零丸「なぜわかったし」
…どうでもいいねうん。
寒くなってきましたね。
寒いのにもっと寒くなるような話書くなよって声が聞こえる。
映画が2015年の夏公開みたいですね。
受験終わってるから観れるぜひゃっほい。
『万由里』って”まゆり”って読むのかな?
「司令!士道君が息をしてません!」
「天使、顕現されました!」
「司令!」
〈フラクシナス〉の艦橋は慌ただしいクルーの声で溢れていた。
それもそうだろう。今目の前で士道の死亡が確認されたのだから。
しかし、令音と零那は違った。
令音は天使の解析を始め、零那は無言のままコンソールを操作する。
琴里は微塵も心配する様子を見せず、クルー達に命令を下した。
「士道のことは後回しよ。それよりも先にパペットがある場所を解析しなさい。…あのパペットがないと〈ハーミット〉は止まらないわ」
そんな琴里の言葉を聞いたクルー達が驚きを隠せないといった様子で訴えかける。
「司令!自分の兄が死んだのですよ!なにを悠長な…!」
「…大丈夫よ。士道があれくらいで死ぬはずないじゃない。士道にしては頑張ったじゃない。でも馬鹿ね」
「そんな!死んだ人間が生き返るはず…な…い?」
大画面を見ていたクルー達が幻を見ていたかのように目を大きく見開き、その場に固まった。
それもその筈。士道の切り口が焔に灼かれ、傷を舐めとった。
「…ちょっと再生に時間がかかったわね。よっぽど強い攻撃だったのかしら」
「司令…これは…」
「…また今度説明するわ。零那!士道を回収して!」
そしてその要求をされることを理解していたかのようにコンソールを操作していた零那が答える。
「…了解」
ビルの3階に寝かされていた士道は少しずつ意識が戻っていく感覚がして薄眼を開ける。
あれ…俺なにやってたんだっけ。
確か四糸乃を庇って…
次の瞬間、士道を灼けるような痛みが身体中を這う。
「あっつ!」
発火原因である背中を触ってみる。
そこで士道は違和感を感じた。
ーあれ。俺斬られたよな。
そう。士道が斬られたはずの背中を触ると、そこは綺麗に塞がっていた。しかし来ていた上着やシャツ、床には血痕があり、夢だとも思えない。
『士道。聞こえるかしら。』
インカムから聞こえた琴里の言葉で我に帰る。
「…琴里。俺なんで生きてるんだ」
『大丈夫よ。あなたは殺させない。…
なにがあっても死ぬことはないわ』
それは士道を心配してるのか、それとも心配してないのかよくわからなかったが、今はそんなことを確かめている暇はない。
「琴里!四糸乃は…どうなった!?」
『そのことだけど』
インカム越しに飴を口の中で転がす音が聞こえる。
ー早く教えろよ。
『天使を顕現させて、ASTを攻撃してるわ。よっぽど士道を殺されたのが憎いのね』
「…?天使ってなんだ…?」
琴里がはぁと溜め息を吐くと、外を見るよう指示してくる。
「…!?」
そこには巨大な兎の人形とその上に乗った四糸乃。
そして四糸乃を攻撃する。ASTの姿があった。
なによりも驚いたのは街の様子である。一面凍りついている。まるで別世界に放り込まれたようだ。
「琴里…俺は…どうすれば…」
『とりあえず”よしのん”を見つけて頂戴。見つけたら〈フラクシナス〉に転送するわ。話はそれからよ』
「…わかった」
そうして士道は、崩れたビルの中で”よしのん”を探し始めた。
AST各員は〈ハーミット〉を追いかけ、ありったけの銃弾を撃ち込んだ。
しかしその銃弾がことごとく外される。
「ちっ…」
折紙は小さく舌打ちした。
さっきからずっとこの調子である。
銃弾を撃ち込んでも〈ハーミット〉がそれを避け、逃げ回っていたからだ。
ーなにを狙っているのだろうか。
折紙はそれだけを警戒しながら弾を装填する。
そして装填し終わったその時。
『ーーーーーッ!?』
ASTの隊員の声にならない声が折紙の耳に聞こえた。どうやら随意領域(テリトリー)が凍ってしったようだ。
ーなるほど、これが狙いか。
さっきから降り注ぐ冷たい雨には、微量の冷気と霊力が含まれていた。
おそらくその雨のせいだろう。
