画面の前の俺→(っ'ヮ'c)ウゥッヒョオアアァアアァ
さてさて、引き続きお楽しみください。
漆黒と血のように紅いドレスを纏った少女と、空に浮かぶ漆黒の羽織を着て背丈の倍ほどの鎌を持つ少女。
まだそれほど遅い時間でもないと言うのに空は真っ暗だった。
そして辺りには倒れている数十人の人。
ーー明らかに異様な光景だった。
「いきなり誰ですのォ?わたくしの邪魔をする方は容赦致しませんわよォ?」
「…容赦なんかしてもらう必要ない。御託はいいからさっさとかかってきなさいよ」
狂三がピクリと眉を動かす。
…随分と舐められたものだ。
「き…ひひひひ…!全力で相手してさしあげますわ!〈刻々帝〉(ザァァァフキェェェル)!!」
狂三が『天使』の名を叫ぶ。
『天使』…形を持った奇跡。
狂三の身の背丈の倍ほどあろう巨大な時計が時を刻む音が響いた。
そして二丁の銃のうちの歩兵銃を零那に向け引き金を引いた。
「ふん…」
零那が鎌を持っていない左手を前に出すと、狂三の撃った銃弾が零那に当たる寸前で光の粒子となり消えた。
「きひ…ひひひひ…やるじゃありませんのォ!久しぶりに楽しめそうですわァ!」
そして狂三は片方の短銃を自分に向けた。
「〈刻々帝〉(ザフキエル)-【一の弾】(アレフ)!!」
狂三が引き金を引いた時には、狂三はその場所にいなかった。
零那は後ろに飛び上がった。
すると今し方零那が立っていた場所に銃痕が刻まれた。
「わたくしの動きについてこられるなんて流石ですわーーねェ!!」
狂三は空中で無防備な零那に向けて引き金を引いた。
「ちっ…」
流石にこれは避けきれず銃弾が零那の頬を掠める。
地上にいた狂三がその様子を見て愉快そうに笑う。
「き…ひひひひ…いいですわァ!これくらいで倒れてしまっては面白くないですわよォ?」
言いながら狂三が足元の影を広げる。
「わたくしたち」
狂三がそう言うと広がった影から数十人程の狂三が出現した。
出現した狂三の”分身体”は気味悪そうに空中の零那に向かった。
「さあ、さあ、今度はどうしましてェ?」
しかし零那は慌てる様子もなく、小さく呟いた。
「〈冥界覇者〉(ハーデス)」
すると手に持っていた鎌の形状が変化し、小さな球の様な物になり、零那の手に収まった。
ーー瞬間。零那を中心して爆発が起こった。
零那に襲いかかろうとした数十人の”分身体”は爆発に巻き込まれ地面へと落ちていった。
「…なかなかやりますわね」
狂三が不快そうに眉を寄せる。
そして何かを思いついたかのように両手の銃を掲げる。
「〈刻々帝〉(ザフキエル)ー【七の弾】(ザイン)」
狂三の背後の時計の『Ⅶ』の文字から影が漏れ出し、短銃に収まった。
「…無駄だよ」
零那は狂三の撃った弾を鎌に変形した〈冥界覇者〉(ハーデス)で弾こうとする。
が。零那の動きはそこで止まった。
ーー否。止められた。
【七の弾】(ザイン)…撃った対象の時間を止める弾である。
「きひひひひ…無駄なのはどちらでしてェ?さあ、さあ、わたくしたち。やってしまいなさい」
すると広がった狂三の影から新たな”分身体”が現れた。
そして現れた数十の”分身体”は二丁の銃を零那に向け、一斉に引き金を引いた。
放たれた銃弾は零那の至る所に撃ち込まれる。
「それでは御機嫌よう…」
最後に本体の狂三が零那の頭部を銃で撃ち抜いた。
【七の弾】(ザイン)の効果の切れた零那がその場に崩れ落ちる。
身体の至る所からおびただしい量の血が出ており、その身体はピクリとも動かなかった。
「颯爽と出てきた割には大したことありませんでしたわねェ…」
狂三が気だるそうに首を回すと、空から聞き覚えのある声が聞こえた。
「いやー、本当に全くその通り。大したことなさすぎるよ」
「…!!」
狂三が驚いて空を見上げると、そこには今死んだ筈の零那が浮いていた。
「…どういうことですの」
狂三が信じられないような光景を目の当たりにし、目を丸くする。
そんな狂三に興味を示そうともしれない零那が衝撃の一言を呟いた。
「…〈刻々帝〉(ザフキエル)」
「…!?」
零那が呟いたその『天使』は〈刻々帝〉(ザフキエル)。
本来一つしか存在しない筈の〈刻々帝〉(ザフキエル)が、もう一つ現れた。
「…一体何なんですの貴方はァ!〈刻々帝〉(ザフキエル)はわたくしの『天使』の筈…なのに何故!」
零那はそんな狂三を見て面白そうに笑った。
