デート・ア・ライブ 士道Remix   作:零丸

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あまりに短すぎたのでもう一話。
本来ならこんなことしないんですけどね。
零那編があまりに長くて他の人が書けないからね、うん。


#19 過去改変

「…ッ」

 

士道は痛む頭を抑えながら立ち上がった。

見覚えのある景色、恐らくここは先日の高台公園だろう。

 

「成功…したのか」

 

「あらあら、わたくしの力を疑ってましたの?悲しいですわ、泣いてしまいますわ」

 

「狂三!?」

 

士道が辺りを見回すも、狂三の姿は確認できなかった。

 

『きひひ…無駄ですわよ。今のわたくしと士道さんは違う時間軸にいますわ。今こうして話ができているのは〈刻々帝〉(ザフキエル)ー【九の弾】(テット)の力ですの』

 

「…つまりどういうことだ?」

 

『まずこうして話すことは勿論、士道さんの見たもの、聞いたものを共有することができますの』

 

「…俺は操り人形かよ」

 

士道は辺りを見回してみた。

この光景も狂三に伝わっているのだろうか。本当に操り人形になった気分だ。

 

『無駄話をしてる場合ではありませんわよ。士道さんの話を聞いたところ零那さんがいつ死ぬかはわかっていませんわ。まずは零那さんを見つけるのが一番かと』

 

狂三の言葉で我に帰る。わさわざ霊力を削ってまで行った時間遡行。

一分一秒も無駄にできなかった。

 

「…ああ、狂三の言うとおりだ。まずはこの日の俺と零那を探さないとな」

 

そう言いながら士道は目的地に向けて足を進めた。

ーー士道と零那はあっさり見つかった。というのもこの日は街が一望できる場所にいたので見つけるのにさほど苦労はしなかった。

 

「零那…」

 

死んでしまった筈の少女が動き、笑っている。その姿を見ると思わず涙が溢れてきそうになる。

 

『士道さん、お気持ちはわかりますが今は我慢してくださいまし。…士道さんが本当に零那さんを救いたいなら、行動を起こすことが大事でしてよ』

 

「…!そうだな」

 

士道は服の袖で涙を拭い姿の見えない少女に向けて視線を送る。

 

「ありがとうな、狂三。…なんか今日の狂三は優しいな」

 

『あらあら、士道さんらしからぬ発言ですわね。ふふ…安心してくださいまし。わたくしは”今は”士道さんの味方でしてよ』

 

「お、おう…」

 

”今は”だけやけに強調されていた。

これはあれたろうか、時期が来れば俺とお前は敵同士、みたいなあれだろうか。

士道がしばし長考していると耳に不快なサイレンが鳴り響いた。

 

「きたな…」

 

そう、誤報の空間震警報。

恐らくこれは零那を狩るため人払いをしたのだろう。

…証拠を残さないために。

どちらにせよ士道が生きようが死のうがあのエレンという少女には関係なかっただろう。士道はあくまでも一般人、それに精霊の存在は世間には公表されていない。士道が何かを言っても現状が変わることもないはずだ。

頭に様々思惑が交錯するが、今は目の前の出来事に集中しなければならない。

今目の前では”先日の士道”がエレンと戦っていた。

 

『士道さん、あの銃はなんですの?わたくしと会った時は持ってなかったように見えましたが…』

 

「えーと、簡単に説明すると天使を顕現させるための装置だ。形に特に深い意味は無いと思う」

 

召喚器について大雑把ではあるが説明する。もしかしたら士道はもう一度エレンと戦うかもしれない。ならば狂三にも状況がわかるよう召喚器について説明しておく必要があった。

 

「…!」

 

そんなことを言っているうちに”過去の自分”がエレンにやられる。

この後の零那の対応によって士道の行動も変わってくる。

零那が逃げるのであればその逃走を支援するし、天使を使うならばそれを止め、また士道が戦う。

幸いにも今のエレンは傷を負っている。今なら勝機はあるかもしれない。

 

「行くか…」

 

零那はその場から動こうとしない。

逃げることもせず、戦おうともしなかった。ならば士道が戦うしかないだろう。

 

『健闘を祈りますわ。まあその様子もわたくしは見ることになりますけど』

 

「そうだな…全く…狂三の天使が使えたら楽に勝てるかもしれないんだけどな」

 

そんな軽口を叩きながら召喚器を頭に向ける。

 

『士道さんは戦いために自分の寿命を削ることができまして?それ以前にわたくしの霊力を封印させるわけにはいきませんけど』

 

狂三もその軽口に付き合ってくれる。なんだかんだ言って狂三は優しい。

気分が落ち着いたところで顕現させたい天使を思い浮かべる。

先ほどの戦いでエレンに〈颶風騎士〉が効かないことはわかった。

ならば戦い方を変えるしかないだろう。

 