長時間打たれ続けたせいで随意領域(テリトリー)が凍ったのだろう。
『AST各員は随意領域(テリトリー)を一度解除。凍っちゃうわよ!』
日下部燎子が興奮気味に叫ぶ。
ASTの隊員は即座に随意領域(テリトリー)を解除し、隊長の元へ集まる。
ーそんな好機を四糸乃が逃す筈がない。
「氷結傀儡【ザドキエル】…絶対零度【エターナルブリザード】ッ!!」
四糸乃がそう言い放つと、降っていた雨が全て氷の刃に変わり、AST目掛けて飛んでいく。同時に天候がガラリと変わり、前も見えないほどの猛吹雪に変化する。
AST各員はそれを随意領域(テリトリー)で防御する。
雨が降らなくなった分、随意領域(テリトリー)が凍らされる心配はなくなったが、〈ハーミット〉の姿も捉えられなくなった。
「…〈ハーミット〉!!」
折紙は忌々しげにその名前を呟き、前の見えない吹雪をただ呆然と見ているしかなかった。
「あった!」
ビルの2階で”よしのん”を見つけた士道は、すでに体力が限界を迎えていた。ー結構動き回った。明日は筋肉痛だなこりゃ。
「琴里、あったぞ」
士道がインカムを小突いた後、辺りの天気が激変した。
『ナイスタイミングよ、士道。見つけるのがもう少し遅かったら、あなた凍ってたわね』
「え…?どういう…ーーーッ!?」
またも不思議な浮遊感が士道を襲う。おそらく〈フラクシナス〉の転送装置が起動したのだろう。
見慣れない艦橋。どうやら無事転送されたみたいだ。
「ほんとにギリギリね…あと少し遅ければ死んでたかもね」
琴里が少し心配したかの様子で話しかけてくる。
「死ぬって…っていうかあの天気の変化は何なんだよ!」
「〈ハーミット〉の能力よ。画面を見なさい。」
「…ッ!?」
そこに映っていたのは、吹雪により身動きの取れないASTと、そこから離れた場所で泣きじゃくる四糸乃だった。
「…随意領域(テリトリー)を使ってこのざま…か。一般人が入れば死ぬでしょうね…」
「…じゃあどうするんだよ!」
士道にしては珍しく声を張り上げている。よっぽど焦っているのだろう。
「…士道。少し痛くても我慢できるかしら?」
琴里が深刻そうな顔で問うてくる。
…いまいち質問の意図が理解できないが。
「…ああ。あの娘を助けられるなら!!」
士道の返事を聞いて、琴里が半分安心、半分心配といった表情になる。
「…そう。なら大丈夫よ。本当はこんなことしたくないんだけど…仕方ないわ」
「どういう…ことだ?」
「今から〈ハーミット〉の所まで強行突破して欲しいの…さっきも言ったけど、士道が死ぬことはないから…大丈夫よ」
その事を聞いて思い出す。
ーなんで俺だけ死なないんだ。
「琴里…俺さっき斬られたよな」
「…ええ。ご丁寧に死亡も確認されたわ」
「…じゃあ、なんで生きてるんだ」
「それは…今度話すわ。今はあの娘の所へ行ってして欲しいことがあるの」
「してほしいこと…?」
「ええ。あの娘から精霊反応さえ無くなればASTから狙われることもなく、この吹雪も解除される筈よ」
「…それにはどうしたらいい」
精霊反応が無くなるなんてよく考えれば不可能だ。琴里の言うことが正しいという確証もない。
ーだが今は…やるしかない。
「そんなの簡単よ。呪いのかかった少女を助ける方法なんて…ひとつよ」
そう言って琴里は口をすぼめ、飴に口付けした。
寒い。寂しい。怖い。
四糸乃は吹雪の中、ただ一人で泣いていた。
”よしのん”に頼ることも出来ず、士道もいない。
ASTの動きは封じることができたが、ここは…とても寂しかった。
「うぅ…士道…さん」
もういない筈の人の名を呼ぶ。
分かってはいても呼ばずにはいられなかった。
そんなとき。
「ー四糸乃!」
遠くから自分を呼ぶ声が聞こえた。
その声は聞き覚えがあり、とても暖かい声だった。
「士道…さん?」
一瞬幻聴かとも思った。
しかしそれは違った。
士道と思わしき人が四糸乃の所へ走ってきたのだから。
「四糸乃!!」
士道は〈フラクシナス〉の転送装置を介して、四糸乃の近くまで転送してもらった。
幸い、四糸乃の近くは霊力が弱く、当初の強行突破をしなくても簡単にたどり着いた。
