「質問、夕弦達の出番は何時ですか」
「そうだよ、このままじゃ私も夕弦も出番ないじゃん!」
「あの…私も…」
「…ごめん、後2話か3話くらいは出番ない」
「はあっ!?」
そんなこんなで安定の零那回。
零那が好きな人よかったね()
「…どういうことかしらね」
【フラクシナス】の艦橋で、五河琴里は画面を眺めていた。
画面には楽しそうにはしゃぐ零那と、それに振り回されている士道が映っていた。
「士道はそういう人間です。不思議がることがありますか?」
「いや…別に…」
今【フラクシナス】の艦橋には琴里一人しかいない。まさか零那がこんなにも早く士道と打ち解けるとは思ってなかったため、クルーはしばらく非番にしてあった。
…前言撤回。一人と一体の方が正しいか。
「どうしたのです?五河琴里。なんだか怖い顔をしていますよ?」
「いや、今日はあなたがよく喋るなと思っただけで」
「そうですか?私はいつも通りですよ」
画面に映った少女が微笑む。
内気そうな顔に長い白髪。
彼女の名前は或守鞠亜(あるすまりあ)。【フラクシナス】の人工知能であるAIだ。
精霊を攻略するとき、選択肢を用意するのは毎回彼女仕事だ。
無論あくまでも人工知能なので実態は持っていないが、かなりの美少女である。
…プログラミングしたのは誰なのか。
「まぁいいわ。とりあえずしばらく様子を見ましょう」
「そうですね。このデートが終わったら次は私とデートする番です」
「…やっぱり或守、あなたいつもと違うわね」
「妬いてるんですか?別に五河琴里にデート権を譲ってもいいですよ?」
「そ、そ、そそそんなわけないじゃない!いいから様子を見るわよ!」
「ふふ…わかりました」
「士道さん!次はこっち!」
「はいはい…」
普通の私服に身を包んだ士道と、珍しく私服を着た零那が商店街を歩いていた。
零那の装いは黒のシャツに青のミニスカートという割と動きやすそうな格好だった。
結局あの後零那にデートに誘われ、結果今に至る。
…無論インカムを付けてないため琴里の声も聞こえなければ好感度もわからない。
封印はかなり難しいだろう。
それにしても零那はよく喋るし、感情豊かな少女だった。
士道も何度か顔を合わせたことがあったが、ここまで感情を表に出す少女とは思ってなかった。
それどころか、この少女は無表情だと思っていた。
…そう、あのASTの鳶一折紙の様に。
「士道さん士道さん!」
「うおっ、どうした零那」
零那が突然詰め寄ってきたため思わず一歩下がる。
零那の手には2つのクレープが握られていた。
「どっち食べたい?」
「えーど…零那、先に選んでいいぞ」
「じゃあ私こっち!」
零那は選んだクレープを幸せそうに頬張る。
「んー、おいし」
食べている姿は本当に可愛い少女だ。見ているこっちまで和んでくる。
「あれ、士道さん食べないの?」
「あ、ああ!食べるぞ!」
…見惚れていたなんて言えない。
こちらの意図を勘付かれない為に急いでクレープを頬張る。
…なんかもう味とかわかんねぇ。
「士道さん」
「ん?なんだ?」
「今日は、私と一緒に出かけてくれてありがとうね。とっても楽しいよ!」
「そうか。ならよかった」
素直に喜ばれるとなんだか恥ずかしくなる。それに零那は14歳、士道よりも2つ歳下だ。なんだか気分だ。
「さっ、士道さん次はあっち!」
「ちょ、おまっ!」
零那がいきなり士道の手を握り、強引に連れて行こうとする。
もちろん歳下の女の子な訳なので抗おうと思えば抗えたが、そんなことよりも手を繋いでいるという事に意識がいってしまった。
「ま、いいか」
士道は小さく笑いながら、零那に手を引かれていった。
同刻。DEM日本支社。
「〈クロノス〉の監視は続けているかい?」
「はい、手筈通りです」
「そうか、引き続き頼むよ」
ウエストコットは今、零那の監視をしていた。エレンによると、対象は商店街で少年とデートしているとか。
〈クロノス〉はただでさえ目撃情報が少ない。
だが少しでも外に出てしまえばわずかな霊力でも〈クロノス〉を見つけることは可能だ。
〈クロノス〉がこんなに長い間外にいるのも珍しい。
絶対に逃してはならない。
「もう少ししたら始めようか、エレン、準備を頼むよ」
「了解しました」
「ねぇ士道!このブローチ可愛いよ」
零那のテンションは上がりっぱなしだった。今はブローチに夢中みたいだ。
「ん、どれどれ…」
