」

 

「いえ、こちらの主張は行いましたが、相手には受け入れてもらえず……」

 

「受け入れてもらう?

何を言っている?

ナチュラルに“受け入れてもらう”必要などない!

“受け入れさせれば良い”のだ!」

 

「は?」

 

「君の仕事は“主張を伝える事”でも“相手の意見を聞く事”でもない。

“こちらの主張を受け入れさせる事”だったのだがね。

君はコーディネーターでありながら、低俗なナチュラルに言う事を聞かせる事もできなかったのかね?」

 

男は絶句した。

どうすればそんな理屈になる?

理由もなくナチュラルを従わせる事など不可能だ。

同じように、ナチュラルが理由もなく従う事もあり得ない。

 

「君には失望したよ。

“ナチュラルに言う事を聞かせる”という子供の使いすらできないとはな」

 

嘲笑、侮蔑、嘲り。

評議員たちの視線は、すべて男に向けられていた。

(ああ……これは駄目だ)

男はその瞬間、プラントの未来を悟った。

 

「この報告は破棄する!

我々の崇高な理想を理解できない意見など不要だ!」

 

「もっともですな」

 

「正しい判断です」

 

それでも男は食い下がった。

 

「待ってください!

せめて資料だけでも保管すべきです!

どんな意見が交わされ、どんな経緯で結論に至ったのか、後のために記録は――」

 

「不要だ!」

 

「我々に必要なのは輝かしい未来だ!

影を落とすものなどいらん!」

 

「君には失望した。もう下がれ」

 

「待ってください!」

 

「下がれ!」

 

こうして男は降格処分となり、閑職へ追いやられた。

提出した報告書は破棄されたが、男の手元には原本が残っていた。

男はそれを資料室の片隅にそっと仕舞い込んだ。

(失敗は本当の失敗じゃない。

失敗を次に生かせない事こそが本当の失敗だ。

いつか誰かがこれを見て、次に生かしてくれれば……)

そう願いながらも、評議会の顔ぶれを思い出し、暗い気分になる。

 

(そういえば……あの男は一度も声を荒げなかったな。

主張も理論的で、こちらがコーディネーターだからといって否定する事もなかった)

タイガの顔が脳裏に浮かぶ。

(オーブはコーディネーターも移住していると言うし……行ってみても良いか)

 

数か月後。

プラントが独立戦争を開始する直前、ひとりの男がプラントを離れた。

失敗し、閑職に追いやられ、無能の烙印を押された男だった。

誰もその離脱に関心を示さなかった。

だが――

その男が、プラント敗戦後のオーブ外交部で

“プラント対策の専門家”として辣腕を振るう事になるとは、

まだ誰も知らなかった。

 

 

 






※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

実際にプラントと協議が行われた場合はこのようになるのでは?と想像してみました。

普通は戦争というのは「最後の手段」のはずなのですが、本編を見る限り
プラントにはそのような考えはなかったしか思えません。

このような事があったとでも思わなければ、本編のようにはならないのでは?

というのが本話作成のきっかけです。

次回お楽しみください。
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