デート・ア・ライブ 士道Remix   作:零丸

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さあ厨二病全開の俺のターン開始(末期


#11 悪夢

「はぁ…」

 

天宮駅前、士道はため息を吐いた。

今日は土曜日、狂三とのデートの日である。

服は琴里に選んでもらい、右耳にはインカムが装着されている。

そして四糸乃、耶倶矢、夕弦は〈フラクシナス〉で待機してもらい、このデートを見届ける様になっている。

 

「本当に大丈夫なのかなぁ…」

 

『…しっかりしなさい』

 

「…悪い」

 

正直まだ不安が無くなったわけじゃなかった。

調べたところ、時崎狂三はかなり危険な精霊で、〈ラタトスク〉や〈AST〉からもマークされていた。

…そんな精霊とデートである。

 

「あら士道さん、お待たせしました」

 

と、そこに狂三がやってきた。

いつもの制服とは違い、黒のワンピースを着ている。

…とても美しい…だが、それ以前に狂三は精霊、とてもじゃないが褒める気分にはならなかった。

 

『ほら士道、ボサッとしてないで、オシャレしてる女の子を褒めないでどうするの』

 

「お、おう…」

 

インカムから響く琴里の声を聞き、重い口を開いた。

「おう…狂三、その服似合ってるぞ」

 

「まあ、士道さんにそう言って貰えるだなんて、嬉しいですわ」

 

「お、おう…」

 

笑顔で話しかけてくる少女が”最悪の精霊”とは思い難かった。

ーーだって、こんなにも無邪気に…

 

「あ、そうだ。今日はどこに行くんだ?」

 

「そうですわね、今日は動物園にでも行きませんこと?」

 

「動物園か…」

 

そういえば、もう長いこと動物園にも行っていない。

最後にいつ行ったかさえも覚えていない。

 

『ま、悪くないわ…士道、狂三と動物園に行ってらっしゃい』

 

「おう、わかった」

 

琴里の指示に答え、狂三の方を向いた。

 

「じゃ、行こうか」

 

「はい」

 

そして、士道は狂三と歩き始めた。

 

ーーそれから。

入場料を払い、様々な動物を見て楽しんだ。

最初は抵抗があったが、だんだん狂三にも慣れ、動物園を半分ほど見て回った時には、ほとんど警戒を解いていた。

 

『いい調子じゃない。これなら今日中に決着をつけられるかもしれないわね』

 

琴里の上機嫌な声と対照的に、狂三が不可解な質問をしてきた。

 

「ーーねぇ士道さん。この動物達は…可哀想だとは思いませんこと?」

 

「可哀想…?どうしてだ?」

 

「元いた場所から移され、狭い檻の中で好きなこともできないまま寿命を迎えるのですわよ?それを考えたら可哀想だと思いますの…」

 

「うーん…」

士道は頬をかき、曖昧な答えを返した。

 

「この動物達はそれなりに幸せなんじゃないのか?確かに狂三の言うことも一理あるが、俺はそうは思わないな」

 

「そうですの…」

 

狂三はそれ以上話そうとはしなかった。

その質問以降、ふつうに動物園をまわった。

ーーそして帰り道。

 

 

「士道さん…士道さんはあの動物達が幸せだと答えましたわよね?」

 

「あ、ああ、そうだが」

 

「わたくしはそうは思いませんわ。…だって、あの動物達はわたくしと同じですもの」

「…は?」

 

狂三の言うことが理解できず、目を丸くした。

 

「…でも、動物達だって牙を向くかもしれませんわ」

 

「おい、どういうこと…ッ!?」

 

士道は凄まじい頭痛に襲われ、その場に膝をついた。

 

『これは…広域結界!?』

 

狼狽に満ちた琴里の声が聞こえるが、返している余裕がない。

立っていることすら困難だった。

 

「くる…み…」

 

「きひ、ひひひひ。神威霊装・三番(エロヒム)」

 

狂三の方を見ると、今まで着ていたワンピースが消え失せ、変わりに赤と黒のドレスを纏っていた。

霊装、精霊を守る絶対の城である。

「一体何を…」

 

周囲の人が次々倒れていく。

狂三の左目に目をやると、黄金の文字盤の時計の針が高速で逆回転していた。

 

「素敵でしょォ…?【時喰みの城】(ときはみのしろ)…わたくしの影を踏んでいる対象の時間を吸い上げる結界ですわ」

 

「時間を…?」

 

「まぁ、言い換えるとすれば…寿命…ですわね」

 

「なっ…」

 

 

 

