ポケットモンスター〜キセキ〜   作:龍崎悠司

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〜食材探し〜

 

 その日も各所でポケジョブをこなしていたロイナたち。

 依頼がひと段落したため、休憩も兼ねて昼食を摂りながら新たな依頼がないかポケジョブ一覧をチェックしていた。

 そこに見知った依頼人の名前があった。

 

「あれ、ミツタさん?」

 

 イェシード遺跡の森で世話になった元料理人のミツタだ。

 ノノクラゲのヒレをふんだんに使ったキノコ料理の美味しさはまだ記憶に新しい。

 実はその後、ロイナも似た様な料理を作ろうとはしたのだが、どうにも別物にしかならなかったりしている。

 香りがグッと来ないなぁ、と言いつつ、昨夜はポケモンセンターで借りた厨房から、その美味しそうな香りで泊まりに来たトレーナーたちを魅了し、振る舞うなどしていたが。

 ともあれ、知り合いが困っているなら、とポケジョブアプリで依頼を受ける。

 ちょうど昼食を食べ終えて、ポケモンたちを連れて合流場所へ会いに行った。

 

「おぉ! ロイナくん! 助かるよ〜」

「こちらこそ、先日はお世話になりました」

「ソウソウ」

「「タイッ」」

「君たちも元気そうだね」

 

 屋台を設置する予定の場所で挨拶を交わして握手する。

 お互いに嬉しい再会になったので、両名の手にも力が入る。

 

「フシギダネ、フシギソウに進化したんだね」

「ソウ!」

「ええ、お陰でバッジをゲット出来ました」

「ほぅ! イェシードジムを突破したのか! やるじゃないか」

「ありがとうございます」

「タイ!」

「タイレ!」

「うん、もちろんタイレーツのお陰でもあるよ」

「「レーツ」」

 

 その後、世間話を二、三挟んで本日の本題。

 ポケジョブの話だ。

 

「それで、今回の依頼は……」

「うん、食材をね、探してほしいんだ」

 

 食材? と聞くとミツタは説明を続ける。

 なんでも屋台で出す料理の要となる『ズリのみ』が足りなくなってしまったのだと言う。

 

「他のきのみで代用も出来なくはないんだが……」

 

 ミツタ曰く、辛い実と渋みのある芯をバランスよく入れることで山菜の旨味がより引き立つとのこと。

 それで手伝って欲しいが、イェシード遺跡の森へ行かなくてはならないため中々手伝ってくれる人がいなかったらしい。

 ロイナは気にせず引き受けた。

 

「けど、効率よく探さないとならないがイェシード遺跡の森は広い上に危険も隣合わせだ……」

「あ、それなら良い人がいます」

 

 どうしたものか、と悩むミツタにピッタリの人材がいた、と電話をかけるロイナ。

 1コール。

 ブツン。

 即切られた。

 めげずにリダイヤル。

 

「ロ、ロイナくん……?」

 

 何にもリアクションせずに切られた相手に電話を掛け直すロイナに若干引きながら、ミツタは大人しく待つ。

 1コール、2コール、3コール……。

 中々出ない相手だが、ロイナもすぐには出ないだろうと初めから予想していた。

 用事があったら仕方ないが、根比べだ。

 やがて。

 

『…………おう』

「タンジ、聞きたいことがあるんだけど、良い?」

 

 電話の相手、タンジが通話に応じる。

 

『チッ!』

「ありがとう。『ズリのみ』をポケジョブで探すのにイェシード遺跡の森に行かなきゃなんだけど、どの辺なら生える、みたいなの教えてくれる?」

『はぁ? んだよ、めんどくせー』

「お願い!」

『……………………次会った時、問答無用でバトル』

「OK! 助かるよ」

『けっ』

 

 ツッコミ所の多い会話を経た後、交渉成立で情報をもらう。

 森の中で日照時間の多い所を探せ、との情報をミツタと共有し、アーマーガータクシーを呼んで、ミツタと2人イェシード遺跡の森へ再び向かう。

 

「きのみに詳しい友達がいるんだね」

「あのオオヤギ農園の経営者の孫なんですよ」

「へぇ! オオヤギ農園の」

 

 パッと聞いて感心するミツタだが、経営者の孫だからときのみに詳しくなるか? と疑問が湧いた。

 その辺りのことをロイナに聞くと、色々手伝う傍ら、自分でも資料を調べるなどしていたらしい。

 見た目と言動からは想像できないんですけどね、とはロイナの弁。

 喧嘩やバトルを始めとした拘りに妥協をしないのも、タンジという少年の特徴なのだ。

 ともあれ、その努力に感謝をしながら、2人は森へ到着した。

 

「さぁ、探そうか」

「って言ってもあるんですかね? そんな日の当たる場所」

 

 目の前に広がる薄暗い森に、情報にあった様な場所があるかは甚だ疑問である。

 それでも探して森へ入る。

 念のため遺跡に近くなった場合でも大丈夫な様に、ピッピ人形(逃げの一手)は用意してある。

 目的はお祭りで最高の屋台料理を出すため。

 

「とはいえ私もこの森全体に理解があるわけでもないんだよなぁ」

「う〜ん、そしたら森に詳しい友達に頼りましょう」

「そ、そんな友達がいるのかい? 随分と顔が広いんだねぇ」

 

 感心しっぱなしのミツタに、ロイナは何を言ってるんだと嘆息する。

 

「ミツタさんと共通の友達のことですよ」

「共通の? …………あ」

「ええ、行きましょう」

 

 合点がいった、と手を叩き、ロイナと共に森を歩いていく。

 ロイナたちが木々を掻き分けながら進んだ先にいたのは。

 

「ノノ?」

「久しぶり、元気?」

「ノノ!」

「ノノ!」

 

 ノノクラゲたちだ。その奥にはリククラゲもいる。

 頭を下げて挨拶するロイナたちに、触手を振って応えるリククラゲ。

 

「なるほど、森のことは森に聞け、か」

「はい、彼らが知ってるかは分かりませんが……」

 

 せっかく森に来たなら会いたかったですし、と微笑みながらロイナ。

 相変わらずノノクラゲに囲まれて頭を撫でている。

 その様子を見てミツタはなんとなく納得する。

 

(自然な立ち振る舞いで距離を近付けていって寄り添う、こういう言動や仕草が出来るから、彼の周りにはポケモンが集まるのかもね)

「さてロイナくん、ノノクラゲたちにきのみについて聞いてみようか」

「はい」

 

 ミツタもまた急がずゆっくりノノクラゲたちに歩み寄って、スマホロトムを呼び出してきのみの画像を見せる。

 こういうきのみを探しているんだ、と『ズリのみ』を見せると、ノノクラゲたちは何やら話し合った後、リククラゲを呼んだ。

 

「ク〜クラ〜?」

「ノノ!」

「これなんだよ、分かるかな?」

 

 呼ばれたリククラゲが、スマホロトムが画面サイズを変えて大きく表示した『ズリのみ』を見てしばらく考える。

 2〜3分考えた後、記憶に引っかかったのか反応を見せる。

 

「ク〜リ、ラゲ〜」

「ん?」

「な、なにか問題があるのかな?」

 

 ロイナとミツタがその反応に引っかかった。

 どうにもリククラゲが悩ましげなのだ。

 

「ノノ!」

「ノノ!」

「ク〜」

 

 だが、ノノクラゲたちが説得すると、仕方ないという様子で移動を始める。

 

「リ〜クク〜」

「……ついて来いってことみたいですね」

「……どうやらそうみたいだ」

 

 ロイナたちは訝しみながらも後をついて行った。

 

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