転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第65話 エイプリルフール・クライシス

 

 

 

CE70年 4月1日

 

この日、プラントの「オペレーション・ウロボロス」が発動し、

地上にニュートロン・ジャマー(NJ)が散布された。

万単位のNJを迎撃する術はなく、

原子力発電は全て停止。

地球全土は深刻な電力不足に陥った。

物流・通信・医療・暖房・冷蔵――

社会生活を支えるインフラは次々と崩壊し、

都市部では食料不足・燃料不足による餓死者、凍死者が続出した。

それにもかかわらず、プラントはこう言い放った。

 

「一滴の血も流さず、一人の命も奪わない人道的兵器である」

 

世界中に怒りと絶望が広がった。

 

 

「押さないでください!物資はまだあります!

お子さんとお年寄りを優先してください!」

 

「怪我人はこちらへ!緊急対応が必要な方はこっち!」

 

「EVトラック到着!物資は5番倉庫へ!」

 

ここはブルーコスモスの支部前。

以前なら“テロの巣窟”として忌み嫌われていた場所に、

今は大勢の市民が押し寄せていた。

 

「食料を!もう3日何も食べていないんだ!」

 

「お願いします!この子に薬を!」

 

「水を……!」

 

支部の前には青いテントが張られ、

青いバンダナや腕章をつけたブルーコスモスの隊員たちが

食料や薬を配布していた。

 

 

「こいつめ!お前なんかが並ぶんじゃねぇ!」

 

「ぐあっ!」

 

コーディネーターの青年が殴り倒された。

 

「お前らのお仲間がこんな事をしたんだぞ!

コーディネーターが物を受け取る資格があると思ってんのか!」

 

「お前が受け取るなら、その分を他のナチュラルに回すのが当然だ!」

 

怒りのはけ口を見つけた群衆が青年に殺到しようとする。

コーディネーターの青年は思う。

 

(なんで俺が……!

俺はプラントの連中とは何の関係もないのに……!なんで!)

 

青年に拳が振り下ろされようとしたその時――

 

「やめなさい!」

 

周囲を圧する声が響いた。

青い腕章をつけた、この支部の支部長だった。

 

「支部長!なんでこんなやつを!」

 

「こいつはコーディネーターですよ!」

 

「こんな事をしでかした連中をかばう必要なんて――!」

 

支部長は静かに、しかし強く言った。

 

「今はここにいる全員で助け合わなければ、この危機は乗り切れません。

ここにいるみんなは“プラントの被害者”です。

コーディネーターかどうかは関係ありません」

 

「支部長!あれほどコーディネーターを嫌っていたあなたが、なぜ!」

 

「私は今でもコーディネーターが嫌いです」

 

「だったらなぜ!」

 

「嫌いである事と、困っている人を助ける事は別です。

私たちブルーコスモスの理念を忘れたのですか?

“青き清浄な世界のために”

それにはナチュラルもコーディネーターも関係ありません」

 

その言葉は、

今までテロの合言葉として使われてきたものとは思えなかった。

しかし――

現実にその言葉を口にして“人を救うブルーコスモス”を目の前にして、

誰も反論できなかった。

 

「君たちも早く並びなさい。

家で待っている人がいるのでしょう?

だったら無駄な事をしている時間はない筈です」

 

男たちは気まずそうに列へ戻った。

 

「君もです」

 

「え?でも俺はコーディネーターで……」

 

「君は“空の上の連中”の仲間なのですか?」

 

「いいえ!とんでもありません!あいつらとは無関係です!」

 

「なら君もただの被害者です。遠慮はいりません」

 

「ハイ!」

 

青年が列に戻ると、前の男が声をかけてきた。

 

「オイ」

 

「・・・なんですか?」

 

「……悪かったな。気が立っていたんだ。すまなかった」

 

「え?」

 

男は青年に謝ると青年の後ろに並び直した。

 

「さっきの詫びだ。お前が先に行け」

 

「で、でも」

 

「いいな」

 

男はそういうとそっぽを向いて青年の方を見ようともしなかった。

 

青年の目から涙が溢れた。

 

(なんだよ……

空の上の連中のせいで俺はこんな目に遭ってるのに……

ブルーコスモスの人は差別しないで助けてくれて……

殴った人もちゃんと謝ってくれる……

ナチュラルの方がよっぽど人間らしいじゃないか……!)

 

青年は空を見上げ、心に誓った。

 

(プラントの奴ら……絶対に許さない!

まずはブルーコスモスにこの恩を返すんだ!)

 

こうして――

コーディネーターでありながらブルーコスモスを狂信的に支持する者たち

が世界中で誕生していった。

これは、そのうちの一つに過ぎなかった。

 

ブルーコスモスの懸命の支援にもかかわらず、

世界中の死者は 一億人 を突破した。

この惨劇は後に――

「エイプリルフール・クライシス」

と呼ばれる。

間違いなく、人間の手によって引き起こされた人類最悪の悲劇 だった。

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。


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