ポケットモンスター〜キセキ〜   作:龍崎悠司

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〜最初のバトル(後編)〜

 

 

 まだバトルは続く。

 ポッポが戦闘不能になり、2対1。

 とはいえタイレーツも限界が近く、そこまで数的有利は変わらないだろう。

 

「出番だ! アチャモ!」

「チャモ!」

「タイレーツ、『たいあたり』!」

 

 このコンビを勢い付かせるとマズいのが分かってるロイナは速攻を選択。

 タイレーツは最初よりいくらかパフォーマンスが落ちながらもアチャモに向かっていく。

 

「アチャモ、『ひっかく』だ!」

「チャモ!」

「!?」

 

 ロイナは、コギノリが指示を出してから起きた数瞬の出来事を一瞬理解出来なかった。

 『たいあたり』で勢いが乗り始めたタイレーツに対して、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 体勢を崩されたタイレーツの『たいあたり』は、不発に終わってしまう。

 その隙をこのコンビが逃す訳もない。

 

「そのまま連続『ひっかく』!」

「チャモチャモチャモチャモォ!!」

 

 1ヒット。

 2ヒット3ヒット! 

 『みだれひっかき』の如く繰り出される『ひっかく』は正に爪の嵐。

 体力が限界に近かった上に、初手の『たいあたり』の勢いを殺されたタイレーツが耐えられる訳はなかった。

 

「タ……タイ、レー、ツ……」

「お疲れ様、タイレーツ」

 

 戦闘不能になったタイレーツをボールに戻す。

 後でうんと労ってあげようと心に決め、最後のポケモンに後を託す。

 

「お願い! フシギダネ!」

「ダネっ!」

草タイプ(相性不利)で簡単に勝てると思うなよ! アチャモ、『ひのこ』!」

「躱して!」

 

 真剣勝負故に容赦なく、フシギダネの弱点である炎タイプの攻撃を放つアチャモ。

 先のタイレーツと違い、万全の体力のフシギダネは距離もあって余裕を持って躱す。

 

(あの速度で攻撃が飛んでくるなら接近の隙は晒せない)

 

 奥歯を噛み、状況を見極めようとするロイナ。

 あの連続『ひっかく』を見せられて、安易な『たいあたり』は選びにくい。

 なら残された選択肢は。

 

「『つるのムチ』!」

「ダネフシェ!!」

 

 伸ばされたツルを鞭の様にしならせてアチャモに叩きつける。

 目の前に迫る技に、コギノリの選択は回避でも防御でもなかった。

 

「アチャモ、足でツルを捌け!」

「チャモ!」

「え」

 

 無茶な指示にロイナの思考に間が生まれてしまった。

 ツルの長さと細さに対して明らかにアチャモの足は短い上にまだ旅を始めたばかりでバトルも素人のはず。

 だというのに、コギノリにもアチャモにも迷いはなかった。

 ジャンプして、向かってくるツルに足を向ける。

 明らかに可動範囲に差のあるツルと足だが、その左足にツルが触れる瞬間。

 ツルの勢いに逆らわず、左足を後ろに引きながら半時計に身体を捻る。

 更に右足を横蹴りする様に振り回す事で振り下ろされる力に対抗することなく、『つるのムチ』をやり過ごした。

 

「なっ!?(こんな訳の分からない対応をぶっつけで!?)」

「ダ!?」

 

 完璧に力をいなされたフシギダネとロイナは驚愕で思考の空白が生まれた。

 

「そこだ! 『ひのこ』!」

「あ! しまった!」

 

 そこを見逃すコギノリではない。

 

「チャモモモモ!」

「ダネネ……フシェ〜」

 

 更に身体を捻ったアチャモの口から、小さな火の連射が放たれる。

 隙を晒したフシギダネは避けられず、まともにヒットしてしまう。

 効果抜群(炎タイプ)技をクリーンヒットされては耐えられる道理はなく。

 

「……バトルは、終了だね」

「よっしゃあ!!」

 

 フシギダネ戦闘不能。

 ロイナの初バトルは黒星となってしまった。

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