【フラクシナス】で警報が鳴り響き、クルーが慌ただしく移動をはじめる。

 

「ええい、見ておれん!我が士道を助けに行く!」

 

「同調。黙って見ているわけにはいきません」

 

そう言い残し、耶倶矢と夕弦が限定霊装を身に纏い、【フラクシナス】を後にする。

 

「私も…行きます…」

 

四糸乃が行こうとした時、琴里が静止に入る。

 

「ダメよ、四糸乃。相手は【ナイトメア】なの。本来耶倶矢や夕弦が行くのも間違ってるわ。…あなたが行っても…士道が悲しむだけよ」

 

「そんな…」

 

四糸乃は絶望と無力感に浸り、その場に膝を折って倒れ伏した。

 

 

 

「無事であったか、士道!」

 

「同意。大丈夫ですか、士道」

 

「二人とも…!」

 

耶倶矢と夕弦が士道の元へやってくる。二人の霊力は現在士道の中に封印しているので、霊装が不完全だった。

 

「あらあら…。また精霊が増えましたわね…。かまいませんわよォ?全部まとめて美味しくいただきますわ」

 

狂三が怪しく笑うと、影から無数の手が出てきて八舞姉妹を拘束しようとする。

 

「ふん、そんなもの捕まらなければいいのだろう?」

 

霊力を封印しているとはいえど、二人とも颶風の御子、凄まじい速さで手を避ける。

 

「そうですわねぇ…。精霊二人を相手にするのは少しばかり不利かもしれませんわね…。仕方ありません、”わたくし”にも手伝って貰いましょう」

 

狂三がそう言うと、足元の影から数十人の”狂三”が出現した。

 

「な…これは…」

 

「驚嘆。これはどういうことでしょう」

 

二人とも士道と同じ反応だった。

それもそのはず、狂三が数十人存在しているのだ。

 

「これは私の過去、私の履歴…様々な時間軸の”わたくし”ですわ」

 

「きひひひ…」 「あらあら…」

「精霊相手に…」 「天使なしでは…」 「少しばかり…」

「部が悪いかもしれませんわね…」

 

そして”オリジナル”であろう狂三が右手を掲げる。

 

「さあ、さあ、おいでなさい、〈刻々帝〉(ザフキエル)!」

 

狂三がそう言うと、狂三の両手に古式の短銃がが握られ、巨大な時計が出現した。

天使ー精霊の誇る最強の矛。

 

「くく…天使など恐るるに足らず!〈颶風騎士〉(ラファエル)-【穿つ者】(エルレエム)!」

 

「呼応。〈颶風騎士〉(ラファエル)-【縛める者】(エルナハシュ)!」

 

それぞれ耶倶矢には槍が、夕弦にはペンデュラムが握られる。

それと同時に、狂三の分身体が銃を構え、八舞姉妹に向けて一斉に発砲を始めた。

 

「耶倶矢!夕弦!」

 

士道が叫ぶも心配は無用だった。

 

「ええい、鬱陶しいわ!多様なものが我ら颶風の御子に効くと思うてか!」

 

「同意。甘く見過ぎです」

 

耶倶矢と夕弦は天使を使い全ての銃弾を弾き飛ばしていた。

 

「あらあら、”普通”にやっていてはいくら時間があっても足りませんわね。ならこうしましょう。〈刻々帝〉(ザフキエル)-【一の弾】(アレフ)!」

 

狂三が叫ぶと後ろの巨大な時計の『Ⅰ』の部分から影が出てきて、狂三の銃に吸い込まれていく。

次の瞬間、狂三は何のためらいもなく自分のこみかめに銃を向け、引き金を引いた。

 

「なっ…!」

 

「はっ。血迷ったか!」

 

「疑念。いったい何を…」

 

三人が目を丸くした。

それもそうだ、狂三は今自殺行為に及ぼうとしている。

しかし、その考えは違った。

引き金を引いた狂三がその場から消え、瞬間八舞姉妹の後ろに移動していたからだ。

 

「なっ…貴様…!」

 

狂三が耶倶矢に銃を向け、引き金を引くと、耶倶矢はその銃弾をギリギリで捌いた。

 

「…まさか【一の弾】(アレフ)で”時間を早めたわたくし”の動きに対応できるとは…大した動体視力ですわ」

 

「ふん、敵に褒められても嬉しくないわ」

 

そこで士道はようやく理解した。

今しがた狂三が撃った弾、【一の弾】(アレフ)という弾は、撃った対象の時間を早める弾らしい。

その狂三に瞬時に対応できた耶倶矢の動体視力は大したものだ。

 