零那の指すそれは質素なブローチだった。だが零那が付ければ映えるだろう、赤の綺麗なブローチだった。
「買ってやろうか?」
「え?いいの?」
「ああ、少し待ってな」
そう言い残し士道は支払いに行く。
大した値段でもなかったので気にせず買えた。
「ほら、買ってきたぞ」
「あ、ありがとう!」
士道が零那にブローチを手渡してやると、零那はそのブローチをさっそく胸元に付けた。
赤色が零那の黒い服によく合う。
「似合ってるぞ」
士道が素直に感想を述べると、零那は頬を染め俯いてしまった。
そして、小さな声でこう言った。
「本当に、似合ってる?」
「ああ、本当だ」
士道がそう言ってやると零那が表情を明るくして微笑んだ。
「ありがとう!」
その笑顔は、士道が見た笑顔の中でも一番輝いた笑顔だった。
辺りも暗くなってきたころ、二人は安定の高台にいた。
…なんだか精霊を攻略するとき必ず来る気もするが、多分気のせいだろう。
「士道さん、夕日って綺麗だね」
「ああ…そうだな」
士道がそう言った直後、零那が士道の手に自分の手を重ねてきた。
「…零那?」
「駄目…?」
「い、いや…いいけど…」
なんだか気まずい雰囲気の中時間だけが過ぎていく。
なんだかんだあって今日も楽しかった。
士道が街をぼんやり眺めていた。
その時。
ーー耳元に不快な警報が鳴り響いた。
「…っ!空間震警報!」
そう、空間震警報である。
今出現している精霊は士道の知る限り零那のみ。
そうなるとすれば新たな精霊が現れたのか。
「…これは誤報。多分ね」
「その通り」
零那が呟いた後、空中から聞いたことのない声が聞こえた。
そこにいたのは、18歳くらいの少女、だがASTの様なCR-ユニットを身に纏っていた。
「…誰だあんた」
「あなたに興味はありません。私が用があるのはそちらの彼女です」
「質問に答えろ!」
士道が空に向かって叫ぶ。
さすがの士道でもこの女が零那を殺そうとしていることはわかった。
「質問に答えましょう。私はエレン・ミラ・メイザース、そちらの彼女を狩りにきました」
エレンという女が零那の方を見て笑う。そんなエレンに零那が初めて口を開いた。
「そのCR-ユニットは【ペンドラゴン】か。ということは、あなたDEMの魔術師(ウィザード)か」
「…やはり知っていましたか」
「そりゃそうだよ。父さんの殺害に使われたCR-ユニットが【ペンドラゴン】だったからね」
零那の言葉にエレンがピクリと眉を動かす。
「…御託はいいでしょう、霧雨零那。さっさと狩られて下さい」
エレンが零那に向けてレーザーブレードを構える。
霧雨?零那の苗字は白闇だったはず。
いや、考えるべきはそこじゃない。士道は霊装を顕現させようとしている零那を止めた。
「零那、聞きたいことは山ほどあるが、後にする。今は…戦うな」
「なっ…そんな…!」
士道は零那の前に立ちはだかり、ポケットから銃を取り出す。
「大丈夫だ、あいつの相手は俺がする」
「おやおや、威勢がいいですね。そんなおもちゃの銃で一般人がどうすると?死にたくないなら下がってなさい」
エレンが溜め息を吐きながらやれやれと首を振る。だが士道は下がらない。
「御託はいい、こいよ」
言いながら士道は銃を頭に向ける。
…今必要なのは武器。
エレンに立ち向かえるような、そして零那を守れるような武器。
ならば必要なものは一つ。
「〈颶風騎士〉(ラファエル)ー【穿つ者】(エルレエム)!」
叫びながら、引き金を引いた。
夢の中で出会った少女、凛袮。
その少女に言われた通りにやってみる。召喚器を使用するのは初めてだったが、なぜか凛袮という少女の言うことは信じれる。
瞬間、士道の右手に背丈の倍はあるであろう槍が握られた。
八舞耶倶矢の天使、〈颶風騎士〉ー【穿つ者】(エルレエム)。
その様子を見て、エレンが不気味に笑う。
「それは〈ベルセルク)の天使…あなたは何者です?」
「…人間だよ。お前と違ってな」
「…」
エレンの動きが一瞬鈍ったのを、士道は見逃さなかった。
「うおおおおおおおおお!」
実戦は初めてだったが、身体が軽い。士道は、槍を構え、エレン目掛けて突進した。
なんだか零那の性格がガラリと変わった気がしなくもない。
っていうか或守出してみたかったんだよ、原作と違うぞハゲっていう感想は受け付けてないので悪しからず。
今読み返して思ったけど本作の士道って攻撃的だよね。
誰だよこんな感じに士道を変えた(ry