デート・ア・ライブ 士道Remix   作:零丸

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いや、生きてるんです。
ただちまちましかやる暇がなくて……
リアルがとても忙しいです、頭の中で構造が出来ていても文にする時間が…
ということでお待たせしました。


#26 絶望の繰り返し

シドー、次はこっちだ!」

 

「はいはいっと」

 

士道を呼ぶ絶世の美女、夜刀神十香。

彼女はあまりにもものを知らなかった。

長い間終わりの見えぬ闘いに飽きていた彼女にとって、現世は全てが新しかった。

出会った人間全てに「死ななければならない」と否定され続け、人間を全く信用していなかった少女。その少女が目の前で笑ってくれている、それだけでも嬉しかった。

 

「…にしても食べてばっかりだな」

 

士道が小さくぼやく。

十香は現世の事を全く知らないため、今回のデートは〈十香の行きたいところ〉に行く事に決めた。もちろん十香は何があるかなど知らないため、街を歩いていて気になるところは片っ端から行ってみた。

そのほとんどが食べものだったわけだが。

 

「シドー、これはなんだ?」

 

「これか?これはきなこパンだな」

 

十香が立ち止まって見ていたものはきなこパン。特に珍しいわけでもない、普通のパンを眺めていた。

 

「…食べたいか?」

 

「う、うむ!」

 

「ちょっと待っててな」

 

物を知らない十香に買い物はまだ難しいだろう。ましてや未封印の精霊であるため、精神状態を乱すような事態は避けたかった。

士道はパン屋に入り、きなこパンを注文してお金を払う。

その間十香は物珍しそうにこちらを凝視していた。なんだか可愛らしくて、思わず笑みがこぼれる。

 

「ほら、買ってきたぞ」

 

「おお!ありがとうだ!」

 

十香が幸せそうに頬張る。その姿は普通の女の子で、とても世界を殺す災厄とは思えなかった。

 

 

結局食べてばかりのデートになってしまったが、十香が楽しそうだったのでよしとする。

最後はいつもの場所、高台に来ていた。

 

「シドー、今日は楽しかったぞ」

 

「あぁ、よかった。お前を殺そうとする人間なんていなかっただろ?」

 

「信じられないがいなかった。世界がこんなに優しいなんて、こんなに楽しいなんて思ってなかった」

 

「それを知ってくれただけで十分だよ。さて──」

 

 

言いかけた時に不快な警報音が鳴り響く。

空間震警報。精霊の現界時に発生する空間震を住民に知らせる警報。

士道が言葉を発するより早く、インカムから琴里の悲鳴のような叫びが聞こえる。

 

『十香はここにいるのに、どういうことよ!このタイミングで他の精霊なんて…士道、一旦退きましょう』

 

琴里はいつものように士道に指示を出すが、いつまでたっても返事はない。

 

『ちょっと士道、聞こえてるの?しど──』

 

自立カメラの映像を見てゾッとする。返事がないのも当たり前。士道の心臓付近には、血のような真紅の色をした槍が深々と刺さっていた。

 

「士道!!」

 

本来ならば真っ先に発動するはずの治癒が発動しない。もしかすると心臓を貫かれたことで治癒が追いついていないのかもしれない。

琴里はしばし呆然としていたが、もう一つ重要なことを思い出した。

 

「…零那」

 

そう、零那は士道に封印を施された精霊。

こんな状況を見れば反転してしまう可能性もあった。

 

「…なに」

 

「今のあなたは”どっち”のあなた?」

 

零那はしばし黙り込んだ後、短く

 

「〈冥界覇者〉(ハーデス)」

 

天使の名を呟いた。

〈冥界覇者〉、反転した零那の天使。

〈天界騎士〉と対をなす最恐の天使。

 

「……殺してくる、許さない」

 

「ちょ、待ちなさいよ!」

 

琴里の制止も聞かず、零那は艦橋の外へと飛び出して行った。

 

 

 

 

「シドー……」

 

先程まで動いていた友人が、十香に優しく笑いかけてくれた友人が、動かない。

先程、妙な警報音が鳴り響いたと思うと、空から真紅の槍が士道めがけて降ってきた。

穿つは心臓、狙いは必中。士道は精霊ではない、あんな攻撃を食らえば死んでしまうだろう。

 

「嗚呼、そうか」

 

わかっていたこと。最初から期待などしてはいけなかった。私の期待はいつも裏切られる。

幸せなど、とうの昔に無かったのだ。

十香は無言で上着を士道に被せてやる。

 

「シドー、お前の仇は私が取ろう。私に幸せをくれたお前の仇を」

 

そして槍の降ってきた天を見上げ、睨みつける。そこには忌々しき呪いの槍を手にしたアリスがいた。

 

「【神威霊装・十番】ッ!(アドナイ・メレク)」

 

霊装。精霊の絶対的な城。

霊装を顕現させるということは、先頭を意味する。そして──

 

「〈鏖殺公〉(サンダルフォン)」

 

玉座から大きな大剣を引き抜く。そしてその切っ先を憎き少女に向ける。

 

「貴様…簡単に死ねると思うなよ」

 

「さっきの槍を見てなかったの?あなたの剣が私の間合いに入る前に、その心臓を貰い受けるから」

 

「戯言を。貴様だけは…貴様だけは…ッ!」

 

〈鏖殺公〉を構え直し、十香は地を蹴って飛び上がる。

愛する人の仇を取るために、憎き少女を…殺すために。

 




アリスの持ってる槍に覚えがある人もいるかもしれませんね。
心臓を穿つ真紅の呪槍。なんだか某ランサーが持ってそうですね(他人事)
一応十香編をどう終わらせようかという見通しはできました、なのでもう少し更新スピードをあげられたらな、と思っています。
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