「はぁ…燃費は良くないですがこの際仕方ないですわ」

 

狂三がわざとらしく溜め息を吐く。

そして右手に持った銃を耶倶矢に構えた。

 

「…〈刻々帝〉(ザフキエル)-【七の弾】(ザイン)」

すると今度は『Ⅶ』の文字から影が出てきて、狂三の銃に装填された。

そして耶倶矢に向け、銃を発砲した。

 

「学習しない奴め、そんなもの我らに効くと思うてか!」

 

「注意、耶倶矢、さっきと弾の種類が違います」

 

「なっ…」

 

夕弦が注意を呼びかけたがもう遅い。弾を弾いた弓弦がその場に停止し、動かなくなってしまった。

 

「きひひ、ひひひひ。まず一人」

 

空中で動かなくなった夕弦に向けて、狂三の分身が一斉に発砲する。

そんな中耶倶矢は槍を構え、狂三本体に攻撃を仕掛ける。

 

「きっさまぁぁぁぁ!」

 

「まて耶倶矢!落ち着け!」

 

士道が叫ぶも耶倶矢は止まらない。

狂三に向かって槍を振った。

しかし狂三はその場から消え、瞬間耶倶矢の後ろに現れた。

 

「ーーそれでは御機嫌よう」

 

耶倶矢に向かって【七の弾】(ザイン)を撃つ。不意を突かれたことと、夕弦をやられたため周りが見えてなかったことにより、耶倶矢は【七の弾】(ザイン)を避ける暇なく撃たれる。

 

「耶倶矢!」

 

士道が呼びかけるも、耶倶矢はピクリとも動かない。

 

「…耶倶矢と夕弦に何をした!」

 

「【七の弾】(ザイン)…撃った対象の時間を止める弾ですわ。夕弦さんの方は”わたくしに【一の弾】(アレフ)を掛けてから【七の弾】(ザイン)を撃ちましたの”」

 

「くっ…」

 

技の重ね掛け。

自身の時間を早め、高速移動している時に相手の時間を止める。

避けようのない最悪のコンボだ。

 

「そろそろ士道さんの番ですわよ。わたくしに…」

 

そこで一回言葉を切り、ペロリと舌を出す。

 

「わたくしに”食べられてくださいまし”」

 

「ーーッ!」

 

目の前で、耶倶矢と夕弦が血まみれで倒れ、周囲は狂三の分身体に囲まれている。

ーー逃げることのできない最悪の状態である。

そして。士道の足元から手が現れ、身体のあちこちを拘束する。

ーまるで士道を引きずり込むかのように。

 

「…ごめんな四糸乃。俺、約束守れそうにないや」

 

士道は意を決した様に目を瞑った。

ーーごめんな。

 

「それでは士道さん、御機嫌よ…」

 

狂三が言いかけて言葉を噤む。

否ー最後まで発すことが出来なかった。

目の前にいた狂三が影となり、消えていったからだ。

 

「…どういうことですの」

 

地面の影から現れた狂三が怪訝そうな顔をする。いつの間に分身と入れ替わっていたのだろう。

 

「…【ナイトメア】、あなたはやり過ぎた。それ以上は見過ごすわけにはいかないな」

 

透き通った綺麗な声。

だがどこかで聞いたような、安心できる声だった。

 

「…どなたですの?」

 

狂三が狼狽に満ちた声で問いかける。

「名乗る必要あるのかなァ?ーそれ以前に、…私に名前はない」

 

士道が声のする方を見上げる。

漆黒の羽織を身に纏い、首には紅いリボンを付けている。

リボンを含む首回りにはネックレスが掛けられており、十字架が3つほど付いていた。

そして右手には身の背丈を軽く上回る”鎌”を持った少女が浮かんでいた。

ーーそう、まるで死神のような。

だがそれ以前に士道の目に入ったのは少女の顔だ。

 

「れい…な…」

 

その少女は、〈フラクシナス〉クルーである、白闇零那その人であった。数回ほど顔を合わしたことがある。間違えようがなかった。

 

「説明は後です士道さん。…すぐに片付けます」

 

零那がそう言い放つ。

 

「無に返せ、〈冥界覇者〉(ハーデス)!」

 

そう言いながら、手に持った鎌を狂三に向けて構える。

 

「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう」

 

零那がそう言ったのを最後に、士道の意識はそこで途切れた。




さぁこの先どうしよう…
というかこの作品の狂三さんって時間無駄遣いしすぎだよね()
つか真那をいつ出そう…
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