「さっきのは私じゃないよ。貴方は私と思い込んだ分身を殺したにすぎない」
「…そういうことですの」
〈刻々帝〉(ザフキエル)ー【八の弾】(ヘット)。
撃ち抜いた対象の分身を作る弾だ。
恐らく零那は【八の弾】(ヘット)で作った分身体を盾に、別のところに隠れていたに違いない。
ーー気に入らない。
〈刻々帝〉(ザフキエル)は本来狂三の天使の筈。
それを誰ともしれない輩に真似されたのだ。不愉快極まりない。
…少なくとも、『XⅡ』の弾については感づかれたくないところだ。
もし気づかれては目的が達せなくなる。
「…多少気に入りませんが今回は退散しますわ。〈刻々帝〉(ザフキエル)ー【一の弾】(アレフ)」
狂三は何とも不愉快そうな表情のまま、その場から退散した。
「ふぅ…」
零那が疲れたように息を吐く。
ーー瞬間凄まじい頭痛が走り、その場に崩れ落ちた。
「ー…う」
「ー士道」
誰だ。誰かが呼んでいる。
士道が目を覚ますと、そこは真っ白な何も無い空間だった。
そして、中央に一人の穏やかな顔をした少女が立っていた。
「…ここは夢と現実、精神と物質の狭間の世界。突然呼び出してごめんね?」
少女は微笑みながら答えた。
「君は…」
「私に名前は無いよ。…そうだなぁ。とある人には”園神凜袮”(そのがみりんね)って呼ばれてたなぁ」
「りん…ね?」
何故だろう。聞き覚えがある。
ずっと昔の…懐かしい様な。
「そんなことはさて置いて。君は”時崎狂三”との戦闘で気絶させられたね?」
凛袮と言う少女の言葉に士道は目を見開いた。
そう、今しがた狂三との戦闘で気絶させられたところなのだ。
「そうだ…零那が…あれは精霊なのか…それ以前に耶倶矢と夕弦は…狂三はどうなったんだ!?」
「おっと、一回にたくさん喋ると把握できないよ、士道君」
凛袮がいたずらっぽく微笑むと、人差し指を唇に当てた。
「君たちが白闇零那と呼ぶ少女、彼女は精霊だよ。それも、かなり特殊な…ね」
そこで言葉を切り、くるっと身体をターンしてから話を次ぐ。
「【ベルセルク】八舞姉妹はこっ酷くやられたみたいだけど無事だよ。二人とも精霊だしね」
「そうか…」
「因みに【ナイトメア】時先狂三も無事だよ。どうやら本気を出す前に自分から退散したみたいだ」
「…どういうことだ?」
「言葉通りだよ。今回は運良く死人は出てない。あれだけの規模なのに奇跡に近いよ」
言って凛袮がクスクスと笑う。
…なにか腑に落ちない。
「士道、君は少し前に『天使』〈氷結傀儡〉(ザドキエル)顕現させたね?」
唐突に凛袮が質問してくる。
…正直質問の意図がわからないが。
「ああ、したよ」
「君はさ、自分がなんで『天使』を使えたか、あの後考えた?」
「言われてみれば…全く考えたことないな」
「そう…。実はね、君が『天使』を使えたのは君の能力なんだよ。もっとも、まだ完全じゃないけどね」
「俺の…能力…?」
いまいち意味がわからない。
精霊の霊力を封印できるだけでもイレギュラーなのに、この上まだ能力なんてあるのか。
…自分は一体何者なんだ。
「君は力が欲しくない?自分とみんなを守れる力が」
「…力は欲しいさ。狂三のときだって…俺は無力だった」
「そうこなくっちゃ」
すると凛袮がパチンと指を鳴らす。
数秒後、足元に一丁の銃が落ちていた。
「…これは?」
「それは君の”召喚器”だよ。弾は出ないけど、それがあれば封印した精霊の『天使』を好きな時に使える」
「…つまり、どうすればいい?」
「使いたい『天使』と自分の想いを込めながら、自分の頭をそれで撃ち抜くのさ。大丈夫、弾は出ないから痛くないよ」
「…」
正直なところ信じられない。
本当に弾が出なくて、尚且つ『天使』が自由に使えるのか。
「な、なぁ凛袮…」
全部の言葉を発する前に士道は言葉を中断した。
いや、中断させられた。
「…ごめん。君がここにとどまれるのは限界みたいだ。また会おう、士道」
凛袮の笑顔と共に意識が薄れていく。
そして士道はそのまま意識を失った。
※凛袮ユートピアの凛袮とだいぶ設定が違いますが、凛袮が好きという理由で出してるだけです((
ちなみに凛袮ちゃんの出番はこれからもある模様(壮絶なネタバレ
なんかペルソナネタ多いね。
召喚器とか召喚器とか召喚器とか。
わからない人はペルソナ3を参照()
追記
ペルソナでいう、凛祢=イゴール、真っ白の空間=ベルベットルームなんで((
わかる人にしかわからないねうん。