「〈颶風騎士〉(ラファエル)!〈氷結傀儡〉(ザドキエル)!」

 

同時に2つの天使を使うなどやったこともない。だが今はやるしかなかった。

今士道の右手には槍が、左手は冷気を纏っていた。

 

「うおおおおおおおおお!」

 

士道はエレン向かって槍を構え突進する。

その場にいた零那とエレンが同時に信じられないものを見たかのような目をしていた。

それもそうだろう。今この場には五河士道が二人存在はしていることになっている。

 

「〈氷結傀儡〉(ザドキエル)!」

 

エレンに反撃する隙を与えないよう〈氷結傀儡〉(ザドキエル)で拘束を試みる。が、それは随意領域(テリトリー)によって塞がれた。

 

「どういうことです?あなたは今しがた私が殺した筈…一体あなたは誰です?」

 

「…そんなことどうでもいいだろ」

 

士道はエレンに鋭い視線を向けたまま槍を振るう。止血が済んでいないのだろう、エレンが飛び上がったと同時に血が飛び散った。

 

「…!」

 

エレンはそこで信じられないものを見たかのような顔をした。

士道が〈氷結傀儡〉(ザドキエル)を足場にエレンを追いかけてきたからだ。

 

「…ちっ」

 

エレンがレーザーブレードを構えるも遅い 一瞬早く士道の槍がエレンを貫いた。

 

「くっ…」

 

エレンは自分の胸に深々と刺さった槍を忌々しげに見つめる。

 

「…どうだ、痛いだろ。お前だけは許さない、絶対…絶対許さない」

 

地上に降り立った士道は地面に倒れ伏したエレンを見ながらそう言った。

そして、エレンに背を向けたその時。エレンがレーザーブレードを構え斬りかかってきた。

だが遅い、士道はそれに対応ができなかった。

士道は思わず目を瞑る。次の瞬間には自分の体にレーザーブレードが刺さって…いなかった。

それもそのはず、士道とエレンの間に零那が割り込んでいたからだ、

 

「…う、そ…だろ」

 

士道は目の前の凄惨な光景に目を見開く。

 

「ちっ…」

 

エレンは舌打ちをしてその場から消えた。恐らく随意領域(テリトリー)によって周りに見えないように退散したのだろう。

いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 

「零那…零那!」

 

「し…どう…さん」

 

おびただしい量の血が零那の胸から溢れる。零那が震える手を士道に伸ばしてくる。士道はその手を力強く握った。

 

「デートに誘ってくれて…ありがとう…ブローチを買ってくれて…ありがとう」

 

「デートならいつでも連れてってやる!ブローチだって…いくらでも買ってやる!」

 

弱々しく微笑む零那を抱え、士道は必死に訴える。零那は血を吹きながら続けた。

 

「クレープ…美味しかった…夕日…綺麗だった…本当に…ありがとう」

 

そして零那は弱々しく笑い、こう言った。

 

「愛してくれて…ありがとう…」

 

目に涙を溜めながらそう言った。

 

「零那…零那…頼む…死ぬな…」

 

士道はただそれだけを願いながら零那の手を握る。

 

「怖いな…今までさ…私死にたいと思ってた…でも、今は死にたくない…怖い…怖いよ…」

 

零那が言った言葉の後半は聞き取れないほど小さかった。

だんだん零那の目から生気が失われていく。

 

「士道…さん…ありがとう…大好き…」

 

その言葉を最後に、零那は目をゆっくり閉じた。…満足したかのような笑顔を浮かべながら、零那はまた死んだ。

 

「零那ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

士道が叫ぶがその絶叫は虚しく辺りに響くだけだった。

また救えなかった。また死なせてしまった。

ーー自分は無力だ。

士道は最後に零那の身体を強く強く抱きしめた。

 

 

数時間後、【十二の弾】(ユッドベート)の効力限界を迎えた士道は元の時代に帰ってきた。

 

「そう落ち込まないでくださいまし…士道さんはやれるだけのことをやりましたわ」

 

狂三が慰めの言葉をかけてくるが全く耳に入ってこない。士道は拳を地面に叩きつけた。

折角狂三の力を借りたのに自分の願いを叶えることはできなかった。

それどころか見たくない場面をもう一度見るだけだった。

 

「ちくしょう…ちくしょう…」

 

士道は闇に浸った天宮市を眺めながら、ただそう呟いた。




大変だね士道君(すっとぼけ
書いてて思ったけどエレンさんも士道君もどんな身体の作りしてるんでしょう。
さぁここからどうしようか…
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