転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜 作:台風200号
※前書きです。
本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。
「あ〜、疲れた!もうやってられないよ!」
秘匿回線の画面には、憔悴しきったアズラエルが映っていた。
髪はボサボサ、目の下には深い隈。
服もよれよれで、何日もまともに休めていないことが一目で分かった。
「どんな状況だ?」
普段のように茶化すことなく、タイガが静かに尋ねる。
「現在の犠牲者は八千万前後。
最終的にはこの倍以上になる可能性が大きいよ。
それでも二億まではいかないだろうね……
運が良かったと言うべきなのかね?」
「言うべきだな。
お前がいなければ犠牲者はその五倍以上――十億に達したという試算もある。
お前の頑張りが、その数字まで抑えたんだ。“青い救世主”の名を誇っていいぞ」
「やめてくれよ〜!そんなダサい名前!
名乗った覚えなんかないのに!迷惑な話だよ!」
「今じゃ現職の大統領もしのぐ知名度と支持率だからな」
――事実である。
ブルーコスモスが“青き清浄な世界のために”の名のもと、
ナチュラルもコーディネーターも区別せず救い続けたことで、
アズラエルの人気は爆発した。
今やそのスローガンは、
地球を代表する慈愛の言葉 とまで言われている。
一年前まで“テロの合言葉”だったとは信じられないほどだ。
そしてその慈愛の集団を率いるアズラエルは、
一部から “青い救世主” と呼ばれ、現代の聖人扱いされていた。
「でも……全部救えたわけじゃない」
「おい」
「もっと準備ができていたら……もっと早く動けていたら……
もっともっとたくさんの人を助けられたかもしれないのに……」
(重症だな)
無理もない。
目の前で人が次々と死んでいく。
そして自分は、それを見ていることしかできない。
事前に知っていたのに。
事前に手を打てたはずなのに。
そう思って自分を責めるのは当然だった。
「お前がどれだけ頑張っても、犠牲をゼロにはできない。
お前は神様じゃない。
“自分ならなんとかできた”と思い上がるのは、連中と同じだぞ」
「やめてくれよね!あんな連中と同じ扱いにするのは!」
「だったら今は“助けられなかった人”じゃなく、
“助けられた人”のことを考えろ。
その方が前向きだ」
「……そうだね」
「まあ、その前に寝ろ。どうせろくに寝てないんだろう?
お前が倒れたら大騒ぎになる。
周りに迷惑をかける前に寝ろ」
「……そうだね。そうするよ」
「ああ、ゆっくり休め」
「……じゃあ、お休み……」
アズラエルは通信が切れる前に、
画面の下へ沈むように姿を消した。
暗くなった画面に向かって、
タイガは言えなかった言葉を静かに告げた。
「誰がなんと言おうと、お前が億単位の人を助けたのは事実だ。
やっぱりお前は俺の親友だ。
お前を誇りに思うぞ……親友」
タイガの声は、何も映さない画面に向かっていつまでも響いていた。
※あとがきです。
お読みいただきありがとうございます。
本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。
次回お楽しみください。