転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
地球連合がプラントに宣戦布告する以前のこと。
タイガは軍関係者を集め、静かに口を開いた。
「さて、プラントとの開戦が目前だが――オーブは中立宣言を行い、
この戦争には介入しない。表向きには、だがな」
周囲の者たちは苦笑した。
オブザーバーとしてプラントの正当性を徹底的に叩き潰し、
理事国の期待以上の成果を出したタイガは、
世界から“反プラント派の筆頭”と思われていた。
もちろん、朝刊に載った
「プラント代表の頭を踏みつけるタイガ」
の写真が決定打だった。
あの無礼極まる代表の態度を考えれば当然の結果だったが、
“ナチュラルがコーディネーターの頭を踏みつける”という
分かりやすい構図は虐げられたナチュラルに大人気となり、
写真をお守り代わりに持ち歩く者まで現れた。
ここまでくれば、誰もがこう思う。
「オーブは反プラントだ」
しかし、オーブが選んだのは“中立”だった。
世界は困惑したが、オーブにとっては必然だった。
「プラントはこちらの要求を拒めない。
味方が少ない以上、中立を宣言しているオーブまで敵に回す事はできない。
例え莫大な手数料を要求されようが、取引相手はオーブしかいない」
「全くですな」
「当然の事です」
「そして――防諜上の不備で取引内容が地球連合に漏れてしまう事は“不可抗力”だ。
プラントがどこに物資を送ろうとしたか、何を必要としているか……
地球連合の諜報能力は恐るべきものだ。そう思わないか?」
「全くですな」
「我々では太刀打ちできませんな」
それは、中立の皮をかぶった“敵対行為”だった。
だが、プラントがジェネシスで地球ごと焼き払おうとしている事を知るタイガには、
そんな建前はどうでもよかった。
「何度も繰り返せば、連中もこちらの意図に気付くだろう。
だが中立を掲げるオーブを攻撃する事はできない。
……しかし、尻に火がつけば話は別だ」
タイガは薄く笑った。
「だから“エサ”を用意する」
「エサ……ですか?」
「そうだ。連中が中立を無視して攻撃してくるとすればどこだ?」
「本国は考えにくいですな」
「プラントは宇宙にある。ならば攻撃対象も宇宙だ」
「宇宙でオーブが攻撃されるとすれば……アメノミハシラ?」
「軍が駐留している以上、難しいだろう」
「では……ヘリオポリスか?
しかしあれは資源採掘施設だ。攻撃するメリットがない」
「だが“攻撃しやすい”場所だ」
「しかし攻撃すればオーブを敵に回す事に……メリットがなさすぎる」
議論はまとまらない。
タイガは手を叩いた。
「よし、意見は出尽くしたな。では俺の腹案を述べる」
周囲が姿勢を正す。
「まず、連中が攻撃するとすればヘリオポリスだ。
警備は薄い。戦略目標でも重要拠点でもない」
「しかし、それでは攻撃する理由が――」
「だから“理由”を作る。
ヘリオポリスで 大西洋連邦のMS製造設備を建設中 という情報を流す」
「大西洋連邦の……?」
「なぜそこまで?」
「オーブのアストレイはまだ公表されていない。
MS製造施設があれば、連中は“地球連合のもの”だと思い込む。
事前に技術交流を発表しておけば完璧だ」
「しかし……」
「中立国が自衛のために兵器を作る事に何の不思議がある?
それを勝手に“敵国のため”だと思い込むのは連中だ」
タイガの声が冷たく響く。
「自衛のための兵器を作っていたのに、勝手に敵国の兵器だと決めつけられ、
一方的に中立を破棄され攻撃される――
宣戦布告するのに、これ以上の理由が必要か?」
「いえ!」
「ヘリオポリスにアストレイ製造施設を建設するのは事実だ。
今後のオーブのためにもな。
それを妨害する連中には報いをくれてやる。
対価は、自分たちの命で払ってもらう」
周囲の者たちは戦慄した。
これ以上ない、誰にも非難されない“開戦理由”だった。
「ヘリオポリスには極力民間人を残すな。
攻撃される可能性を考え、避難訓練を頻繁に行え。
基本的に駐留するのは軍人のみとする。
護衛艦を数隻常駐させ、防衛力を強化しろ。
いいな!」
「「「「「ハッ!!!」」」」」
こうして、プラントの前に
“ヘリオポリス”という毒餌
が差し出される事になった。
プラントはまだ、その正体を知らない。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。