「四糸乃!」
「士道…さん」
四糸乃は士道を認識すると、今までよりさらに泣き出した。
「うぇぇぇぇ…士道さん…士道さん…」
「ああ…ごめんな。怖かったよな。寂しかったよな。よしのんも見つけてきた。もう心配はいらない」
士道は四糸乃を優しく抱いてやる。
四糸乃は士道に抱かれたまま、しばらくの間泣いていた。
そして琴里から聞かされたことを実行に移す。
「四糸乃…俺はお前を助けに来た」
「私を…助けに…?」
「ああ…その為に一つしなければいけないことがあるんだが…いいか?」
「…?」
士道は不思議そうに首を傾げる四糸乃の耳元で方法を囁く。
瞬間四糸乃の顔が真っ赤になる。
もちろん方法を教える士道も恥ずかしかった。
「それを…するんです…か?」
「お、おう…嫌か…?」
「士道さんなら…いいです」
四糸乃が目を閉じる。
これは受け入れるということだろうか。
「…よしのんは着けなくていいのか?」
「はい…大丈夫です…」
あまり四糸乃を待たせるわけにはいかない。
そして士道は、目を閉じていた四糸乃の唇に自分の唇を触れさせる。
瞬間、士道は身体に暖かいものが流れ込んでくる感覚を覚えた。
ー霊力を封印する方法。
それは好感度を上げ、精霊とキスをすること。
最初琴里から聞かされたときは冗談だと思った。(意義を唱えると〈フラクシナス〉から落とされるのでやめた)
四糸乃の唇はとても柔らかく、キスを仕掛けた士道も悪い気はしなかった。
…少し犯罪臭はするが。
「四糸乃…その…なんだ。ごめんな…」
キスを終えた士道が四糸乃に向かって謝る。
ほんとごめんな…。
「あ、あの…大丈夫…です」
そして、四糸乃の纏っていた霊装もインナーが光の粒子となって消えていく。
同時に空を覆っていた雲が晴れ、青空が広がっていた。
「士道さん…これは…」
顔を真っ赤にしながら四糸乃がその場にしゃがみ込む。
それはまあ着ていた服が消えたのだから当然の反応だろう。
…あれ、俺もしかして犯罪者?
「あ、あぁ、悪い!」
士道は着ていた上着を四糸乃に被せてやる。士道と四糸乃の身長差なら上着だけでも充分だろう。
…それでも誰かに見られたら終わるな。
そんなことを考えていた士道の身体が浮遊感に包まれる。
…ほんといっつも転送って突然だよな。
〈フラクシナス〉に転送された士道は安堵の息を吐き、四糸乃は目を丸くさせていた。
「お疲れ様士道。でもそんな小さな子の服を剥ぐなんて、もしかしてそんな趣味があったの?」
琴里がニヤニヤしながら言ってくる。
…封印したら服が消えるって教えたの琴里だろ。
「…断じて俺はそんな趣味はない」
「分かってるわよ。それより本当にお疲れ様。初陣にしてはかなり頑張った方ね」
「…そりゃどうも」
琴里と会話していた士道の服を四糸乃が引っ張る。
「士道さん…ここは…」
「安心しろ。ここにいる人は四糸乃を助けるのを手伝ってくれた。みんな味方だ」
士道が四糸乃の頭を撫でてやると、幸せそうに四糸乃が頬を緩ませた。
「ま、四糸乃には少し検査を受けて貰うけどね。2、3日で済むから、それが終われば士道と会えるわよ」
琴里が四糸乃に向かって説明すると、四糸乃は不安そうな顔をして士道の方を向く。
そんな様子をみて苦笑いし、四糸乃に言ってやる。
「また会えるから安心しろ。そして今度は、街でデートしような」
「…!はい!」
とても明るい四糸乃の笑顔と共に、四糸乃は〈フラクシナス〉のクルーと別室の方に歩いていった。
四糸乃がいなくなると思い出したように琴里がとんでもないことを呟やいた。
「あ、そうそう。検査が終わったら四糸乃の住むところは士道の家になってるから」
「はぁ!?」
やっと落ち着いたと思った矢先これか…。
しかし、四糸乃が士道の住む家に住むというのは、悪い気はしなかった。
それどころか、もう一度四糸乃に会えるのを楽しみにしながら、士道は〈フラクシナス〉を後にした。
…後1話ありますよ。
なんかね、下書きっていつも寝る前に書くの。
だから話が支離滅裂(爆
これからもよろしくお願いします。