転生タイガのオーブ改革録 〜崩れゆく世界で未来を選び直す〜   作:台風200号

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※前書きです。

本話は独自設定・原作改変を含みます。
原作とは異なる表現、矛盾、人物、設定が登場しますが
本作独自の創作ですのでご容赦ください。





第72話 暗い思考

 

 

 

「ふ〜む」

 

手詰まりだな――

 

ラウ・ル・クルーゼは静かに思考を巡らせていた。

ヘリオポリスには確かに地球連合のMSがあった。

だが同時に、オーブのMSも存在していた。

クルーゼたちが侵入できたのは、警戒の薄い“地球連合区画”だったからだ。

しかし今ではオーブ軍がヘリオポリス全体を厳重に警戒しており、

侵入の隙は一切ない。

さらにオーブのMSまで確認された以上、突破は容易ではなかった。

侵入もできず、襲撃もできず、かといって撤退もできない。

クルーゼは思案に沈んだ。

もっとも――撤退しても問題はない。

敵の開発中MSを四機も奪取した。

評議会の子息たちも無事。

十分すぎる功績だ。

クルーゼは、評議会の子息たちが自分に預けられた“本当の意図”を理解していた。

 

(フン……自分の息子は可愛い。功績は与えたい。しかし危険なことはさせたくない。

だからどこの馬の骨とも知れない腕の立つ男に功績を上げさせ、それを息子たちに譲らせる……か。

どこの世襲貴族の話だ? 胸糞が悪い)

 

アスランたちが自分の下に配属された理由――

それは評議会による“ただの箔付け”でしかない。

 

「息子たちを危険に晒すな。しかし功績はあげさせろ」

 

それが親たちの意向だった。

 

「ナチュラル相手なら勝って当然」

 

そう考える評議会の親たちは、

息子たちがナチュラルとの戦闘で死ぬ可能性をまるで理解していなかった。

 

(もし息子たちが全員死んだら……評議会の連中はどんな顔をするか)

 

一瞬、暗い欲望が胸をよぎる。

だが――

 

(まだその時ではない)

 

クルーゼは自分に言い聞かせた。

 

「隊長!」

 

アスランの思いつめた声が、暗い思考を断ち切った。

 

「どうした、アスラン?」

 

心の奥の黒い感情を隠し、

クルーゼはいつもの“信頼できる隊長”を演じて返事をした。

 

「オーブ軍、トダカ一尉です」

 

アークエンジェルに現れた男は、教本通りの見事な敬礼を決めた。

 

「マリュー・ラミアス大尉です」

 

「ナタル・バジルール少尉です」

 

二人も敬礼を返す。

 

「小官は、我が軍と貴艦との連絡武官として派遣されました。

基本的に戦闘は我が軍の護衛が担当しますが、貴艦にも最低限の自己防衛をお願いします。

また、こちらの戦術意図やMSに関する情報も、ある程度開示します」

 

「はい。よろしくお願いします」

 

「お願いします」

 

ここでマリューが疑問を口にした。

 

「しかし……よろしいのですか?」

 

「何がでしょう?」

 

「MSです。仮にも軍の最高機密では?」

 

「機密を出し惜しみしてこの艦が沈んだら意味がありません。

“機密より国民の命を優先しろ”――上からの命令です」

 

マリューとナタルは衝撃を受けた。

エイプリルフール・クライシスで国民を見捨てた国家が多い中、

そのような判断を下し、実行する人物がいるとは思わなかった。

 

「どのような方ですか?」

 

マリューは思わず尋ねていた。

トダカは誇らしげに答えた。

 

「あなた方もご存じでしょう。“オーブの虎”と呼ばれている方です」

 

 







※あとがきです。

お読みいただきありがとうございます。

本話には本作独自の設定が多数ありますが、創作上の出来事としてご容赦ください。

次回お楽しみください。

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