ポケットモンスター〜キセキ〜   作:龍崎悠司

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〜最初のバトル(前編)〜

 

 

「よぅ! 待ってたぜ、ロイナ!」

 

 マルクェット研究所を出て、冒険の最初の一歩を踏み出したロイナ。

 そこに待ったをかけたのは。

 

「コギノリ?」

 

 わざわざ腕組み仁王立ちで待ってたコギノリだった。

 特に待ち合わせをした覚えもなく、とっくに先に行っていたと思っていたコギノリが待っていたのはロイナとしては疑問だった。

 

「どうしたの?」

「どうしたの、じゃねぇよ! せっかく俺たち、ポケモントレーナーとして旅に出たんだぜ! 冒険の一歩目だ! ならやることは1つしかないだろ?」

 

 そう言ってボールを構えるコギノリを見て、言いたいことを理解する。

 こういう時のコギノリが止まらないことは重々承知している。

 ならば応えるしかないだろう。

 

「分かった、やろう」

「おぅ、2対2な」

「2対2?」

 

 ロイナの疑問にニッ、と笑顔だけを返すコギノリ。

 

「ともかくやんぞ!」

「うん」

 

 【ライバルのコギノリが勝負を仕掛けてきた!】 

 

「行くよ、タイレーツ!」

「行け! ポッポ!」

 

 2人が同時にボールを投げる。

 ロイナは先ほど仲間になったタイレーツを。

 コギノリは小さな体躯のことりポケモン、ポッポを繰り出した。

 

「おぅ、やっぱりタイレーツを仲間にしてたな」

「うん、そっちも。そのポッポ、よく遊んでた子だよね」

「ああ、挨拶終えて、速攻会いに行ってゲットしたぜ! 行けポッポ、『たいあたり』!」

 

 攻撃の指示を受けたポッポが対面の空中からタイレーツへ向かって突撃してくる。

 タイレーツが自身の攻撃範囲外からの攻撃にどう対処するか迷う所で。

 

「タイレーツ、引かないで!」

「っ!」

 

 ロイナから指示が飛んでくる。

 タイレーツがグッと足に力を入れて待ちの体勢に。

 そしてポッポとの距離が迫ったタイミングで。

 

「こっちもぶちかますよ! 『たいあたり』!」

「タイレっ!」

 

 込めた足の力を爆発させるかの様に、咄嗟に全身で前に当たる。

 

「当たり負けるな! 勢い加速!」

「ポッポ!」

 

 怯むという言葉を知らないが如く、ポッポも覚悟を決めて当たりに行く。

 2匹のポケモンがぶつかる。

 ガンッ! と鈍い音が響き、お互いか弾かれた。

 

「へっ、やるな」

「そっちこそ」

 

 弾かれた勢いで少し距離を取る。

 タイレーツは数歩分後ろに、ポッポは再び中空に。

 力は互角。

 とはいえ、2人の内心はその笑顔と裏腹に冷や汗をかいていた。

 

(マズいかも、ああやって空中にいられたらカウンター的にしか対応出来ない)

(やべぇな、仮にもポッポの『たいあたり』(同タイプ技)と格闘タイプの『たいあたり』(タイプ不一致技)のぶつかり合いで互角とか)

 

 2人はそれぞれ戦況の分析と先の展開を思考する。

 

(先手は必然的に取れない、なら『受け』を完璧にしないと)

(真正面の力同士のぶつかり合いで上を取るのはハードルが高ぇか)

 

「ポッポ! もう一度だ! 低空飛行で『たいあたり』!」

「タイレーツ、今度は受けるよ、構えて!」

 

 今度は角度を変えて真正面からポッポが飛び込む。

 それに対し、盾をどっしり構えるタイレーツ。

 再び2匹の距離が縮まる。

 目の前。

 タイレーツが構え。

 ポッポを見据え。

 ぶつかる。

 直前! 

 

「そこだ! 『すなかけ』して反転!」

「!」

 

 ポッポが砂を巻き上げながら反転。

 ポッポの動きを見極めんと集中していたタイレーツ。

 思い切りポッポが巻き上げた砂を被ってしまった。

 

「タ、タイレ……」

(くっ、やられた)

 

 その効果でタイレーツはたじたじになり少し下がる。

 タイレーツはそのまま上手く目が開けられず、命中率が下がってしまった。

 

「今だ! 回り込んで『たいあたり』!」

「ポッポー!」

「タイレーツ、後ろを振り向いて『たいあたり』!」

 

 好機に叩き込むコギノリの指示に、咄嗟にロイナも対抗する指示を出す。

 タイレーツがくるり、とおおよそ反転し、『たいあたり』を繰り出すも狙いもタイミングも外れた攻撃が当たるわけもない。

 隙だらけのタイレーツに、逆に狙いを定めたポッポが再び中空から強襲。

 タイレーツにクリーンヒット! 

 

「タ……タイレー……」

「タイレーツ、大丈夫!?」

「タイレー!」

 

 まだ大丈夫だと立ち上がって示すも、まだ目は完全に開けられない。

 身体も震わせていて、限界が近いのが簡単に見て取れる。

 

「トドメだ! 上から勢い乗せて全力『たいあたり』! ぶちかませ!」

 

 今度は今まで以上に高く飛び上がったポッポが、タイレーツの真上からこれまで以上の速度でタイレーツへ。

 グングンスピードを上げて迫ってくる。

 

(方向が分かってるから『たいあたり』……いや、さっきの二の舞だ、なら、取れる手は……)

 

 思考を回すも時間はない。

 もう数瞬間でぶつかる。

 賭けに出るのも分が悪い。

 タイレーツの体力もギリギリだ。

 と、タイレーツの盾が目に入って。

 ── 特徴として、隊長であり司令塔でもある盾持ちのリーダー、ヘイチョーと呼ばれる個体と──

 

「タイレーツ! 盾を上に! 『まもる』!」

 

 気付いた時には指示が口から飛び出していた。

 タイレーツも状況が見えない中、指示に従う。

 盾を上に。

 絶対防御の『まもる』。

 発動が間に合う。

 

「んなっ!?」

 

 構えた盾に、落下の加速と合わせた全力の速度でぶつかるとどうなるか。

 ガゥン!!! という『たいあたり』のぶつかり合いより大きな音が響いてダメージがポッポへ返り。

 

「ポ……ポゥ」

 

 ポッポはそのまま目を回していた。

 

「へっ、やられたな」

 

 ポッポ戦闘不能。

 タイレーツの勝利。

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